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EP.23 他地区見学会.1



 結局、あの赤い石はさっちゃんに預けました。勿論調査の為の貸出しにして、いつでも触りに行ける状態にしてます。

 手元に置いていたら怖くて家から出れないし、売るにしても額が怖過ぎで売れないもん。


 そして、お待ちかねの休日です!

 牛さんも食べ切ったし、冷蔵庫の中にはお野菜しか無いから、買出しプラスお散歩の日なんだよ!


 そう思って居たら、さっちゃんが普通に鍵を開けて部屋に入って来て、『桐藤さん、臨時ボーナスは欲しいかしら? 欲しいわよね? では行きましょう』と言って、私は訳がわからないままに連行されました。

 今は変なトラックの後部座席、さっちゃんとレオンちゃんと私でミチミチに座ってるの。


「……何でさっちゃん、私のアパートの鍵持ってるのさ」

「あら? 野小沢さんのマンションの鍵も持っているわよ」

「それ駄目なヤツだよ! 管理会社さんに怒られるの私なんだからぁっ!」

「本当になっ、何で朝シャンしてるとこに不法侵入してくんだよ……びっくりして叫びそうになったわ」


 合鍵を勝手に作るのは駄目っ、絶対駄目なんだよさっちゃんっ!


「安心して下さいまし。しっかりと、二人の部屋は研究所が買い取っていますので、今後の家賃や光熱費の心配は無いですわよ」

「そんなの知らないよ私っ!?」

「なに勝手に買い取ってんだよ怖いわっ!?」


 どうりで、いつまで経っても家賃が引き落としされない訳だよ! 心配で管理会社さんに連絡しようと思ってたもん!


「これも福利厚生の一つですので、私がマスターキーを持っていても、何ら不思議は御座いませんの」

「お前のそう言う所が怖いんだ……まぁ、家賃がタダになるのは有難いけどよ、せめて連絡してから来いよな」

「家賃が無料……アルバイト代が良い……お友達とお出かけ……これがっ、これが今の私!?」


 記憶が戻ったからこそ分かる。

 改めて理解したんだ。

 鋼鉄の乙女のあだ名は……事実だったんだと理解したんだ。


 記憶をブロックするならさ! そう言う記憶もブロックして欲しかったんだよ八代ママ!


 笑顔を作ると、男子は顔が赤くなり、何故か私を苛めて来て、女子は地面に唾を吐く。

 笑顔で苛めっ子達に玉潰し実行し、馬乗り顔面パンチを繰り出していたら、自然と定着したあだ名。

 パパとママが亡くなり、施設へ行ってもそれは変わらなかった。

 そんな私がっ、私がっ!? 

 お休みの日にお友達とお出かけっ!?


「なぁ華ノ恵……花乃歌がまた……」


「良いではないですか、とても嬉しそうなお顔をしてますわ」


「いや、無表情で固まってるだけだからな。この状態の花乃歌、中々怖ぇんだよ」


「お人形は、大体こんな感じですわよ?」


「花乃歌は人形じゃ無いっての。んで、何処に向かってるんだこれ?」


「はっ、そうだよさっちゃん! 何処に向かってるのさ!」


 トラックに乗せられてから、二時間は走り続けているんだよ。窓の外を見たくても、私は真ん中……さっちゃんとレオンちゃんに挟まれて居るから、幸せだけど外が気になっているの。


「そうですわね、話しておきましょうか。行き先は那邪道地区、目的は尻拭いですわ」

「那邪道──っ、私帰るっ! あの人には会いたくないんだよ!」


 あの人は苦手なの! 

 出来れば二度とお会いしたくありません!

 顔も見るのが嫌なのさ!


「落ち着きなさい桐藤さん! あの女は居ませんわ……未だ負傷が治らずに、病院でリハビリ中ですの」

「本当に? あの人居たら走ってでも帰るからね? 嘘じゃ無いんだよ?」

「花乃歌ならマジで走って帰るだろうな……この車より速そうだぞ」


 そこまでスピード出ない……筈?

 いや、イケるかもしれないんだよ……試しに今度、全力ダッシュを計測してみよっと。


           ◇ ◆ ◇ ◆


 終末の刻跡地に作られた戸ノ浄市。

 その戸ノ浄市は五つの区に分かれている。

 華ノ恵地区を中心に、奏地区、縫郷地区、南雲地区、那邪道地区。

 各地区には迷宮への出入口が存在し、その調査及び戦闘を指揮するのが、地区長の役割りとなっている。


「ですが前回のイベントで、那邪道萌が失敗しましたの。地区長の娘で有りながら、傲慢な態度の上に練度不足で足を引っ張り、危うく突破されるところでしたわ。そうなっていたら、魔物達が地上に溢れていましたわね」


 あのウリ坊が町中に……可愛いけど、普通の人なら脅威なんだよね。

 傭兵さん達も必死だったもん。

 それに、大猪さんが町中で暴れてしまったら……あの大きさだから、間違い無く被害が出ちゃうんだよ。


「私が参加する前の話だよな? ならその場所はどうなったんだ、魔物が出たなんて話聞かないぞ」


 そうだよね、魔物さん達帰ったのかな?


「応援部隊が間に合いましたの。何とか出入口を封鎖して、事なきを得ましたわ」


「封鎖……どうやったの?」


「簡単ですわ。縦五メートル、横五メートル、厚さ二メートルの鉄塊で封鎖しましたの。手痛い出費でしたわ」


 物理的力業だった!

 そこは不思議パワーとか、何かあっても良いと思うの……鉄塊で蓋って、大きなお鍋じゃ無いんだから。

 

「ですので、お二人には見学ついでに、奥に居る魔物達を片付けて欲しいのですわ」


「見学ねぇ……」


「その場所にもウリ坊ちゃんは出るの?」


「残念ですがボア種は居ないですわ。確認されたのは鬼種、ゴブリンですわね」


 ゴブさんかぁ、あの時捕まえたゴブリンの女の子どうなったのかなぁ……まさか、実験台にされてないよね。


「もう直ぐ到着ですわ。お二人なら大丈夫でしょうけど、気を抜いたら駄目ですわよ」

「魔物相手に抜けるかよ」

「大丈夫っ、全力で殴るんだよ!」


「桐藤さんは少し気を抜いても大丈夫ですの」

「なんでさ!?」

「全力だしたら、後始末が大変だからだろ……」



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