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EP.22 研究所のアルバイト



 中間テストも終わり、さっちゃんとレオンちゃんの鬼の詰め込み合宿のお陰で、何とか赤点を回避できました。

 華ノ恵学院は、どうやら個人の点数を貼り出す様で、本当に赤点ギリギリだったんだよ。

 貼り出された点数を見て、さっちゃんに言われたのが、『期末ではこの二倍の点数を取りましょう』なんだけど、また鬼の詰め込み合宿かなぁ……あれは怖かったんだぁ。


「桐藤さん、何をぼーっとしてるのですか? しっかり採取して下さいまし」


「分かってるよっ、(ゴッ)それよりもっ、(ゴッ)何で岩をっ、(ゴッ)割ってるんだろ……」


「ちゃんと説明受けただろっ、(カンッ)迷宮内の素材もっ、(コンッ)調査の対象らしいぜ」


 私はウリ坊ちゃんに癒されたいのに、何で上層なのさ。ここのウリ坊ちゃんだと、指ツンで『プギュッ』て潰れちゃうから、ぷにぷに出来ないんだよぅ。

 ここは迷宮の上層で、緑の石を見つけた先にあった黒い渦から入って直ぐの場所。

 どうやら鉱石エリアらしく、さっちゃんは珍しく大喜びしていたよ。何でも、新素材の宝庫みたいで、もし珍しいなら買取たいってニコニコ笑顔なのさ。


「それは良いんだけど……何で私だけ素手なの、レオンちゃんはピッケル使ってるのに」


「桐藤さんに持たせたら、直ぐ握りつぶすからですわ。資金は有限なのですから、無駄な破損は避けたいですの」


「確かにっ、(カンッ)花乃歌なら素手で十分掘れてるから、要らないだろ。さっきから……音がエグいぞ」

 

 この音はっ、(ゴガッ)籠手の音っ(ゴッ)なんだよ、普通の拳ならこんな鈍い音は出ないと思う。

 

「二人共失礼だと思うの、私だってピッケルぐらい持てるんだよ。家のフライパンだって……持ち手は私の手にフィットしてるんだから」


「持ち手を握り潰して無理矢理フィット、だろ……あれ見た時はびっくりしたわ」


「確かに、桐藤さんは以前に比べ、スキルの制御が出来る様ですが……時折制御出来ず、色々潰してますからね。まさか、バレー中に玉が消えるとは思いませんでしたわ」


「アレは私もビックリした……本当に消えたから、クラスの奴らも『えっ?』固まってぞ」


 それは言わないで欲しいっ。

 だって、私背が小さいからジャンプした時に力んじゃって、『えいっ』てボールを叩いたら──ボシュって消えちゃったんだよ。

 アレには私も驚きでした……ボシュって何さボシュって!


「むぅぅぅっ、恥ずかしいっ……何これ?」


 私が砕いた鉱石の中に、何やら色の違う石が有ったので──(ゴッ)指で掴んで抜いて見た。

 周りは鼠色と言うか、これぞ石っ! みたいな色なのに、この石だけ赤色に輝いている。


「さっちゃーん、これって何の石?」


「何か見つけましたの桐────その石っ、何処にありましたの桐藤さん……」


 さっちゃんが冷静なお顔にっ、凛々しいんだよぉ。

 

「私が砕いた鉱石に挟まってたんだけど、この石って珍しい石なの?」

「珍しいなんて物じゃ無いですわ……まさかヒヒイロカネなんて、此処は上層ですのよっ」


 何それ? ヒヒ……カネ?


「おぉっ、何かその名前聞いた事あるぞ。確か色んなゲームや、本に登場する架空の鉱石だったか……何であんだよ!?」

「私が知る訳無いでしょっ、向こうの世界でも希少な鉱石なのよ……」


 さっちゃんとレオンちゃんが、何か慌てているんだけど、この石ってそれだけ珍しいって事だよね。

 私のコレクション入りに決定なのさ!




「っ、駄目ですわ…見つかりませんわね…」

「華ノ恵の言う通りのモノなら、相当希少なんだろ? 花乃歌良く見つけたな」


 私の所に来たかったんだねぇ、(うにうに)無くさない様にしないと。


「紫の石の隣に飾るんだよぉ。むふふっ、コレクションが増えたの!」

「売っては下さいませんの桐藤さん……」


 ぬぅっ、さっちゃんの圧が凄い。

 しかも若干白髪になりかけてるし、これは相当欲しがってるけど……駄目かな!


「……さっちゃん緑の石飲み込んだし、危ないから売らないよ?」

「流石にそれは飲み込めませんわ! あちらの世界ですと無理でしたが、こちらならその石を解析出来るかもしれませんの」

「そうなのか? 前に聞いた、華ノ恵が居たって言う世界って、実際どんなとこなんだ?」


 それは少し気になる……そう言えば、あの時出逢った親子の事言ってないや。


「それはまた後日話しますわ。今はその、ヒヒイロカネの鉱石が重要ですの……ねぇ桐藤さん?」


「さっちゃん、諦めも肝心なんだよ?」


「まぁまぁそう仰らずに……毎月五十万を、三年間お支払い致しますわよ?」


 ふぇっ!? 毎月五十万っ!? 


「何だよその額。えっと、三年合計で一千八百万か? 花乃歌……止めとけ」


「野小沢さん、邪魔しないで下さるかしら」


「華ノ恵……お前が分割でってのが気になるし、何より違う世界の鉱石って事はだ、この世界に一つだけの可能性があんだろ……それが一千八百万で済む訳が無いっつの」


 レオンちゃん頭の回転早いなぁ……私金額聞いて固まっちゃってたよ。と言う事は、この石はもっとお高いの?


「さっちゃん、実際幾らぐらいになるの?」

「っ、安くとも億以上ですわっ、余計な事をなさいますわね野小沢さん!」

「いや、花乃歌からボッタくるなよ華ノ恵……」


 億? 億って何だろ……億?

 牛さん大特価のお肉が何パック買えるの?

 埋まる程????

 パパとママのお墓にお供えするご飯は高級ステーキに出来る?

 八代ママだけじゃ無くて、施設の皆んなにお土産を買って行ける?


「花乃歌がフリーズしたな……流石に億ってのは言い過ぎじゃないのか?」


「それ程に価値が御座いますのよ。あちらの世界でも金五万は下りませんの、この世界でとなると……」


「金五万って、基準が分からないだろ……」


「日本円だと五十億ですわ」


「……花乃歌の奴、一生安泰だな」


「お土産わぁ…皆んなにお土産わぁ……」


 駄目だぁ……二人の声を聞く度に、頭がおかしくなりそうなんだよぉっ! 


 お金怖いっ!


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