EP.45 丸焼きか燻製か牡丹鍋か.1
「貝さん……居ないなぁ」
「こっちは見つけたぞ。大量大量で、バイト代が楽しみだ」
「レオンちゃん、お金の亡者になってるよ…」
私が見つけたトゲトゲ貝さんを集め始めて、早三日。延々と続く海が広がる迷宮の中で、何故か貝を集めてます。
潮干狩りって、こんな感じなのかな?
「お金は大事だろ? 花乃歌は良いよな。あの赤い石を売れば、一生遊んで暮らせるだろ?」
「売らないよ! あの石さんは、私のコレクションにノミネートされてるからね!」
「……花乃歌って、収集癖でもあるのか?」
「無いよ? ただ綺麗なモノだから、取っておきたいんだよ。我が家の家宝にするのさ」
桐藤家の家宝にして、末代まで残すの。
末代……私で途切れないよね。
結婚してる想像が……出来ないっ!?
「さっちゃんか、レオンちゃんに、お婿さんに来て貰おうっ」
「お婿って、私は女だが? 男勝りとでも言いたげだな」
「ハッ、口にでてた!?」
「何を考えてんだよっと、もう一個発見」
さっきからレオンちゃん、ぽんぽん貝さんを取ってるよね。私は前一個取れただけなのに、どうやってるんだろ。
「レオンちゃん。どうやって貝さん見つけてるの? 私全然見つからないんだよ」
「んっ? スキルで探してるぞ?」
「スキルで? レオンちゃんのスキルで、貝さん取る事が出来るの?」
「ああ取れるぞ。こうして話しながら、スキルを海面に意識して使うと、何か変な感じがするから、そこを探ったらあんだよ」
それって、ソナー?
レオンちゃんのスキルって、『狂気の叫び』って言う物騒な名前なのに、そんな事も出来るんだねぇ。
「貝さん専用のソナー。このエリアは、レオンちゃんのお財布となるんだねっ」
「言い方はアレだけど、間違って無いな」
「奏さんの部隊の人達……レオンちゃんを羨ましげに、見詰めてるんだよ」
「見詰められてもなぁ。人数多いのに、何で見つけられないんだ?」
何でだろ?
貝さんが逃げてるから?
でも、貝さんの中身は、あの石だよね。
「逃げる足が無いのに、不思議なんだよ」
私も早く探さなきゃっ!
複数個集めて、一個ぐらいは私の手元に、残しておかないとね!
「貝さーん出ておいでーっ(ニコッ)」
パシャッ────
今何か跳ねた?
少し深そうな所だけど……何だろ?
「私の笑顔に反応したのかな? (ニコッ)」
パシャッ────
やっぱり跳ねた。
今のって、トゲトゲ貝さんだよね?
「中身が有る貝さん?」
じゃぶじゃぶと見に行くのさ。
多少濡れても大丈夫!
しっかりと、中に水着を着てるからね!
あれかな?
少し潜れば、取れそうな深さなんだよ。
「ふぅっ──ぷぷ? ぷーん? ぷはっ」
これは、トゲトゲ石さん?
今までの、ウニさんの様な形じゃ無くて、何と言うのか……巻貝さん?
「レオンちゃーん! 巻貝さん見つけたーっ!」
『巻貝?』
『おいっ、あの子また見つけたって』
『何で俺ら見つけられないんだ?』
『知らねぇよ』
今度は私に視線がっ!?
うぅっ……小声で言えば良かった。
「花乃歌、それ割るなよ」
「割らないよ! 袋に入れといてっ、これで大丈夫だね」
ゴゴゴゴゴッ────『また地震?』
波が揺れて、結構ぐらぐらしてるけどっ、ここに居ても大丈夫なのかな?
『総員周囲を警戒っ! 異常が有れば報告を!』
「「「了解っ!!」」」
「奏さん凄い緊張してる」
「そりゃあ魔物が来るかもだからな、警戒もするだろ?」
「魔物さんより、ミノンちゃんかミオンちゃんが来て欲しいよ。モフふわ尻尾が気持ちいいんだぁ」
「私あの時、尻尾触って無いからな。触らして貰えば良かった」
ふふふ。一度でもあの尻尾を触ったら、モフふわの虜になる事間違い無しだよ。
「モフモフふわふわ……? 何だろ、海面がぽこぽこ泡立ってる?」
「下からガスでも出てんのか? 危ないから少し離れようぜ」
流石にガスは怖いんだよ。
これは、奏さんに報告した方が良いよね?
ゴゴゴゴゴッ────『またか? 今回の地震結構続くな。大丈夫か花乃歌?』
「大丈夫だよ。一度奏さんの所に戻ろう」
浅瀬とは言え、いざと言う時には、直ぐに動ける様にしておかないとね。
そう思い、ぽこぽこ泡が出ている海面から目を離したその時────『ドポンッ』と言う音が聞こえ、振り返る間も無く、天地が逆さまになった。
ドボンッッッ────「ぷぷ? (何さっきの? 物凄い力で、突き上げられた?)」
「何だ今のっ、花乃歌!?」
「ぷはっ! けほっ、けほっ、一体何さ!」
パシャパシャ────『プゴ?』
「おい花乃歌大丈……んっ?」
「うぅ、鼻に海水入った」
パシャパシャ────『プゴォ?』
「……なぁ、花乃歌」
「何レオンちゃん、ちーんっ!!」
パシャパシャ────『プギ?』
「お前の周りを、泳いでるぞ?」
「何がさ? うぅ、目がしょぼしょぼしてるっ」
目を擦って、ようやくハッキリ見えた!
何が泳いでるって……えっ?
「プゴォッ!!」
「牡丹鍋だああああああ──っ!!」
「プゴォッ!?」
全力で飛び掛かり、『プゴッ!?』胴体をしっかり掴んで、脇に抱え込み、空いた片手でお鼻をぷにぶに。
「気持ち良い……牡丹鍋」
「プギュ、プギュ」
「今一瞬、花乃歌の動き見えなかったぞ……どんどん人間離れしてるじゃん」
奏さんに報告しないと!
ウリ坊ちゃん(牡丹鍋候補)を捕まえたって!




