EP.31 邂逅.2
少し着地を失敗したなぁ。
八代の背後に落ちるつもりが、まさか前方に落ちてしまうとわ……知らん奴に見られちゃってるし、起き上がったら不味いよなぁ。
「あらあらぁ、お父さんじゃ無いですかぁ。何処から落ちて来たんでしょう? 相変わらずお馬鹿な事してますねぇ」
「いやなんでそんな冷静なの!? 救急車呼んでっ、私が呼ぶから────もしもし! 救急よ! 人が落ちて来たの! 住所!?」
これは……起きないと不味いか?
このままだと、救急車に乗せられて、将勇の奴が溜息吐きながら見舞に来て、色々と愚痴愚痴言われそうだな。
「お父さーん、何で起きないのですかぁ? そんな潰れたカエルみたいな姿しても、血が出てないのでバレてますよぉ」
八代さんや、一般人が近くに居るから起きれないんだよ? 身体ばっかり鍛えてるから、残念な娘になったのかな?
「住所──っ、あなた! ここの住所教えて! ここの住所アプリにも無いの!」
「大丈夫ですよぉ、お父さん狸寝入りしているだけですからぁ」
狸寝入りじゃないぞ。
普通に起きてる起きてる。
横になって状況観察しているだけだから。
「そんな訳っ……えっ、何あんた……『暗殺者』って────」
おっマジか──「八代! その女確保!」
「ようやく起きましたねぇ、確保だけで良いんですかぁ?」
八代を見ただけで『暗殺者』って言ったんだ、念願の鑑定スキル持ち! そうじゃ無くとも、何某らの超レアスキルの可能性大だ!
「ひっ、起き上がった!? 何でっ、あんた落ちて……待って、何処から落ちて来たの!!」
周りを見てもビルは無いぞ?
向こうの高いビルから、ジャーンプして来ました。結構距離が有った所為で、着地点がズレたんだ。
「あー首捻った捻った(コキッ)。八代驚かすつもりが、良い人材に巡り会えたぜ」
「やっぱり私を驚かそうとぉ、良い歳なのに落ち着き無いですねぇ」
ふははは! 心は何時迄も小学生のままさ!
無駄に歳喰うと思考が凝り固まるって言うけど、俺は真逆に生きたいと思ってるからな。
「何でゆっくり近づいて来るんだ! 来るな! 警察呼ぶぞ!」
警察かぁ……呼んで来るのは、研究所のメンバーなんだけどなぁ。
研究所……そうだ! ミオンだミオン!
「なぁ八代、近くに花乃歌来てたぞ?」
「あらぁ! 花乃歌ちゃん近くに! 会いたいわぁ、何処に居たの?」
「向こうで祭りやってるだろ、そこに『花乃歌ちゃ──ん!』っ、足速くなったかあいつ……」
走って行っちゃったよ……目の前の女確保してから行けよな。
「仕方無いか、俺が──あれっ? あの女何処行った……逃げやがったっ!?」
ちょい待ちちょい待ち何処行った!?
貴重なスキルかも知れないのにっ、逃がしてたまるかよぉおおお!!
「俺の足から逃げられると思うなぁあああっ!」
ズドンッ──ドドドドドド──ッ!!
◇ ◆ ◇ ◆
目を離した隙に、近くにあった自販機の裏に隠れたけど、見ていて意味が分からなかった。
男が腰を低くしたと思ったら、急に地面が抉れて男の姿が消えていた。
遠くで煩い音が聞こえるし、まさか今の一瞬で移動した?
「居ない……よな? はあぁぁぁ……疲れた。頭痛は治ったけど、別の問題が……」
意味が分からない。
空から落ちて来た男……アスファルトはベキベキに砕けてるのに、傷ひとつ無かったし、あの女を見た時に映ったアレ……『暗殺者』って書いてたよな。
駄目だ、ここで考えても埒が開かないし、あの男が戻って来たら怖い。
ホテルに戻るか。
そう思い足を進めた。
だけど、直ぐに足を止めた。
目が合ってしまったからだ。
「何だよ……何なんだよ!」
道の先に居た、異様な姿の、『化物』と。
『シャドウゴブリン
性別・雄
年齢・データ無し
誕生日・データ無し
血液型・データ無し
職業・データ無し
スキル・気配遮断
・繁殖
・吸血
攻・鬼 守・弱 精・弱
体・熊 運・石ころ
備考・捕まったら子沢山体験』
「ははっ、捕まったら子沢山体験……っ」
暗がりで良く見えないけど、間違い無く立っている。
何がって……そりゃあ汚いモノだよ。
はい回れー右!
全力でー、走れぇえええ──!!
『ゴギャギャ────ッ!!』
「嫌ぁあああっ!? 追ってきたぁあああっ!」
私何か最近ついてないよね!
違うか!
何か憑いてるのかなぁあああっ!!
先輩助けてぇええええええ!!




