EP.31 邂逅.1
ミオンが逸れた。
少し目を離したら、既にその姿が消えていた。
俺が行ったコスプレ喫茶の話をしたら、『ミオンも連れて行って! わんにゃんモフモフしたいの!』って言ったから、仕方無しにこっちに連れて来たのに、いつの間にか居なくなっていた。
既に見つけてるから良いんだけども、いや、状況的には非常に不味いか。
ビルの屋上から、スキルを使ってミオンを見つけたは良いが、あの状態だと合流出来ないんだけど。
「何であいつ、花乃歌と一緒に居るんだ……しかも、物凄く楽しそうだな。お爺ちゃん泣いちゃうぞ……」
ミノンも花乃歌と会った事有るみたいだし、やっぱりこれが縁って奴なのかね。
でもなぁ、祭りの雰囲気のおかげで、そこまでミオンは目立って無いけど、研究所の奴等に見つかると厄介なんだよなぁ。
「さてさて、どうするか……おっ、あそこに居んの八代じゃん。珍しいなこんな時間に……あいつに頼むとしようかね」
八代に、花乃歌の気を引いて貰って、その間にミオンと合流、全力で迷宮に放り投げる! それで行くしか無いな。
ゴゴッ────「また地震か……」
この感じ、何処かで穴が空いたか?
まぁ、誰か対処すんだろ。
「今はミオンを優先せにゃな──っと」
屋上からジャーンプ!!
ふはははっ! 八代の背後に落っこちて、少し驚かしてやるぜ!
◇ ◆ ◇ ◆
「あらぁ、今日は祭りでしたか。あの子達も連れて来くれば、良かったですねぇ」
小さな地震が起きた後、言いようも無い不安に駆られて、見回りを続けていますが……今の所は何も起きて無い。
少し離れた場所から、楽しげな子供達の声が聞こえて来ますしぃ、何やら良い匂いも漂って来て……ぶっちゃけ巡回を辞めて、祭りに突撃したいですぅ。
もう時間も遅いですからぁ、そんなに屋台は開いてないと思いますけどねぇ。
綿飴……食べたいですねぇ。
「そんな訳にはいかないのがぁ、辛いところでは有りますよぉ」
魔物が一匹でも地上に放たれれば、普通の人なんて即ミンチのご馳走様! になっちゃいますからねぇ。
あらぁ?
誰か電柱に寄りかかってますねぇ、酔っ払いさんかしらぁ?
『消えろっ! 消えろっ! うぷっぷげぇえええっ!!』
祭りで呑みまくったOLさん?
他県からの旅行者?
流石に放っておく事は、出来ませんねぇ。
「あのぉ、大丈夫ですかぁ? 宜しければ、救急車呼びますよぉ」
「大丈夫だから近付かないでっ……消えろ!!」
少し悲しいですねぇ。
助けようとしてるのにぃ、消えろって言われちゃいましたぁ。
「っっっ、はぁ……消えたわっうぷっ」
私はまだ居ますよぉ?
何が消えたのでしょうかぁ?
ゴゴッ────あらあらまた地震……これは、何処かで穴が空いた?
「そこの貴女っ、さっきはキツイ事言って悪かったわ……大丈夫だから、行って頂戴っ」
頭を押さえてふらついてるのは、大丈夫とは言いませんよぉ。
「そんなふらふらしてるのは、見過ごす事が出来ませんねぇ」
「別に何とも無いって────」
『うっひゃぁあああああああああああああああああああああっ(ズドンッ!!)』
「えっ……何、何処から、空……飛び降り!?」
あらぁ? 何か降って来ましたかぁ?
◇ ◆ ◇ ◆
気持ち悪い。
南雲区で変なモノが見えてからと言うもの、何か集中して見ようとすると、『スマホ・華ノ恵工業製品・搭載OS kanoe』、『雑草・食用可』、『壁・木製』などと、私の視界を遮って来る。
意味が分からない。
ホテルの設備だと思い、すぐに那邪道区のホテルへ移動したのにも関わらず、追って来るように変な映像が現れる。
「はぁ……っ、呑まなきゃやってらんないってのぉおおお!!」
祭りが行われていたので、酒を呑みまくり、肉を食べまくり、なるべく映像を無視しているけど……無視なんて出来るかぁ!?
『酒缶・アルコール度数七%』ってパッケージに書いてるから意味無いんだよ! それに、何だよこの『焼き串・不思議肉』って!
「私は何を喰ってんだ……っ、また痛っうぷ」
吐き気や頭痛が酷い。
病院で診て貰ったが、『ストレス性胃腸炎』ってそんな訳あるか!? 腸炎で幻覚なんて見ないし、この頭痛は一体なんだんだよ!!
「消えろっ! 消えろっ! うぷっぷげぇえええっ!!」
糞っ、気持ち悪い。
良い加減にしなさいよ!
『あのぉ、大丈夫ですかぁ? 宜しければ、救急車呼びますよぉ』
今私に話しかけるなっ、人を見ると更に気持ち悪くなるんだよ!
「大丈夫だから近付かないでっ、『蟻・昆虫』消えろ!!」
ああああああっ、さっさと消えろ!!
目障りなんだよマジでっ、消えた!
「っっっ、はぁ……消えたわっうぷっ」
ゴゴッ────何!?
あぁ地震か……頭痛いのに、揺れるのはやめて欲しいな。
まだ、さっき話しかけて来た奴居るな……さっさと離れて欲しいんだけど。
「そこの貴女っ、さっきはキツイ事言って悪かったわ……大丈夫だから、行って頂戴っ」
『そんなふらふらしてるのは、見過ごす事が出来ませんねぇ』
「別に何とも無いって────」
『うっひゃぁあああああああああああああああああああああっ(ズドンッ!!)』
「えっ……何、何処から、空……飛び降り!?」
ちょっと待って!?
人っ! 空から人が降って来た!?




