亦心
「男女の友情って成立すると思う?」
「すると思うよ」
「やっぱ、そうだよな」
俺はこの子にもう4、5回振られてる。それでも諦めない俺がいて、いつ関係が切られるかヒヤヒヤしながら今日もいつも通り電話している。この子ってか、なっちゃんはまるで俺自身を鏡写ししたような性格である。おかげさまで嘘をついてもバレるし、なっちゃんが嘘をつけば俺が気づく。さらに、病み方も一緒だからついつい素をだして話してしまう人だ。
「おーい、聞いてる?」
「あ、ごめんごめん。ちょっとボーっとしてた。」
「まあ、もう2時だからね。いつもではないけど、ほぼ毎日電話してこんな夜中までやってたら意識とぶよね」
「それな、ガチ急に意識とぶ。てか、そんなに電話してんのに話題尽きないよな。俺たち」
「本当にそれ。不思議よね」
「てか、明日小テストあったよな」
「うん、あるよ」
「勉強してねぇ、すまん。もう、勉強するから電話切るわ」
「おっけー、おやすみー」
「おやすー」
毎回こんな感じで俺はなっちゃんから逃げるように寝る。なぜなら、なっちゃんは夜型人間だけど俺は普通の人だからだ。あれだったら、学校でなっちゃんと喋ることはない。なっちゃんは女で、俺は男だから。いや、夜に喋りすぎて話すことがないだけかもしれない。あ、あとはなっちゃんには気になる人がいるからだと思う。なっちゃんは俺の中学からの友人、まあ俗に言う親友というやつかな。そいつのことを気になっている、またそいつもなっちゃんのことを俺に聞くことが最近多くなってきているから意識し始めたんだと思う。正直、俺はなっちゃんを幸せにするのもなっちゃんの笑顔を1番見るのは俺でありたいと思う。
でも、世の中そんな上手くいかなかった。最近、電話をしないなと思ったら、そいつとなっちゃんは付き合うことになったらしい。それと同時になっちゃんに電話を誘ってもしなくなった理由が分かった。てか、もっと早く気づいていたが目をそらしていたんだと思う。だって、なっちゃんが話す内容がそいつの話が多くなってきていたからだ。俺は良くも悪くもキューピットとになってしまったってことだな。それからは、完全になっちゃんと電話をしなくなった。元々、学校では喋ることも無かったし、さいわい、そいつは俺となっちゃんが仲が良いことも知らない。ある意味、良かったのかなと思った。それから最近知ったよ、夜ってこんなに寂しいということをね。なっちゃんと電話をするようになる前までは夜に寂しいと思うことがなかったのに、なんか寂しいな。そして、楽しかったな。俺の願いは叶わなかったがなっちゃんの願いは叶ったのだから喜ばなくちゃ。なっちゃんには、簡単に無理をしていることもバレちゃうからな。
「どうか、あいつらが、ずっと笑っていて、ずっと幸せでありますように...」
読んでくれてありがとうございます。まだ未熟者なのでもっといい作品ができるよう頑張ります。