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EP.23 他地区見学会.3



「んで、どうしたんだ花乃歌」

「何か気になる事でもありますの?」


 うん、何て言ったら良いんだろぅ。

 迷宮に落っこちた時、可愛いモフモフ女の子と、牛さんを焼き焼きして過ごしました?

 モフモフ尻尾の可愛い女の子が、牛さんを解体して、生でモグモグ食べてました?

 ぬぅ……さっちゃんに聞いてみようかなぁ。

 私、頭がおかしい子って思われないかなぁ。


「ねえ、さっちゃん……」

「何かしら桐藤さん」

「さっちゃんが前に居た世界って……ゴニョゴニョ」

「何を言ってるのか聞き取れませんわ、はっきり言いなさい」

「ぬぅぅぅっ、何て説明したら……」

「珍しいな、花乃歌が言葉濁すなんて」


 だって、頭のおかしい子って思われるの、嫌なんだもん。さっちゃんやレオンちゃんにそんな目で見られたら……号泣しちゃうんだよ!


「ふぅっ……犬耳の女の子って……さっちゃんは見た事ある?」

「……犬耳? コスプレか何かですか?」

「違うだろ華ノ恵、前の世界で見た事あるかって聞いてるんだろうよ」


 レオンちゃん有難う!

 と言うか、さっちゃんからコスプレって言葉が出て来た事に、少しビックリなんだよ! さっちゃんが犬耳……レオンちゃんは猫耳……鼻血が出て来そうなんだよ可愛い過ぎるぅ!


「桐藤さん……何故それを今聞くのですか?」


「うん……色々あったから、言うの忘れてたんだけど、前に迷宮に落っこちた時……尻尾がモフモフの女の子に出逢ったの」


「何だそれ、そんな魔物居るのか?」


 あの子は魔物さんじゃ無いんだよ……言葉は通じなかったけど、後に来たお母さんは言葉通じてたし、魔物さんなら問答無用で襲って来るもん。


「前の世界で犬耳……迷宮ならば狼種も出ますが、それ以外となると。まさか……有り得ませんわそんなのっ、越えて来た存在!?」


 さっちゃんのお顔がっ、せっかくの美人さんなのに眉間の皺が凄いんだよ!?


「桐藤さん! その女の子はどうしましたの! 何処にっ、何か言ってませんでしたか!」

「お顔近いよさっちゃん!? その女の子は何言ってるのか分からなかったけどっ、お母さんが迎えに来て消えちゃったの!」

「もう一体っ、何で早く報告しなかったのです! その者達は『落ち着け華ノ恵っ(ゴッ)』痛っ、何しますの野小沢さん!」


 レオンちゃんがさっちゃんに拳骨っ、物凄い音鳴ったけど、大丈夫なの?


「花乃歌が言ってただろ、色々あって忘れてたって。あの状況で思い出せる訳無いだろ華ノ恵、詰め寄る前に少しは考えろっての」


「っ……すみません桐藤さん、取り乱しましたわ」


「良いんだよ、伝えるの遅くなって御免なさい。それで、さっちゃんはその人?達をしってるの?」


「ええ……と言っても、世界を越えて来る様な化物では無かった筈ですが」


 世界を越えて?

 何かのタイトルみたいだけど、魔物さん達と違うって事?


「世界を越えてって……一体最下層に何があるんだ?」


「……初期の、まだ迷宮が浅い時の資料によりますと……巨大な湖の底に、家が見えたそうですわ。そこに行こうとした者も居た様ですが、湖に触れた瞬間、干涸びて亡くなったそうです。一度引き返して装備を整え、また直ぐに迷宮に入った様ですが、今度は湖に近付くだけでも衰弱して行き……五十名で突入して、帰って来れたのは僅か二名ですわ」


 迷宮の最下層って、そんなに危ない場所なんだね。それから、今は何故か迷宮が拡大して、最下層にすら行けなくなったんだ。


「ですので私達は、その湖が世界の狭間、境界では無いかと推測しておりますの。ですが、調査したくとも最下層は遥か底ですし、未だ迷宮は拡大を続けております。その様な所を通り抜け、地上近くまで来るなんて……化物以外の何者でも無いですわ」


