EP.43 迷宮上層フルマラソン.6
さて問題! (デデンッ)
踊る変態に襲われて、私は全力全開猛爆速で走っていました。
さて、何キロ走ったでしょーうか?
レッツ、シンキングターイム♪
「なぁ華ノ恵。歩けど歩けど、一向に出口見えないんだけど……これどうすんの」
ザッザッ────(砂浜を歩く音)
「これは予想外ですわね。荷物を背負ってたとは言え、あの踊る変態が、桐藤さんの全速力に、付いて来れただなんて……」
ザッザッ────(砂浜を歩く音)
「花乃歌って、どれぐらい走ってたっけ?」
ザッザッ────(砂浜を歩く音)
「時間なんて測ってませんわ。スポーツカー並みの速力でしたので、軽く数十キロは走ってると思いますが」
ザッザッ────(砂浜を歩く音)
「確かに速かったな。アトラクションの絶叫マシンとは、比較にならない程怖かったぞ。あんなん二度と御免だぜ」
ザシュッ────(砂浜で止まる音)
「どうしましたの桐藤さん、足が止まっておりますわよ」
「ほら花乃歌。先進まないと、今日中に帰れなくなるぞ」
「突っ込みを入れまいと我慢してたのにっ! 何で二人共っ、私の上にまだ乗ってるのさっ!」
「力の温存ですわ。私の体質をご存知でしょ?」
「華ノ恵だけズルいだろ? だから私も、こうして乗ってるんだ」
そうだったんだね。
さっちゃんだけ乗ると狡いから、レオンちゃんも乗って、ほーらコレで、狡じゃ無い。
「私からしたら二人共狡いよ!?」
「ボソッ(花乃歌怒ったじゃん。華ノ恵の所為だぞ……)」
「ボソッ(貴女が後から乗って来た所為じゃない。何とかして下さいな)」
「二人共全然反省してくれない!?」
「よいしょっと。悪かったな花乃歌、少し悪ノリが過ぎたわ」
「本当ですわよ野小沢さん。少し反省して下さいまし」
「いや、お前も降りろよ……」
「私は降りませんわよ? いざという時の為に、こうして運んで頂きますの」
まさかこの大きいリュックって、さっちゃんを乗せる為に持たされてる?
そんな訳無いよね?
「さっちゃん。これからどうするのさ。真っ直ぐ進んでいれば、出口に着くとは思うんだけど、海とか調査しないの?」
「……出来ればここは、遠慮したいですわ」
「どうしたのさっちゃん?」
迷宮内の海だよ?
海の底が見えるぐらい綺麗だし、調査したら、何か見つかるかも知れないじゃん。
「くくっ。花乃歌……そいつ泳げ無いんだ」
「えっ、さっちゃん泳げ無いの?」
「野小沢さんっ。桐藤さんに、嘘を教え無いで頂けますか……」
「足が悪いから、泳げ無いとか?」
「そうですわ! 足が悪い所為ですの!」
「浮き輪使っても沈んでたよな」
浮き輪使って沈むの?
さっちゃん重く無いよ?
どう言う事なのか、分からない。
「スキル使えば、泳げるんじゃ……」
「ボソッ(スキルを使っても沈みますのよっ)」
うぅん……ここの調査、さっちゃんには厳しいかもだよ。
「こんなに綺麗な場所なのに……」
「桐藤さん。早く戻りますわよ」
「うん……今のさっちゃん、濡れるのが嫌な、猫ちゃんみたいだよね」
「ぷふっっっ、華ノ恵が猫っ、ぴったりじゃん」
「野小沢さん……覚えてなさいっ」
また喧嘩してる。
喧嘩する程仲が良いって言うけど、この場所では勘弁して欲しいんだよ。
黒い渦さんお久しぶりです。
やっとの事で迷宮から出て、農業プラントに帰ってきました。
時計を確認すると、大体八時間ぐらい歩いたんだよ。
疲れた?
私は何故か、疲れてません。
「あー疲れた。脚パンパンじゃん……痛っ」
「お疲れ様ですわお二人共。明日にまた、あの場所を調査しますので、しっかりと身体を休めて下さいまし」
「さっちゃん大丈夫なの?あの場所苦手なのに?」
「明日は私では無く、奏と行って頂きますわ。他の業務も御座いますし、頼みましたわよ」
「ボソッ(逃げやがった)」
「聞こえていますわよ野小沢さん。今日は魔石も取れなかったので、日当五千円ですわね」
「安過ぎるわ! あんだけ歩かされて五千円って、最低賃金より安いじゃねえか!?」
最低賃金……戸ノ浄市の最低賃金だと確か、時給千五百円だったよね。
「七千円足りない……」
「桐藤さんには、日当二万差し上げますわよ。私を運んで頂きましたからね」
「華ノ恵っ、マジで良い性格してるな……」
「さっちゃん、労働対価はしっかりとだよ。流石に五千円は、少な過ぎると思うの」
「流石花乃歌だ! もっと言ってやれ!」
五千円は、流石に少ないよね。
せめて最低賃金ぐらいは無いと、働く意味が無いんだよ。
「仕方無いですわね。でしたら、一万二千四百円をお支払い致しますわ。これで文句無いでしょ、野小沢さん」
「さっ、最低賃金にプラス四百円しただけ!?」
「さっちゃん、絶対遊んでるよね……」
お昼ご飯は、イカタコさんだけだったから、お夕飯食べに行こっと。
農業プラントの食堂は、お野菜が新鮮で美味しいからね。
「さっちゃん、レオンちゃん。お夕飯行かないの?」
「っ、行くに決まってんじゃん。こうなったら、飯だけでも大量に食ってやるからな!」
「ふふっ、いくらでも食べて下さいまし」
何食べようかなぁ。
お野菜をふんだんに使った、冷製パスタとか良いよね。




