EP.40 夏休み前の日常.2
学校に到着して直ぐ、さっちゃんを発見!
一緒に教室へ向かいます!
「おはようさっちゃん。何か疲れたお顔してるね?」
「……おはよう御座います桐藤さん。疲れたと言いますか、昨日色々御座いましたので、余り眠れておりませんの」
車椅子に体を預けて、目の下の熊さんが『冬眠しろよ冬眠』って言ってる気がする程に、疲れてるみたいだね。
「華ノ恵がそんな風になってんの、珍しいな」
「そうね……学校を休もうかと思いましたが、桐藤さんに伝える事も御座いますし、登校するしかなかっ──かっ」
どうしたのさっちゃん、私の顔を見て。
なかっ──かっのまま固まっちゃったけど、疲れたお顔で『くわっ』みたいなお顔したら、凄く怖いんだよ。
「華ノ恵どうした? 顔怖いぞ」
「レオンちゃん、ストレート過ぎるよ」
「かみみみっ、桐藤さん貴女髪!?」
髪? 髪がどうしたのさ。
「あーそれか。私も気になってたんだけどな」
「髪……今日の朝に、地面に届きそうだったから、腰辺りまでハサミで切ったんだよ」
「雑過ぎますわ桐藤さん!? 日頃からっ、無理矢理髪留めや輪ゴムで纏めておりますが、今回のソレは流石に見過ごせませんわ!!」
「ハサミって……文房具のハサミで切ったのか。いつの時代の人間だよ、凄いな花乃歌……」
さっちゃん本気怒だ!?
黒髪が一部分白髪にっ……何で?
「いつもハサミでチョッキンしてるもん。慣れたモノだよ?」
「慣れないで下さいまし!!」
「えぇ……美容室行っても、切ってくれないから仕方無いんだよ」
正確には、気絶されて何も出来なくなります。失礼なお話だよね。
ガラガラッ──「教室到着!(ニコッ)」
ザワ…ザワザワ…「コイツらも慣れないなぁ」
いやいやレオンちゃん。一歩後ろに下がらなくなっただけでも、物凄い事だよ?
「桐藤さん!話は終わってませんわよ!」
「これは、仕方無いと思うんだよ、さっちゃん」
「仕方無く有りませんわ! 今日は帰りに付き合いなさい! 華ノ恵百貨店に腕の良い美容師が居ますので、綺麗にカットさせますわ!」
「えぇ……」
「えぇ……じゃ御座いません! 野小沢さんからも何か言っておあげなさい!」
「花乃歌……」
「レオンちゃん……(ニコッ)」
「諦めろ。流石の私でも、ハサミは無いぞ」
「レオンちゃん!?」
うぬぅぅぅ、美容室行きたく無い。
また気絶されたら、私泣いちゃうよ?
ガラガラッ──「ほい席につけーい、授業始めるでーっと。何や桐藤、変な髪しとるなー」
「ほら見てみなさい! 身嗜みも化粧も雑な先生からも、言われていますのよ!」
「うん……さっちゃんお願いします」
「何や様知らんけどー、華ノ恵は昼になったら職員室来いよー。軽ーく説教や……」
先生の目が笑ってないっ。糸目の奥から、若干の殺気を感じるんだよ。
「っ、分かりましたわ……チッ」
「華ノ恵も変わったなぁ。前までは感情表に出さなかったのに、今では柄の悪い女王様だ」
「レオンちゃん。さっちゃんに女王様は……似合ってるなぁ」
黒髪ロングの女王様……ドレスを着て、皆んなに指示を出すんだよ。
「野小沢さん? 桐藤さんに、変な事を言わないで頂けますか」
「大丈夫だって。花乃歌の女王様像って、私の思ってるのと絶対違うから」
何が違うのさ? 女王様は女王様なんだよ?
「こらーそこの三人。喋ってないでタブレット見ろよー。じゃないと夏休みの補習受けさせるでー」
「すみません!」
「はいはいっと……」
「私は女王様じゃないですわっ!」
ゴォ──ンゴォ──ン──「お昼のお時間!」
お昼は学食なんだよぉ。
お任せ定食のワンコインお料理から、高級食材を使ったお高い料理まで、品数豊富で飽きる事が無い、華ノ恵学院の学食なんです。
「私はお任せばっかりだけどねぇ。今日は何が出るのかな」
「私は、スモークサーモンのカルパッチョにしようかな。ここのサーモン美味いんだよ」
カルパッチョ? お値段は……三千円っ!?
「レオンちゃん、生活費大丈夫なの?」
「問題無いだろ。前に稼いだ分で一年は楽出来るし、たまには贅沢しないとな。と言うか、花乃歌の方が稼いでるのに、お任せ定食って……」
「食費はなるべく節約なんだよ。尻丸君をモフりに行きたいからね」
「尻丸? 何だそりゃ……尻?」
「コスプレ喫茶で御指名出来る、短足犬の尻丸君です! モフモフなんだぁ。今度さっちゃんも誘って、三人で行こうよ!」
「へぇーそんな喫茶店あるんだなっと、料理出来たみたいだぞ」
お料理出来た! 今日のお任せ定食は……カツオの大きな切身が乗った、丼ものさん!!
丼ものさんを受け取って、席を確保だよ。
「今日は当たりの日だな」
「当たりの日? ハズレがあるの?」
「そりゃあるぞ。中等部の時に、何回かハズレを引いた事があるしな。五百円払って出て来たのが兵糧丸で、皆んなドン引きしてたし」
兵糧丸って何でさ……美味しいの?
「有れは食べ物と言うより、薬の味だったな」
「何故学食でそんなモノが……」
「華ノ恵の趣味って訳でも無さそうだし、意味分からなかった」
確かにね。意味が分からないんだよ。
それにしてもさっちゃん遅いなぁ。職員室に行ったっきり、戻って来ないんだよ。
「さっちゃん、先生の地雷踏んじゃったから、お説教長いのかなぁ」
「何か話してるんだろ? 先に食べとこうぜ」
「ぬぅ……頂きます」
「頂きます」
ムグムグ、カツオ美味しーい!




