EP.44 貝殻?真珠?拾いモノ?.2
奏さんに手首を掴まれ、広場からぐるっと回って、階段を上った先にある、所長室と書かれたお部屋にやって来ました。
所長さんって、さっき奏さんが、良い感じに落とした人だよね? 勝手に入って良いのかな?
カチッ────
んっ?
奏さん今、ドアの鍵を閉めた?
「えっとぉ、お久しぶりです?」
「……お久しぶりです桐藤さん。先程は、ここの所長が失礼を致しました」
「別に気にしてないよ? まさかあんなに、取り乱すとは思わなかったけどね」
「…………」
「……えっとぉ」
何も喋ってくれない。
ドアの前から動いてくれないから、物凄く不安なんですけど?
「……どうしてあの場に、居たのですか?」
やっぱりそれですよね。
怒られるのかなぁ……嫌だなぁ。
奏さん、目がキリッとしてるから、少しだけ怖い感じに見えるよぅ。
取り敢えずは、謝っておかないと。
「御免なさいっ!」
「……何故謝るのですか? あの場に居た理由を、尋ねているだけなのですが」
「えっとぉ…朝起きたら、皆んなが走ってたので……気になって、付いて行きました……」
「……そうでしたか。てっきり『探索者』達の腕試しに来たのかと……ふぅ、安心しました」
腕試しとは?
言ってる意味が分からないんだよ。
「腕試しなんかしないよ? (私は一体、どんな人と思われてるの?)」
「失礼しました。先程お伝えした通り、八時になりましたら広場までお願い致します。本日は我が隊も同伴しますので、宜しくお願いします」
「わっ、分かりました(さっきの人達かな?)」
「……」
「……あのぉ、ドアをぉ」
「失礼しました」────カチッ
やっぱり閉められてた。
何か怖いんだよぉ(ニヘッ)。
変な笑みが出ちゃった。
「それでは、また後ほど」
「うん。また後でぇ……」
急いで、でも変に思われない様に、小走りでお部屋に戻って、ドアを閉めたらベットにもそもそ入ります。
「ボソッ(怖かったぁぁぁぁぁぁっ、怒られるのかと思ったよぉ……。私が腕試しって、何の事だか分からなかったし)」
一度会っただけだから、何か勘違いされてるのかなぁ……まだ時間あるし、少しだけねるんだよぅ。
『周囲の魔物の警戒! 先ずは水質調査! 問題が無ければ、砂浜と浅瀬の調査を行う! 行動開始!!』
「「「了解!!」」」
凄い絵になる光景なんだよ。
軍服っぽい奏さんが指示をだして、『探索者』って言う隊員さん達が、テキパキとお仕事しているの。
「んで、私らは護衛ってところか?」
「そうみたいだね。またイカタコさんが来たら、今度は脚を、全部貰うのさ」
「あの脚、地味に美味かったからなぁ。だから花乃歌、そんな物騒なモノ持ってんだな」
「仕方無くだよ……こんなの持ちたく無いもん」
本当に、物騒な得物なんだよ。
刃渡り百四十センチの巨大包丁で、鞘が無く、抜き身状態なんです。
イカタコさんが現れた瞬間に、突撃して斬れって事だよね?
「その持ち手、花乃歌が握っても潰れないって事は、特別製なのか? あのフライパンとは、大違いだな」
「お家のフライパン……そろそろ取っ手が千切れそうなの。買わないとなぁ」
「うん。取っ手が取れるんじゃ無くて、取っ手が千切れるって言葉、初めてきいたわ」
「取っ手の取れる、フライパンを買おうかなぁ」
「潰しても、取っ手を替えるだけだからな。それだけ販売してるのか、知らんけど……」
売ってくれたら良いのに。
取っ手の替えを、二十個は買うんだよ!
業者じゃ無いの! 個人で消費します!
「にしても……暇だな」
「うん。魔物さん一匹も出ないよね?」
昨日も、イカタコさんが現れただけで、他の魔物さんは出なかったもんね。
「海を眺めるしか……やる事がないや……?」
何か浅瀬で光った?
何だろう……石ころにしては、光沢があって綺麗なんだよ。
「どうした?って、おい花乃歌っ!?」
ジャブジャブッ────『よっと……貝?』
何故に迷宮で貝さん?
イカタコさんが居るぐらいだから、貝さんが居ても可笑しく無い……のかな?
「ボソッ(花乃歌ーっ! 早く戻って来いって! 奏さんに見られてるぞーっ!)」
しまったっ、調査中だったの忘れてた!?
奏さんが、まじまじと見て来てるぅっ!?
砂浜に戻るんだよっ。
「何やってんだよ花乃歌……調査中なんだから、大人しくしてろっての」
「御免なんだよ。でもさ、見てレオンちゃん。こんな貝さん、見た事無いよね?」
「あん? うえっ……虹色のウニ? そのトゲトゲって殻なのか? 凄え生態だな……」
「開けたら身が有るのかな?」
「……花乃歌。お前は少し、慎重さを学ぼうな? これが魔物だったら、どうすんだ?」
貝の魔物?
それは……昨日のイカタコさんが食べれたんだから、勿論食べるんだよ。
貝柱が有ったら、お醤油で焼くんだぁ。
「えいっ」────パキィッ!
「あっ、割りやがったっ!?」
「……身が無い」
「身が無いって……殻だけだったんじゃ無いのか? 若しくはただの石とか?」
「身は無いんだけど、何か出て来たよ……何だろこの石?」
「石から石が出てくるって、どんな石だよ」
直径二センチの丸い石?
ぱっと見は真っ黒なんだけど、見る方向を変えたら、虹色に輝いてるの。
「貝から出て来たから……真珠?」
「迷宮で真珠は無いだろ。取り敢えず、奏さんに見てもらったらどうだ?」
「うん……そうしてみる」
これはアレかな?
私のコレクションに、また一つ、新たなお仲間が追加されるのかな?