 化物かぁ……鉄塊の先に、そのモフモフ尻尾の女の子が居るかもなんだけどぉ……化物って言われる程、危ない子じゃ無いんだよ。


「それで桐藤さん……何故それを今、私達に報告したのか、理由を説明して下さらないかしら」


「そういやそうだったな、何でだ花乃歌?」


「うぅっ、さっきの映像から聞こえて来た声、もしかしたら……その女の子かもって……さっちゃん目が怖いよぅ!」


 さっちゃんのお顔が更に険しくっ、髪が真っ白になってるよ! 本気モードに成らないで!


「どうりで鉄塊が削られる訳ですわね……一体何が目的で……桐藤さん! その女の子の事をもっと詳しく教えて下さいまし! 越えて来る存在なんて、まともに戦っても勝ち目は有りませんわ!」


「花乃歌でも勝てないのか? この三人の中じゃ一番強いだろ」


「恐らくですが、戦えば花乃歌さんが負けますわ。それ程に最下層は恐ろしいのよ……」


「確かに……あの女の子、私の投擲を軽く避けてたもん。何か遊ばれてた感が有ったし、笑顔で牛さん解体してたしね……」


 もしかして、遊びに来たのかな?

 そうなら良いなぁ。

 モフモフ尻尾触わ触わし放題だよ。


 



 と言う事で、さっちゃんとレオンちゃんに、迷宮内で出逢った女の子の説明をしました。

 本当に可愛いモフモフだったんだよ。

 言葉分からなかったけどね。


「成程……桐藤さんの仰った事が真実だとすれば、その女の子はただキャンプをしていただけ、と考えれますが……自分で言ってて頭が痛くなりそうですわっ!」


「さっちゃん落ち着いて!? 迷宮って違う世界だとキャンプ場なの!?」


「花乃歌も落ち着けよー」


 落ち着いて居ますとも!

 でもキャンプって……井戸があって、ご飯は魔物さんで、あの子は楽しそうで、お母さんが迎えに来て……キャンプだよ! しかもおままごとのキャンプだよ!?


「あちらの世界でも迷宮は有りましたが、キャンプなんて馬鹿な事をしよう者なら、即魔物達に囲まれて、骨も残りませんわ……」


「実際入って思うのは、キャンプ場じゃ無いのは間違い無いな。私一人なら、喉が潰れたら終わりだし、耳が聴こえない奴が居たら即あの世行きだぞ……」


 レオンちゃんのスキルは特殊だからね。

 お耳が聴こえない魔物さんって……蛇や蜘蛛さんとかかなぁ。

 私はゴキさん以外なら大丈夫だけど、ゴキさんが魔物さんサイズで来たら……うぅぅぅっ、全力で逃げます!!


「先ずは餌付け……最悪、野小沢さんのスキルで混乱させて、捕獲になるでしょうか……」

「捕まえちゃうのさっちゃん!?」


「下手をすれば此方は全滅、捕獲出来るならそうしますわ」

「妥当だわな、捕獲出来ればだけど」


 そんなっ、もしお母さんが助けに来たらどうするのさ! あのモフモフ美人さんっ、絶対に怒っちゃうよ!


「お母さんが助けに来たらどうするの!」

「素直に帰しますわ……流石に、二体も相手には出来ませんもの」


 不味いっ、絶対あの子一人なんだよ!

 お母さんが迎えに来るぐらいだから、一人で探検するのが好きなタイプだ!


「餌付けが先ならっ、私が先頭に立ちます!」


「当たり前ですわ。桐藤さんが顔見知りなら、わざわざ争う事も無いでしょうし」


「先頭は花乃歌以外無理だろ、頼むぞ」


 アレっ? 意を決して立とうとしてるのに、二人の反応が淡白なんだよ……解せぬっ。



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