EP.29 魔石の使い道.1
唐突ですが私は今、終末の刻研究所内に有る作業場に来ております。
南雲さんと言う危ない人に狙われてから、かれこれ半月が経ち、あと一月もしないうちに期末テストだと言うのに、何故かマスク付き防護服を着て、魔石削りをさせられてるの。
「(シュコー)さっちゃん……この服暑いんだけど……」
「(コーホー)我慢なさい。これも、研究所としてのお仕事ですわ」
粉々にした魔石の粉末を、何か分からない液体に入れ、ゆっくりと掻き混ぜた後に、そのまま急速冷凍させて、ベルトコンベアに載せる。この作業を、魔石の数だけこなさなければならない。
私達が倒したゴブさんや、ウリ坊ちゃんの魔石……宝石の山に見えるんだけど、あれを全部なんだよ。
「(シュコー)さっちゃん……早く機械直して!」
「(コーホー)今日は業者が休みですの。作業に遅れを生じさせない為には、これが一番ですわ」
通常なら、大型の粉砕機を使ってやる全自動型の作業。それなのに……今はさっちゃんと二人、人力で粉々にしております。
巨大なトゲトゲ付きの鉄板に魔石を擦り付け、粉にしていくんだけど……時折鉄板が私の力に負けて、グニャッてなるの。
さっちゃんは、スキルを使って簡単に削っていくけど、この作業は私と相性悪いと思います。
「(シュコー)暇だよ! なんて言うんじゃなかった……」
「(コーホー)暇じゃ無くても連れて来ましたわ。機械以外でこの作業が出来る人って、限られていますもの」
「(シュコー)どんな基準なのさ?」
「(コーホー)鉄にも負けない力の持主ですわ!」
鉄にも負けないと言うか、さっきから曲げてばっかりなんです。魔石ゴリゴリ削るのは良いんだけど、加減を間違えたら、鉄板も粉々にしちゃうんだよ。
『あーテステス。華ノ恵、冷凍された分が流れて来たけどよ、これを箱に詰めりゃあ良いんだよな?』
「(コーホー)それで構いませんわ、他の作業員の指示に従って下さいまし」
『りょーかい……気持ち悪い色だなぁ』
レオンちゃんは箱詰め作業です。
魔石ゴリゴリには力が足りないそうだから、この先のお部屋でお仕事なのさ。
正直変わって欲しいんだよ!!
「んぐっんぐっんぐっ、ぷはぁ! お水が美味しいんだよ!」
「お疲れ様桐藤さん。野小沢さんも、助かりましたわ」
「ちゃんと割増でバイト代寄越せよな」
「分かっていますわ、ちゃんと割増で支払いますわよ」
本当にね。
暑さで頭がふわふわしたんだよ。
あんな防護服来て三時間……ウリ坊ちゃんやゴブさんと戦うよりも、こっちの方が私的にはキツいです。
あと気になる事が。
魔石って結局、何に使われてるの?
砕いて溶かして凍らせて……何の為にしているのか分からないし。
「さっちゃん、あの魔石って何に使ってるの?」
「ああそれな、私も知りたかったんだ」
レオンちゃんも気になっていたんだね。
魔物さん達から採れる、得体の知れない石だもん、気にならない訳が無いのさ。
「そう言えば、説明していませんでしたわね……丁度研究所に居る事ですし、見て貰った方が早いですわ。(ピッ)芝さん、今出来上がった奴を持って来て頂戴」
さっちゃんがお仕事モードだ。
職員さん一人一人の名前を覚えてて、私には無理なんだよ。
人の名前覚えるのって、結構難しいもん。未だ、同じクラスの人達ですら、知らない人が沢山居ます。
「桜乃オーナー、お持ちしました」
「有難う芝さん、また何か有れば呼ぶわね」
職員さん直ぐに出て行ったなぁ、淡々としてて、顔が怖いおじさんだぁ。
それに、職員の芝さんが持ってきたモノ。
何と言うか、コンセントの付いた……鉄箱?
なぜに鉄箱?
「これ、私が入れてた箱だよな。さっきまでダンボールの様な色だったのに、何で鉄みたいになってんだよ」
「ダンボールが鉄になったの!?」
「桐藤さん……そんな訳が無いでしょう」
「そのお馬鹿な子を見る様なお顔やめて!」
レオンちゃんがダンボールって言ったから、つい反応しちゃっただけなんです。
私はお馬鹿な子じゃ無いんだよ! 少し勉強が苦手なだけな、普通の女子高生なのさ!
「……冗談ですわよ桐藤さん」
「冗談のお顔じゃないよねさっちゃん!」
「なぁ華ノ恵、これって……バッテリーか?」
レオンちゃんがいつの間にか、鉄箱を食い入る様に見てるんだよ。
それバッテリーなの?
「正解ですわ野小沢さん」
「いや、何か見た事あると思ったら、学校の施設内や、ウチの親父の作業場にも有るやつだったからな……まさか魔石使ってたなんてな……」
私は見た事無いよ?
見ようとしてないだけ?
御免なさい……。




