EP.41 明日から夏休み?.1
「……憂鬱な朝が来たんだよぉ」
割れた窓から、雀さんの可愛い鳴き声が聞こえるけど、全く癒やしになりません。
可笑しいなぁ……夏休み前なのに、全然楽しみじゃないんだよぉ。
「学校終わって直ぐ課題やって、明後日から迷宮マラソン大会……解せぬぅ」
昨日は海老さん食べれなかったし、窓ガラス割れちゃってるし、気分が落ち込むんだよ。
「今日の朝ご飯は、さらっとお茶漬けですまそうかなぁ。作る気力が湧きません」
大きめのお茶碗に、米を盛り盛り、キムチをのせて、緑茶を上から注ぎます。
あっと言う間にキムチお茶漬けの完成。
「ムグムグ……辛さがまいるどぉー」
辛いモノって、何でこう病みつきになるのかな。少しだけ元気になります。
「朝のニュースは、何だろなぁっと。ぽちぽち」
ふんふん…『戸ノ浄市で余震が頻発! 最大級の警戒を!』……また地震があったんだ、寝てて気付かなかったんだよ。
「他には、『華ノ恵グループ、那邪道優氏解任。 社員達から安堵の声が』これは、あの子のパパさんだよね? 解任……」
何かあったのかなぁ。
解任ってことは、さっちゃんが何かしたって事だよね。
那邪道地区どうなるんだろ……他の人に変わるのかな?
「面白そうなニュースが無いなぁ。シャワーでもして、学校行く準備でもしとこ」
もそもそと起きて、しゃわしゃわスッキリ。髪を切った所為か、少しだけ頭が軽い気がするよね。
「ドライヤーさんスイッチオン!」
ブオォォォ────こうやって髪を乾かしていると、やっぱりサラサラヘアに憧れるよね。出来ればさっちゃん並みに、サラサラしたい。
制服に着替えて、髪を纏めて……お顔見えてるし、纏めなくて良いかな?
「良しっ、準備完了いってきます!」
ガチャ──っとドアを開けまして、バタンとドアを閉めまして、カチャっと鍵を閉めまして、パキンと鍵が、折れちゃった?
「……えっ…鍵、鍵が折れた!?」
家に入れない!?
待って……そうださっちゃん! さっちゃんに言えばっ、直して貰えるんだよ!
「研究所が買い取ったって言ってたもん。大丈夫だよね? 学校で言う前に、メッセージで知らせておこう…ぽちぽちと、ついでに窓ガラスも、お願いしますっと。行こ……」
ふんふんふんふーん。
ふふふんふんふん。
階段下りて、のんびり駅へー向かうのさー。
青空の下を歩いていると、少し気分が良くなって来るよね。
レオンちゃんはー、居るかいなーっと、レオンちゃん発っ……? 何か項垂れてる。
「レオンちゃーん」
こっち見た……眠たそうにしてる? どうしたんだろ、珍しい。
小走りでレオンちゃんに突撃だーっ。
「おはよ花乃歌…」
「おはようレオンちゃん。どうさたのさ、眠たそうにして」
「花乃歌は…大丈夫だったか?」
「何が?」
「あの海老…」
あの海老……海老さん!?
「まさか、レオンちゃんも?」
「あぁ、やっぱり花乃歌もか。茹でようと思ったら暴れ出してな……壁に張り付くは、物壊すわで、大変だったわ……」
「私は外に逃げられたんだよ……猫ちゃんが齧ってた……」
さっちゃん印の窓ガラスを、粉々にした海老さんを、ガリゴリと美味しそうに食べてたんだぁ。野良の猫ちゃんって、強いよね。
「花乃歌は食えなかったんだな。私は何とか食えたけど、味は中々美味かったぞ。二度と買わないけど……」
「食べれたんだね。私も食べたかったけど、流石にもう、天井に張り付く海老さんは買わないかなぁ」
買うとしたら、調理済みの海老さんだね。
もう不思議海老は懲り懲りなのさ。
学校に到着!
ガラッと扉を開けて、「おはよーう」と言ってみます。
ザワ、ザワザワ──「何かの恒例行事かよ」
「最早お馴染みだよね……(ニコッ)」
「やーめろって花乃歌。また変なオーラ出たら、どうすんだよ」
変なオーラって、酷いよレオンちゃん。
私は普通に、笑顔を振り撒いてるだけなんだよ。
「花乃歌の笑顔は、アレだ。慣れない奴からしたら、口の中に銃口を突っ込まれてる感じだろうな」
「殺意の塊じゃないよ! ちゃんとお顔うにうにして、怖く無い様努力してます!」
「別に怖くは無いですわよ、桐藤さん」
「さっちゃんおはよう! お家の鍵と窓っ、お願いします!」
「おはよう桐藤さん野小沢さん。鍵と窓は手配しましたわ。ですが……窓ガラスを海老に割られたなんて、意味が分かりませんの」
ですよねー、でも嘘じゃないんです。
粉々に割られて、外に逃げたんだからね。
「あのガラスは、魔石の粉を練り込んだ、特殊強化ガラスですのに……海老に割られたなんて」
「事実なんだよさっちゃん、大きな海老さんだもん」
「異様なデカさだったな。私はスキルで混乱させたから、何とかなったけど……」
「レオンちゃんスキル使ったの!?」
「海老にスキルを使ったのですか!?」
だからレオンちゃんは調理出来たんだね。
海老さんにスキル……魔物さんじゃないよね?
ガラッ──「ほい皆んな席つけー」




