EP.29 魔石の使い道.2
終末の刻による大災害。
その大災害中、懸命に生きようと足掻く人達を襲った出来事。
日本を分断しかけた程の大災害は、その余波も凄まじく、各地に存在する、とある施設にまで影響を及ぼした。
火力発電所、風力発電所、水力発電所、地熱発電所、太陽光発電所、そして、原子力発電所。
二次災害どころか、数え切れない程の負の連鎖を起こし、二十年経った今でも、特定の地域は封鎖されたままとなっており、解決の糸口も見えないままに放置されている。
「さて問題ですわ桐藤さん。今貴女が使っているスマホ、何で充電されておりますか?」
「えっ、でっでで電気だよね?」
「花乃歌、何で不安そうに答えんだよ」
不安にもなるよ。
疑問に思わず、当たり前の様に電気を使って来たけど、よくよく考えたらあの災害で、発電施設の大半が駄目になっちゃってるよね。
でも小学生の頃、社会科見学で発電所行ったけど、ちゃんと稼動してたんだよ?
あれっ? 頭がこんがらがってくるぅっ! どう言う事なのさ!
「表向きは、奇跡的に無傷であった発電所を拡張させ、復旧に貢献し、今に至るですが……実際には、この国の発電施設の七割が、この箱のエネルギーで稼動しておりますのよ」
「……七割って、マジかよ……」
「あの魔石が……電力?」
「ええ。大災害後、御父様が魔物達の死骸から魔石を見つけ、解析して作り上げた、新たなエネルギー資源ですわ。向こうの世界では魔法の触媒でしたが、こちらでは発電用として利用された様ですわね」
魔法の触媒……魔法少女さっちゃん?
さっちゃんには似合わない服装なんだよ。
「桐藤さん、今大変失礼な事を考えていませんでしたか?」
「考えてません! さっちゃんの居た世界って、ステッキ持って『るんるんミラクルハートドリルッ!』みたいな魔法とかあったの?」
「るんっ……桐藤さんの魔法のイメージが、どんなものか理解できましたわ」
違った?
魔法って、そんな感じじゃ無いの?
なら、『愛を拳に! ラブリーデス!』とかかなぁ?
殴られた怪人が宇宙まで飛ばされて、ハート型に爆散する愛と勇気と魔法の力! みたいな。
「花乃歌……多分違うと思うぞ……」
「……そう言うわけで、魔石には色々と使い道がありますの。ゴブリン一体の魔石なら、華ノ恵地区の電力が半年は保てますわ」
ゴブさん一体の魔石で半年保つの!?
私、結構な数のゴブさんから魔石採ってるけど、一体何年分の電力になるのさ。
「なぁ、ならこの鉄箱一つで、どれ程の電力になるんだ?」
「その箱一つで、戸ノ浄市一年分ですわね」
「怖っ、爆発とかしないだろうな……」
一年分の電力エネルギーって、爆発したらどうなるんだろ。規模が分からなさ過ぎて、普通に恐ろしいんだよ。
「私が産まれる前は、魔物を倒すのに相当苦労した様ですわね。年に一回は魔物が溢れて来るのですから、それこそ"必死"に対処して、魔石を集めていたのですわ」
必死に……中層に居た大きな猫ちゃんや大猪さん、熊さんなんか出て来たら、銃なんかじゃ対処出来ないよね。
戦車とか……大猪さんに潰されちゃうなぁ。
魔法だったらいけるのかなぁ、火とか?
男の娘が使っていた火が魔法だったのかな?
「だからこそ、桐藤さんや野小沢さんから魔石を買取ますの。資材の消耗も無く、人的被害も出さずに集めれるのですから、買取り金額も中々高額でしてよ」
確かに……私の貯金、どんどん増えて行ってるんだよ。ゴブさんは、迷宮に潜ると必ず襲って来るからね。
「花乃歌は前の奴も有るし、売れば一生遊んで暮らせるな。養って欲しいぜ」
「あの石は売らないよ? ちゃんと返してうし、家でのんびり愛でる予定です」
そうだ、せっかく研究所に来てるんだから、あの石を愛でて帰るんだよ。
「さっちゃん、あのヒヒ……なんとかの石、触ってから帰るんだよ」
「ヒヒイロカネですわ。それなら解析室ですわね、こちらですわ」
解析室! 何か凄そうな感じがする!
ここが解析室……何だろう、ぶっちゃけ何してるのか分からないけど、何か凄いんだよ!
赤い石が何かの液体が入った容器に入れられてて、その周囲を様々な機器が行ったり来たりと、良く分かりません!
「おんやぁ、桜乃氏ではござらんか。どうしたですかな、この様な場所まで来られるとは」
「作業中に悪いわね楽羅蘭。桐藤さんがあの石を触りたいそうで、ついでに進捗を聞きに来たのよ」
今お名前なんて紹介されたの……らららん?
聞き間違いかなぁ。
喋り方が独特な、眼鏡を掛けた白衣の美人さんなんだよ。
「ほう、そちらの女子が石の発見者でござったか。某は波夏草楽羅蘭と申す者、以後宜しくで御座る」
間違いじゃ無かった。
はかそうらららんって、何か尋問を楽しくしてる狂気のお名前なんだよ。
「あんた凄え名前だな、私は野小沢麗音だ」
「桐藤花乃歌だよ……そのお名前って、本名?」
「駄目でしてよ桐藤さん、それは失礼というモノですわ」
別に貶してる訳じゃないよさっちゃん!
だって、はかそうらららんだよ! 気にならない訳が無いです!
「はっはっは、構いませぬぞ桜乃氏。桐藤氏、この名前は本名で御座るよ。是非とも楽羅蘭とお呼びくだされ」
懐が深いお姉さんだ。
喋り方は変だけど、優しそうな雰囲気が出ています。




