EP.40 夏休み前の日常.1
部屋の中が蒸し蒸しして、朝は大量の汗でおはようの季節になりました。
冷房が無いと、軽く自然の脱水機だよね。
朝の気温は三十五度だけど、昼間は四十度を超える蒸し風呂状態で、替えのブラ……谷間が無いから要らないか。
さっちゃんやレオンちゃんは大変だね。
「朝はシャワーでさっぱり元気っ! 鏡よ鏡よ鏡さん。私の笑顔はどうですか!(ニコッ)」
流石さっちゃん印の鏡なんだよ。
安心安全超強化ガラス!
ウリ坊百匹乗っても割れません!
「洗面台の鏡も特注らしいし、さっちゃんに感謝しないとだよ」
さて! 今日の朝ご飯は何にしようかなぁ。
ガチャッ──っと開けて、冷蔵庫さんの中身を確認っ。パプリカのお肉詰めが出来るね。
「朝からお肉……時間有るし良いよね?」
その前に、ドライヤーで髪をかわか……暑いから乾いてる? お部屋の温度は何度なの?
「(ピッ)エアコンさんお願いします!」
ふへぇ、涼しい風だぁ。
じゃない朝ご飯の準備しなきゃ!
パプリカさんを半分に、ヘタワタくり抜きさようならぁ。片栗粉さんを内側にまぶして、お次はお肉だね。
今日のお肉は牛さんじゃ無くて、豚さん挽肉でやってみます。お安い豚さんなんだけど、怪しいお肉に違いは無いんだよぉ。
豚挽肉と卵、鷹の爪に、塩胡椒少々と、少しだけニンニクを足して、混ぜ混ぜこねこね。
混ぜ混ぜこねこね、タネが出来たら、パプリカさんにぎゅむっと多めに詰め込んで、電子レンジでチンして完成!!
朝からニンニクは駄目?
少しだから臭く無いよ?
口臭ケアは乙女の嗜み。食べた後には歯磨きうがいで、ブレスケアだよ。
「ご飯は小盛りでぇ、盛り盛りとぉ」
テーブルの上に並べて、準備完了!
「頂きます…ムグムグ。やっぱり玉葱無いと駄目だったなぁ。反省反省でも美味しいぃ」
今日のニュースは何だろなぁ、ぽちぽち。
ふーん、まだ吸血鬼ネタが載ってるなぁ。吸血鬼ってゴブじゃないよね? 鬼違いだよね?
他は……『震度三の地震が多発!巨大地震の前触れか!』って、またゴブさん来るのかなぁ。来るならウリ坊ちゃんにして下さい。
んーっ、面白そうなニュースは、何これ? 『国家防衛対策チーム最高顧問、華ノ恵将勇氏が総理と面会』だってさぁ。さっちゃんのパパさんは働き過ぎだと思うの。
「国家防衛対策チームって、間違い無く迷宮絡みだよねぇ……学校行く準備しよう」
んしょっ、もそもそお着替えー完了!
髪をぎちぎちに……そろそろ切ろうかなぁ。地面に付きそうだから、腰ぐらいまでで良いよね。
「はっさみーはっさみーはどーこだろーなーっと発見しました! えいっ(シャキッ)」
ぬぅ……くねくねしてるから切りにくい。
落ちた髪はゴミ箱へーっ、さようなら!
前髪は放置なんだよぉ。
歯磨きして、鏡をチラッと……まだ長いかなぁ、美容室かぁ。
人生二回目の美容室! 一回目は怖がられて、切って貰えなかったから、非常に悩むのさ。
「考えとこ。行って来ます!」
鍵を閉めて、南雲さんは居ないよね?
お隣さんは空室のままだよね?
良し。誰か住んでる雰囲気はしないから、安心出来ます。
階段下りて、駅まで小走りらんらんらーん。
車を追い越し二度見をされたよ、私もびっくりしましたともさ。
前方にレオンちゃん発見!
車をぶち抜きます!
プ──ッ「煽って来た!(ニコッ!)」
キキィィィッドンッ──「壁に激突!?」
煽るからだよ全くっ。運転手さんは、大丈夫そうだね。出て来て舌打ちしてるし……柄の悪いおっちゃんだぁ。
「おはようレオンちゃん!」
「おはよ花乃歌。朝から何車と駆けっこしてんだよ。見てて面白かったわ」
「煽って来たんだよあの車。余所見運転手なんてするから、あんな事になるのさ」
『ゴラァ! 待たんかい餓鬼ぃいいい! どうしてくれんじゃぼけぇえええ!』
「何かおっさん走って来るぞ?」
「えぇ……自業自得なのに、怖いお顔で走って来る……足遅っ!?」
スキンヘッドにタトゥーが彫られて、いかにもな風貌のおっちゃんです。
息も絶え絶え走って来るけど、遅いから先に行っちゃいますよー?
「ああ言う連中まだ居るんだな。絶滅危惧種なんじゃないか?」
「絶対地元の人じゃ無いよね? あんな強面の人、見た事無いんだよ」
『こっち来んかい餓鬼ぃいいいっ!』
「……走り疲れてるな、どうする花乃歌。ああ言う連中は放っておくと、後が色々と面倒だぞ」
「ぬぅぅぅ、ちょっと行って来ます」
「……殴るなよ?」
「殴らないよ!」
強面のおっちゃんに小走りで向かいます。
三十メートルぐらいかな?
一歩、二歩、さーん歩っと『ひぃっ!?』何故に怖がるのさ。
「おっっっ、車っ、どないっ、してくれんっ」
あんなに息巻いていたのに、私のお顔を直視してくれません。
私背が低いから、貴方のお顔を覗き込めるんだよぉ。
「……(ニタァ)」
「いっいいてまっいいいやぁあああ──っ!?」
えぇ……逃げちゃうの。
呼んだから来たのに、失礼なんだよ!
「一歩進んで(ニタァ)」
「いやぁああああああ──っ!?」
まだ逃げる!
ちゃんと私のお顔を見るんだよ!
「二歩進んで(ニコッ)」
「あああああああ────っ!?」
頭が茹で蛸になってる!?
しかも若干涙目に!?
「ああああああ──(ガチッバタンッ)」
お車の中入っちゃった。
壊れてるから動かないよね?
事故車の中に居たら、危ないんだよ。
「さーん歩っ、高く飛び過ぎたっ!(メゴォッ)」
『いやぁああああああ────っ、あふっ……』
車のボンネットが凹んじゃった。
しかも、おっちゃんのお声が止んだ? どうしたんだろ……白目で泡吹いてる。
「車から引き摺り降ろしてっと……学校行こ」
レオンちゃんと合流!
のんびり電車で学校へだよ!
「花乃歌がその気なら、ああ言う連中のボスになれるよなぁ」
「絶対に嫌です!」
ああ言う人は可愛く無いもん!
せめて、ウリ坊ちゃん並みの、つぶらな瞳になってくれないとだよ!




