EP.48 あっちでそっちで異常事態
意味が分からない。
状況が全く、理解出来ない。
ここ最近、迷宮の活動が異常過ぎる。
今日も何度か地震が発生し、仕事を中断させて直ぐに、奏からのレッドコール。
迷宮内部の急激な変化。
報告では、桐藤さんや、野小沢さんと、一悶着あった様ですが、今はその様な事よりも、各地区の状況把握が、最優先。
「楽羅蘭、各観測機器の情報を教えて」
「非常に不味いで御座るよ。現在、魔物が溢れ出す兆候があるのは、三カ所。那邪道地区、縫郷地区、南雲地区に御座る」
「三カ所同時……っ、南雲が入院している時に、間が悪いですわね……」
幸い奏地区には、その兆候が見られない。
であるならば、桐藤さんと野小沢さんを分けて、同時に対処致しましょうか。
ピポッ────『うぉーい。こちら縫郷だぁ』
「縫郷さん、状況を教えて下さいまし」
ピポッ────『こちら南雲地区! 至急増援をっ! 上層にてっ、中層のオーガ複数体を確認! 我々では対処出来ません!!』
「っ、南雲地区には私が向かいます。絶対に外に出しては駄目よ。縫郷さん、早く状況を教えて頂戴」
『こっちもヤバそうだぞぉ。受刑者潜らせたらなぁ、帰って来ねぇー』
「……潜らせたのは、死刑囚ですわよね?」
『当たり前だぞぉ。今日執行予定の奴等だなぁ』
ならば良しですわ。
懲役刑の者を下手に潜らせたら、退所した後が厄介ですからね。
死刑囚ならば、生きて帰って来たとしても、死刑執行に猶予が付くだけ。
縫郷地区ならではですわ。
「桐藤さんか、野小沢さんが向かいますわ。それまで何とか、耐えて下さいまし」
『わかったぞぉーっ、早くなぁー』
旧那邪道地区からは……連絡無し。
奏の部隊が常駐してますし、何かあれば直ぐに、連絡が来る筈ですわね。
「楽羅蘭。桐藤さんと野小沢さんにメッセージを送って、各地区に向かわせて。私は南雲地区を片付けるわ」
「了解に御座る。中層界のオーガなぞ、何とも恐ろしいモノに御座るな……」
「オーガだけなら良いのだけど、異常個体が攻めて来たら、部隊が全滅しますわ。ここは任せますわよ」
「御武運を。何か有れば、連絡するで御座る」
そうならない事を、願いたいですわね。
◇ ◆ ◇
縫郷地区某施設────
キュイーンッジャラジャラジャラと、騒がしい音を発する台を、朝から回し続けて、一体何時間経ったのだろうか。
命からがら何とか逃げ切り、嬉しさからはっちゃけて、お酒を飲んで寝て起きたら、またあの映像が映った。
それを見て、唖然としたわ。
だって、華ノ恵に拉致監禁されて、逃げるのに精一杯で、忘れるに決まってるじゃん。
『姓名・八多倉 冬
性別・女(乙女では無い)
年齢・二十九歳
誕生日・十二月二十四日
血液型・A型
職業・無職(連続無断欠勤によりクビ)
スキル・鑑定(LV 3/100)
・索敵(LV 1/100)
・下呂(LV 2/10)
・鍵師(LV 0/10)
攻・弱 守・弱々 精・熊
体・犬 運・雀の涙
備考・人生崖っぷち』
連続無断欠勤で、会社クビって……ちょっと酷いと思いません?
当たり前?
そうですかーっ、はっはっはっ!!
相談しようと、警察署に行ったわよ。
拉致監禁って、普通に犯罪。
しかもそれを行ったのが、かの華ノ恵グループ総帥の、一人娘だから。
大問題にして、このスクープを金に換え、先輩を探す為の、資金にしようと考えた。
考えたけど、回れ右して逃げたわ。
何からって?
警察に決まってるじゃない。
『姓名・野崎 理夕
性別・男(筋肉達磨)
年齢・三十一歳
誕生日・二月九日
血液型・AB型
職業・戸ノ浄市警察(華ノ恵グループの一員)
スキル・無し
攻・筋肉 守・筋肉 精・筋肉
体・凡人 運・筋肉
備考・話しかけたら捕まります』
こんなん出たら、逃げ一択でしょ。
警察署内の人間全員に、『華ノ恵グループの一員』って出てたわよ。
正直言って、先輩を諦めて、ここから逃げようかとも考えた。
考えて考えて考えて……考えた。
ヤケ酒しながらね。
呑まずに居られるかってのっ!!
それで、考えた結果、探し続ける事にした。
だって私無職だもん。
先輩見つけて、養って貰わないと、こんなん割に合わないでしょ。
そう決めたので、コソコソと隠れながら、この戸ノ浄市を調べていた時に、遊び場を見つけて、気分転換してるって訳よ。
気分転換は大事。
一つの目標に、向かうのも良いけど、偶には脇道に逸れないと、疲れちゃうからね。
ギュゥゥゥ────「こいっ、こいっ、こいっ、当たれええええええ──っ!!」
通い詰めて何日目だっけ?
あれだけ有った貯金が、あと僅かさ。
「外れたああああああ──っ!?」
期待値マックスだったのにっ、今の演出で何で外れたのよっ!!
怒りで台を、バンバン叩いて居たら、地面が軽く、揺れた気がした、
「また地震? 何か……気持ち悪いわぁ」
外に出て、何か食べようかな。




