EP.40 夏休み前の日常.5
あれだよね。美容室に慣れない人が行ったら、精神的に疲れちゃうよね。
縦ロールおほほスタイルとか、猫耳ふわふわちゃーみースタイルとか、メデューサヘッドスタイルとか、色々遊ばれました。
レオンちゃんは三十分程で終わったのに、私は一時間……鏡に映る自分のお顔と睨めっこ。
「結局ストパーは駄目で、前髪と、腰まであった髪を整えただけって」
まぁ…多少見た目は良くなったよ?
多少だけどね。
それで今は、華ノ恵百貨店のテラスで、のんびりティータイム中。
「機嫌直せよ花乃歌。ストパー駄目でも、今の髪型似合ってるぞ」
「そうですわ。今後もあのお店を利用すれば、雑なハサミで切らずに済みますわよ」
「それはそうだけど……」
「次ハサミで切ったら、桐藤さんのアパートの近くに美容室を作りますわよ? 勿論スタッフは新人ばかりですわ」
私を実験台にする気だ!?
それは冒険過ぎるので嫌です!
「さっちゃん、それは勘弁で!」
「なら次からは、必ず美容室を利用なさいな」
ぬぅぅぅ、仕方無いのかなぁ。
「分かったよぅ…切りに行きます」
「宜しい。それと、明後日から夏休みですが、当日中に課題を終わらせて下さいまし」
んーんっ? 今なんて?
「さっちゃん、今なんて?」
「休みが始まった当日中に、課題を終わらせて下さいましと、言いましたわ」
「また偉い無茶言うな華ノ恵……」
「本当だよさっちゃん。当日何て無理だし、何の為に終わらせるのさ」
「桐藤さんが一撃で破壊した、研究所の装備一式の御値段……聞きたいですか?」
一撃で破壊した装備の御値段……あの時、ミオンちゃんを攻撃されて、一撃で破壊した、お高そうな装備の御値段。
「きっきききっ、聞きたく無いです……」
「ですわよね? なので桐藤さんには、夏休みの大半を、他地区の迷宮探索に費やして頂きます。断ったら……あの装備を、弁償して頂きますわ」
さっちゃんが怖い……本気の笑顔だよ。
「エグい詰め方すんなよな。あれは花乃歌の責任と言うより、全部が全部イレギュラーな出来事だっただろ」
「それでも、壊したのは花乃歌さんですわ。違いまして?」
「私が壊しました……うぅっ」
「はい、そうですね。ですので、一日で課題を終わらせませんと、時間が有りませんわ」
叫びたい気分です!
むぎゃぁあああって叫びたい!
「花乃歌。明日学校早終わりだから、一緒にやるか?」
「レオンちゃん! お願いします!」
「私は学校が終わり次第、研究所に向かいますので、課題が終わったら連絡して下さいまし」
「分かったよぅ……連絡します」
レオンちゃんと一緒だからっ、分からないところを聞きまくるんだよ!!
さっちゃんのお車でアパート到着!
結構な遠回りなのに、有難うだけど、さっちゃんは天使の時と、悪魔の時の差が激しいです。
「それでは、また明日ですわ。ご機嫌よう」
「ごきっ、また明日! 送ってくれて有難うだよさっちゃん!」
「じゃあな華ノ恵。また明日ー」
ふぅ、危うく慣れない御嬢様言葉が出て、恥ずかしい思いをするところだった。
「私食料品買いに行くけど、花乃歌はどうする? 一緒に行くか?」
「行くよ! 今七時半だから、色々残ってるかもだし」
セール品が残ってたら良いなぁ。
少しでも節約して、お金を貯めておかないと、何かあった時に困るんだよ。
「んじゃ行くか」
「うん!」
売ってるお肉は怪しいけども、徒歩数分で行けるのは楽だね。
レオンちゃんと雑談しながら移動だよぉ。
そして到着食料品店!
お得なお品は有るのかなぁ。
『らっしゃいらっしゃいっ、残り三尾の巨大海老っ、無くなり次第終了だよー!!』
『それ一つ貰おうかしら』
『へい毎度っ! このままレジに持ってって下さい! さぁさぁ残り二尾なったっ、早い者勝ち激安価格だよー!!』
巨大海老!?
さっちゃんがお昼に食べてた、伊勢海老よりも大きい海老さんだ!
「デカい海老だな。値段は……五千円って安過ぎだろあの海老? 海老なのか?」
「見た事ない種類だよね。海老さんの脚ってあんなに太かったかなぁ、私の腕より太いんだよ」
「どうする花乃歌……見た目はアレだけど、食べてみるか?」
海老さん…お鍋に入れたら美味しいかなぁ。
怪しい海老さんだし、小々波さんのお顔がチラつくんだよ。でも海老さん食べたい。
「買ってみる……」
「じゃあ私も試してみるか……」
『はいっ、お嬢ちゃん二人だね! 毎度有難う御座いまーす! 巨大海老完売! 完売致しましたー! お嬢ちゃん運が良いねぇ。この二尾はまだ生きてるから、新鮮なままに食べれますよーッ!』
「生きてる? にしては動かないけどな」
「この海老さんのお名前は……」
御値段の隣に、小さく『スリーピングシュリンプ』って書いてるんだけど、眠り海老? 海老さん寝てるの? 変なお名前だよね。
「んじゃ、他の食材買って帰るか」
「そうだね……カゴが海老さんでミチミチだけど」




