EP.27 恐怖の一日.4
南雲さん帰った……?
帰ったよね?
扉は結構頑丈だし、早々さっちゃんみたいにピッキングなんて出来ないんだよ。
そぉっと覗き穴を確認……居ない居ない。
「何か怖い人なんだよ……『ニャーンッ』!?」
あぁ、さっちゃんからの返信だ。
なになに、『今直ぐ窓から逃げなさい』って書いてるけども、どゆこと?
────ドンッバギィッッッ────
うわぁ……扉ぶち破って来るパターンなんだね、成程! じゃないよ!?
「ふぅぅぅ、中々重たい扉だね花乃歌。引越しの御挨拶に、これを渡すよ(パカッ)」
「……何で、引越しの御挨拶に…指輪……」
怖い通り越して気持ち悪い。
何でお蕎麦やタオルや石鹸じゃなくて、指輪なのさ。
これは駄目な人だ。
絶対に関わっちゃいけない危ない人だ。
「おっと失礼、間違えたよ。こっちの石鹸が、引越しの御挨拶の品さ」
「これはどうも御丁寧に(パシッ)何で私の腕を掴むのさ……」
石鹸貰おうとしたら腕を掴まれた。
ニコニコ笑顔で石鹸を捨てて、指輪を取り出して、私の指へ────「ふんっ!」
「っ、本当に力が強いんだねっ、どんな鍛え方をしたのかな……」
危なかった──! 直ぐに拳を握って、全力で振り払ったから助かったんだよ!!
「南雲さんこそ扉を壊して、不法侵入は犯罪なんだよ! それに、指輪は要りません! 早々に帰らないと……実力行使なんだよ!!」
家が軋んでるけどっ、これはどうしようも無いと思うの!
だから、『おいおい花乃歌、それは──』窓から全力で逃げるのさ!!
────パリィンッ────
「ガラスの修理費は請求するからね!!」
三階から落ちても私は無傷で済むし、さっちゃんのお家に避難──『よっと』──何で普通に飛び降りてるのぉおおお!?
「ふんっ(ピシッ)また地面に穴が……じゃ無くて、走るんだよ私っ!?」
「ほぃっと、凄いな花乃歌は。受け身もとらずに骨が折れて無いなんて……やっぱり桜乃リーダーと同じなんだね」
スキルを意識してっ、走るっ!!
ドンッッッ────毎回思うんだけど、誰か道路を整備して欲しいなぁ。
道路が所々凹んでて、車が通る時にガタガタ揺れてたんだよ。
「ふっふっふっ、早いなぁっ!」
何で付いて来れるのさ!?
何かのスキル?
でもさっちゃんは、スキル持ちは私とレオンちゃんだけって言ってたし、普通に速いだけって事!?
「怖いっ、この人普通に強い人なんだよ!?」
スキルとか不思議パワーじゃ無くて、普通に力が強くて、普通に足が速い、普通って何だろう、これは『異常』って言うと思うの。
「ふっふっ、追い付いたら結婚しよう花乃歌!」
「嫌ぁああああああ────!?」
追い付かれそうになったから、そのまま腰を捻って回転後踵蹴り──『ごふっ』をしてしまい、顔面ダイレクト!!
何か(メギョッ)って聞いた事無い音を出して、そのまま後方へ吹っ飛んじゃいました。
「……死んじゃった?」
あっ、(むくり)起き上がった。
いやいやいやいや何で起き上がれるのさ!?
また走って来たぁあああ!?
「がふっ、がのがぁあああ! ぶっ! 中々良い蹴りだったよ!」
「何で元気なのぉおおおおおお────!?」
怖い怖い本当に怖いよこの人!?
今の蹴りなら、大猪さんが粉々になる威力だったのにっ、血塗れて走って来るぅううう!?
「はっはっはっ、それは鍛え……(ドスッ)……あぁ、流石にきつぃ……」
倒れた……死んだ?
小さく動いてるから、呼吸はしてるんだよ。
もう動かない?
大丈夫だよね?
「取り敢えず警察にっ!!」
「お待ちなさいな桐藤さん」
ふぇ、さっちゃん?
さっちゃんが来てくれた!
「さっちゃん! 不審者だよあの人! 不法侵入及び強制婚姻未遂で警察さんだよ!!」
「落ち着きなさい。そんな事をされたら、公僕に借りを作ってしまいますわ。あのお馬鹿は私が預かりますので、安心して下さいな」
そんなっ、あの怖い人を早く豚箱へ!!
研究所の地区長だったとしても、流石にストーカー行為は見逃せないんだよ!!
「せめてっ、二度と私の前に立てない様にっ、両手足を粉々にするんだよ!!」
「おやめなさいって、アレでも使えなくなると困りますのよ。スキルは無いですが、研究所職員の中でも随一の、近接戦要員ですので。ここは私に免じて、収めては頂けませんか」
やっぱり、異常に強い人なんだね。
「……さっちゃんがそこまで言うなら。でも、ちゃんと窓ガラスとドアの修理はしてね!」
「直ぐ手配致しますわ。あと、あそこのお馬鹿が何故、桐藤を狙ったのかも調べておきます」
本当にね……始めて会ったのに、意味が分からないんだよ。
「幼稚園……小学校……南雲……うん! やっぱり知らない人だね!」




