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第五十四話『おぬしワルよのう~?』


 私、ぷうっと頬を膨らませ、じろっと右から左へと睨みつけた。


「全くも~! ど~して私が、一度に二人とえっちな関係になるっていうの!? 失礼しちゃうわ!」

「え~、だって、ねぇ~?」

「シュルル姉は、昨日からずうっと怪しかったで御座るよ。姉妹に話せないって何があったで御座るか?」


 ほんわりほこほこ、風呂上がりのハルくんは、同じく風呂上がりのジャスミンとくっついて少し困った顔をしてる。うん、ごめんね~。

 で、ジャスミンはと言うと、あ~聞いちゃいな~い。

 でで、ミカヅキは買って来た顔くらい大きな丸いパンを、腰の道中差しを抜いて四等分に切り分けてくれているんだけど~。手を止めて、じろり。睨んで来る~!


 一階の調理場で、みんな揃って朝ご飯。でもでも、ちょっ~と楽しい気分でいられない。


「い、色々あったのよ! 色々!」

「色々じゃ判んないし~、ねぇ~?」

「イカサマ左様で御座る」

「ぐぬぬ……」

「あ、あはは……」


 くっ、ハルくんに笑われたわ~。

 そんなハルくんに、ジャスミンったら蛇みたいに巻き付いて遊んでる。少しはミカヅキみたいに手伝って欲しいな~。


 何か私だけぷりぷりしてて、かっこ悪いったらありゃしない!

 それでもみんなにスープをよそってあげる私。とほほ~……


「あのね……あの二人はどにかくヤバイの。一口で言うと『人間じゃ無い』わ。あなたたち、下手な好奇心で近付くと、ケツの毛まで毟られるわよ!」

「やだ~、下品~」

「そんな相手に、何で二晩も続けて会いに行くで御座るか? 論理的に破綻してるで帆ざるよ」

「わ、わあ~、このスープ美味しいですよ。お姉さん」


 がっくり。やっぱり欠片も信じちゃくれない。

 ハルくん、ごめんねごめんね~。思いっきり気を使わせちゃって~。

 それでも言い続けなきゃ! 私、姉妹の中でオスをとっかえひっかえする奴にされちゃう!!


 ここは丁寧に。


「ありがとう、ハルくん」

 

 私、コホンと咳払い。


「あのね。デカハナさんからは、お試しに騎士団へのスープの注文を受けました。金貨一枚で作れる分なんだけど、席数から百人は下らないわ。これはね、試されているの。うちのギルドがね!」

「「ぶ~ぶ~ぶ~!」」

「ぶーぶー言わない!」


 ぴしゃりと言ってやったわ。こちゃこちゃ言ってても始まらない。

 二尾とも不満たらたらって顔だけど、だって本当の事だもん。

 てきぱき行きます。てきぱきてきぱき!


「ご飯食べたら先ず買い出し! その後、すぐ調理! あんまり時間無いわよ!」

「え~、あたしぃ~、ハルくんと一緒に行く~」

「あっ、すいません。僕、あ、私はこれからギルドの登録に行くのですが」


 がく~。


 そこでハルくん、ジャスミンとにっこり見つめ合っちゃって。


「ジャスミンちゃんを、連れて行くと約束してしまいました」

「という訳ぇ~。ごめんね~」

「私たち、遊びに来たんじゃないのよ……」

「だって、聞いてないし~」

「彼女には、僕の仕事がどんなものなのか、見て貰いたいんです!」


 う、うう……そんな、きりりっとした眼差しで私を見つめないで!

 こんな真剣な表情、ダメなんて言えないじゃない! おのれジャスミン! あんたが悪い!

 正に断腸の想い。尻尾をぐねぐね捩らせて耐えるしかない~。


「くう~、じゃあミカヅキ。フルでお留守番要員だけど、お願い出来る?」

「ふむ……仕方ないで御座るな。その代わり……」

「その代わり?」


 ミカヅキの青い瞳がきら~ん。


「それがしに、詳しく話して聞かせるで御座る。その……夜の色々とやらを!」

「ぐふっ!?」


 思わず仰け反るわ~!


 でも……でも……


「ちょ、ちょっとだけよ?」

「ダメで御座る! 洗いざらいぶちまけるで御座るよ! やましい事は無いので御座ろう~?」


 にやりと不敵に笑うミカヅキ。


 あんた、いつからそんなワルになったの~!?



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