EP.46 あのー木何の木危ない木?.2
「皆んなもう集まってるよ。時間まだ有るのに、暇なのかな?」
「プゴッ」
「あの石が取れてないからだろ。あの石取ったら、ボーナスでも有るんじゃ無いか?」
「ボーナス貰えるの? 私達は?」
「プゴ?」
「取った石を、華ノ恵が買い取るから、それがボーナスだわな」
ぬぅ……私が見つけたのって、最初の分と巻貝さんだけなんだよ。
巻貝さんの中身は、何なんだろ。
ゴゴゴゴゴゴッ────『プゴォッッッ』
「また地震だな……ウリ坊怯えてんじゃん」
「ウリ坊ちゃん、大丈夫だよぉ(ニコッ)」
「……フゴォォォッ」
「花乃歌の顔見て、ウリ坊怖がってるな」
地震には怯えて、私の顔には怖がるって、そんな事は無いんだよ。
「私の顔が、怖いわけじゃぁ無いよねっ(ニコッ)」
「フゴォォォッ」
────ジャリッ
私と目を合わせながら、後ずさってる。
でもね、ウリ坊ちゃん。
私がこれを握っている限り、ウリ坊ちゃんは、逃げれないんだよ。
「……花乃歌も結構、怖いヤツだな」
「私は普通だよ。普通に可愛いウリ坊ちゃんが、大好きなのさぁ」
猫吸いならぬウリ吸いっ!
両手で持ち上げて、ウリ坊ちゃんの柔らかいお腹に、お顔を埋めるっ!!
「プゴォッ!?」
「すううううううっ、臭いんだよ!?」
「だろうな……魔物を野生動物と考えたら、そのウリ坊は、物凄く不衛生だろ。顔埋めるって、冒険過ぎるわ」
「夜になったら、洗ってあげなきゃ!」
「プゴ?」
「その前に、顔を洗って来いよ……」
そんな事をしつつ、時間になったので、奏さんや他の人達と、入り慣れた黒い渦を、越えて行った。
正直、迷宮に慣れたと思っていたの。
甘く見ていた。
さっちゃんが毎回、気を張り詰めながら、行動していた事が、理解出来た。
「総員警戒。一班は偵察。二班は通信機材の確認、三班はその護衛だ。行動開始」
「第一班、偵察に向かう。装備チェック」
「ヘルメット、『良し』」
「防護服、『良し』」
「半長靴、『良し』」
「弾倉チェック、『良し』」
「セーフティ解除、『良し』」
「良しっ、行くぞ」
「「「了解」」」
声を張り上げず、とても静かに行動してる。
それもそうだ。
昼前には、海に挟まれた、真っ直ぐな砂浜だけの迷宮だったのに、その海に木々が生え、砂浜の先には、迷宮の空を貫かんばかりの、巨大な大木が存在するんだから。
「意味が分からないんだよ」
「プゴォ……」
「あの木、どこから現れたんだ? さっきまで何も無かったよな。帰りてぇ……」
「お二人共、気を抜かない様お願い致します。これは……異常事態ですね」
「やっぱりかぁ。迷宮だからって、これは無いわな。海が森じゃん」
────タタタァンッ!!
────タタタタタタァンッ!!
何この音、爆竹?
「一班より連絡っ! 鬼種っ、ボア種っ、狼種等っ、上層の魔物が大量発生との事っ!」
「一班に撤退命令! 支給華ノ恵オーナーに連絡っ! コードレッド! コードレッドだ!!」
「了解っ!!」
コードレッド?
さっきの爆竹って……銃声っ!?
何処かで聞いた音だと思ったら、あの百貨店で聞いた音だよ!?
「異常事態と言うより、緊急事態だよ!?」
「プゴプゴォ」
「来るんじゃ無かった……」
「っ、右前方構えっ! 撃てえええっ!!」
タタタァンッ────『ギギャッ!?』
タタタァンッ────『キギュギャ!』
タタタァンッ────『ゴギュッ!?』
この声って、ゴブさん達だよね。
報告を受けて直ぐ、ゴブさんが現れたって事は、この両側面の森に、隠れてた?
「なぁ花乃歌。一班の人達って、どうなったと思う……」
「そんなの……分かんないよ」
「プゴォ」
「撃ち方止めっ!! 一度迷宮外へ撤収せよ! 機器類は放置して構わん! 急げっ!!」
「「「了解っ!!」」」
「えっ、撤収……奏さん! 先に行った人はどうしするのさ!?」
「二班! 周囲の警戒を怠るな! 異常が有ると思った時点で、即時発砲せよ!」
それって、一班の人だったらどうするの!?
奏さんこっち見ないし、何だか無性に苛々してきたんだよ。
「奏さんっ!」
「っ、何ですか桐藤さん。今あなた方に構ってる余裕は、無いのですが」
「一班の人達はどうするのさ!」
「……撤収完了までに戻って来なければ、見捨てます。彼等とは、そう言う契約です」
「見捨てる? 見捨てるってっ、何で!?」
「場所が悪い、地形が悪い、魔物の数も驚異度も不明っ。部隊全員の命がかかってるのです! 少し黙っていて下さいっ!!」
黙っていて?
黙っていてって何を?
偵察に向かわせたのって、奏さんだよね?
助けに行かないのは、何で?
『何で奏さんは、動かないの?』
スキルが無いから?
後方から安全に指揮してるのに、いざとなったら仲間を見殺しにするの?
それが、地区長の役割なの?
「花乃歌止まれ。漏れてる漏れてる。アンタらも、花乃歌に銃口向けるな」
「……レオンちゃん」
「花乃歌。もうコイツらに、付き合う必要無いだろ。私らで行こうぜ」
「なっ、何を言ってるのですか! 貴方達はっ、桜乃オーナーからお借りしているのです! ここに置いて行ける訳無いでしょう!」
「別に私らは、奏さんの部下じゃ無いし。従う義務っていうの、無いんだわ。だろ、花乃歌?」
「レオンちゃん! そうだよね、私達はさっちゃんに雇われているし、好きに動いても問題無いよね!」
「プゴォッ!!」
「桜乃オーナーからの指示を待って下さい!」
そんなの、待ってられないんだよ。
緊急事態だし、臨機応変に現場判断で、私の好きに動くのさ!!
「レオンちゃん!」
「よっとっ、足危ないな」
「プゴプゴ」
レオンちゃんを背負って、ウリ坊ちゃんは私の頭に乗せてっ、森に突っ込むんだよ!!
「待ちなさい二人────」
奏さんの声はもう聞こえないよーっ!
早く一班の人達を、助けないと!




