EP.45 丸焼きか燻製か牡丹鍋か.2
奏さんに、ウリ坊ちゃんを捕獲しましたと、報告に来ました。
「……桐藤さん。その脇に抱えているモノは、一体何ですか」
「牡丹鍋予定の、ウリ坊ちゃんです!」
「プギュッ、プギュッ」(お鼻をつんつん)
若干湿り気のあるお鼻が、プニプニしてて可愛いんだぁ。
私がガッチリホールドしても、全然潰れないウリ坊ちゃんで、体の弾力を感じるの。
こう言うの、良い肉質って言うのかな?
「牡丹…鍋? えっ、食べる気…っ、頭が痛くなって来たっ」
「奏さん大丈夫か?」
「疲れた時には栄養摂らなきゃ! 滋養強壮に効く食材なら、この子だよっ!!」
「プゴォッ!?」
滋養、強壮に、迷宮産ジビエ肉百パーセントの、可愛いウリ坊ちゃんっ!!
この弾力だから、美味しいお肉間違い無し!
「迷宮の魔物なんて食べませんよ!?」
「そうなの? さっちゃん食べてたけど?」
「確かに。あの踊る変態食ってたな」
「プッ、プゴォッ!?」
「桜乃オーナーが特殊なだけです! 我々は迷宮の魔物を食べません!」
さっちゃんだけじゃ無くて、私とレオンちゃんも食べたんだけどなぁ。
弾力があって、あの脚は美味しかったぁ。
「奏さん達が食べないのなら、私達で丸々食べれるねっ、レオンちゃん!」
「プギュッ、プギュッ」(お鼻をつんつん)
「私も食べないぞ。そいつかどうかは分からないけど、迷宮のウリ坊には、借りがあるからな。食べるのは、花乃歌だけにしてくれ」
ぬぅ、レオンちゃんも食べないのかぁ。
牡丹鍋にするとなると、先ずは解体だよね?
血抜きをするのは分かるんだけど、そこからどうしたら良いんだろ。
「解体のやり方、分かんないなぁ」
「……プゴォ」
「そうだ! 小々波さんなら出来るんだよ!」
「プゴォッ!?」
「若しくは手っ取り早く、燻製……丸焼きも美味しそうだよねぇ」
「プゴォッッッ!?」
「でも、牡丹鍋も食べたしい。迷うなぁ……」
「プゴォォォッ」
脇から外して、両手で持ち上げて、そのつぶらな瞳と目を合わせるの。
「ウリ坊ちゃん……」
「プゴォ……」
「丸焼きか、燻製か、牡丹鍋。ウリ坊ちゃんは、どれが良いと思う?」
「ブフッ! プゴォッ!?」
しっかりと、ウリ坊ちゃんの要望も聞いた上で、美味しく頂きますっ。
さあウリ坊ちゃん!
私にどれが良いかを教えて欲しいのさ!!
「なあ花乃歌……いつ言おうか迷ってたんだけど。そいつ、私達の言葉理解してるだろ」
「何言ってるのレオンちゃん? ウリ坊ちゃんは魔物さんで、牡丹鍋候補なんだよ?」
「プゴッォォォッ! プゴッ!」
「うん、花乃歌に話が通じて無い事は、理解出来たわ……ウリ坊、両手上げてくれ」
「プゴッ!」────(お手上げポーズ)
「ウリ坊ちゃんが真っ直ぐになった!?」
いや、これはただの背伸びだよね?
私が両手で掴んだままだから、抜け出そうと頑張って、脚を伸ばしたのかも知れないし。
「ウリ坊! 花乃歌に唾を吐けっ!」
「カァァァッ、ペ──ッ!」
ベチャッ────「ぬわっぷっ!?」
「ウリ坊、それは痰だな」
「プゴッ!」
「何するのって臭っ!? これ臭いっ!!」
「お前、もしかして……あの時のウリ坊か?」
「プゴッ!」(片脚を上げて)
「……花乃歌、そいつ離してやれって」
レオンちゃんがっ、ウリ坊ちゃんの可愛さに懐柔されたっ!?
いくらレオンちゃんの頼みでも、このウリ坊ちゃんを離す訳にはいかないの!
「だってっ、牡丹鍋が食べたいんだもん!!」
「迷宮調査終わったら、店探すから。取り敢えずそのウリ坊は置いとけって」
「っ、本当? それならこのウリ坊ちゃんは、食べないんだよぉ」
「プゴォ……」
「我が家にお迎えして、このお鼻をプニプニ触り放題っ!」
「プゴ…? プゴォッ!?」
朝起きたらプニっとして、学校行く前にもプニっとして、帰って来たらプニっとして、一緒にお風呂で優しく洗って、寝る前にプニっとするの。
「癒しのウリ坊ちゃん、一緒に帰ろうねぇ」
「……野小沢さん。桐藤さんは、いつもこんな感じなのですか?」
「いつもこんな感じだな。可愛いモノが大好きで、周りが見えていないんだ。魔物と一緒に暮らすとか……奏さん、華ノ恵に連絡頼むわ」
「直ぐにでも。津頭嶋! 至急桜乃オーナーとモニターを繋げ!」
『了解しました!』
「あの花乃歌を止めるには、華ノ恵が一番効果的だろ……」
「覚えておきます」




