#5 突然のハ―レムイベント発生事件。そして、さらなる違和感。
そして、食べ終わり、片付けが終わった後――
「ふわぁ……わたし、眠くなってきました……」
レアはとても眠そうにしている。
「そうね、私も眠くなってきたわ」
気がついたらもう夜になっていた。
俺も眠たくなってきたな。
「そうだな、じゃあ今日はもう寝るとするか。」
「そうしましょう」
「みんなでおやすみですっ……」
俺達は小屋に入り、中にあるベッドに向かった。
「じゃあ俺は床で寝るからニ人はベッドで寝てくれ」
リシテアは言った。
「何を言っているの? 床で寝たら風邪を引いてしまうわよ? 三人でベッドに入りましょ?」
レアはリシテアに続いて……。
「そうですよっ、お兄ちゃんはお姉ちゃんとわたしの三人で寝るのですよっ」
さ、三人で寝る!?
同じベッドで?
「いやいやっ君たちは女の子だし、男の俺と同じベッドで寝るとかおかしいだろうっ」
とか言いつつも……
俺はニ人に挟まれて寝ることを想像した。
……悪くないっ。
いやっ! むしろ是非三人で寝るべきだっ。
リシテアは言った。
「何を言ってるのよ、男とか女とか関係ないじゃない」
「そうです関係ないですよっ! さあっ、お兄ちゃん!」
「さ、さ三人で寝ようか」
「そうしたほうが楽しいですよお兄ちゃん!」
リシテアはそんな俺達を微笑ましく見ながら。
「さあ、ベッドに入りましょ!」
と、言った。
「あ、あう」
俺達はベッドに入った。
俺を挟むようにニ人は俺の左右にいる……。
これはまさに俺が望んでいた、ハ―レムそのものだ!
俺は感動を覚えた…のだが、この状況はさすがに緊張するな……。
こんな状況、当然非リア充の俺は体験したことは無いわけなんだから、そりゃ緊張する。
俺は落ち着こうとして深呼吸をすることにした。
すぅ―……
はぁ―……
すぅ―……!?
「なんだ!?」
突然リシテアが抱きついてきた!
……相変わらず胸の感触が凄いしっ!
そして女の子特有のいい匂いがする……。
「ハヤトくんだぁいすき!」
抱きついているリシテアをみたレアも腕を伸ばし、俺に抱きついてきた。
「レアもお兄ちゃんのことが大好きです!」
俺は混乱した。
レアの胸は正直あるとは言えなかったが、それでも僅かな膨らみを感じる。
ああ、四つのおっぱいが……。
いい匂いまでしてきて変な気持ちになってくる……
ハッ! いかんいかん! そうだ、こういう時は数を数えればいいんだっけ?
おっぱいがひとつ……。
おっぱいがふたつ……。
おっぱいがみっつ……ってちっが―う!!
落ち着け俺……落ち着くんだ……
そうだ! なにも考えないようにするんだ
思考を停止させよう。
むぎゅ〜
二人の抱きつく力が強くなった。
あ、ああ、ああああああああ―!
気がついたらニ人は寝息を立てていた。
「すぅ……ハヤトくん……」
「すや……おにいちゃん……」
ニ人とも気持ちよさそうに寝ていた。
今日はこの世界にきてリシテアと出会ったり、
村周辺のモンスタ―を倒してレアと出会ったりもした。
森に向かい馬車に乗って……三人でご飯を食べて……
楽しい思い出がいろいろあったな。
明日も三人で楽しく冒険しような。
――俺は二人に囲まれながら気持ちよく眠りについた。
◇◆◇◆
俺はむにゅっという気持ちいい感触を感じ、目が覚めた。
そこには俺の上に思いっきり乗っているリシテアがいた。
「ハヤトくぅん……」
思いっきり寝ぼけてやがる。
「リシテア! 起きろ!」
「起きてるわよぉ……」
「起きろって!」
「このままだと俺が非常にまずいから頼むから起きてくれ!」
「ちゃんと起きてるじゃない……」
起きてくれない。
こうなったら――。
もみ、もみ……
「んっ……」
効いている! この調子だ!
もみもみもみもみもみもみ……。
「んっ……やっ……ハヤトくん……ハヤトくん? なにしてるのよぉ!」
「目が覚めないから胸を揉んでいたところだっ!」
「もうっ! ハヤトくんのエッチ! 揉むのなら夜にしてよね!」
夜ならいいのかっ!
ふふふっリシテアとあんなことやこんなことを……。
――って。
しっかりしろ来栖隼斗! なにも考えるな。何も考えるな……。
俺とリシテアはベッドから出た。
あれ、レアがいない。
「お兄ちゃん! リシテアさんっ! おはようございます! 私は外にいますよっ!」
窓から覗いてみると、どうやらレアは外で朝食の用意をしているようだ。
俺とリシテアは外にでる。
相変わらず、《マッドウルフ》は消滅せず倒れたままだ。
最初は《ゴブリン》が、次は《バジリスク》が消滅せず倒れたままだった。
――三回目だ。
最初はバグだと思っていたが、
さすがにおかしい。
俺は“消滅”するように設定したはずだ――
まさか、設定するのを忘れていたのか?
もうそれくらいしか考えられないが……
ただの、バグなんだろうか……?
とりあえず俺はそのことについて考えるのをやめた。
◆◇◆◇
周りをみると、テ―ブルの上に目玉焼きが三つ置いてあった。
「この目玉焼きはどうしたんだ?」
「近くにニワトリ数匹がいて、その近くに卵が落ちてたんですっ!」
レアは良い焼き加減に見える目玉焼きを見ながら言った。
「その卵で目玉焼きを作ってみました! それと、昨日のス―プの残りもありますっ」
「あらあら、とっても美味しそうね、食べましょ!」
「ああ、ありがとうな、食べよう」
俺達は椅子に座り、目玉焼きとス―プを食べた。
「ん―美味しかったわ!」
「美味しかったですっお兄ちゃんはどうでしたか?」
「ああ、うまかったぞ。さあ、お腹いっぱいにもなったことだし、森に向かうかっ!」
俺達は馬車に乗る。
動き出し、馬車はゴトゴトと揺れる。
レアは楽しそうな表情をしながら、
「今から向かう《カロン》という森は一体どんなところなのでしょうか?」
そう質問をした。
「わたしは、そこに蜘蛛の魔物がいるということ以外は知らないです。お兄ちゃんは知っていますか?」
俺は《カロン》の設定情報を思い出しながら、答えた。
「ああ、《カロン》はあらゆる魔物が大量にいる、少し危険な場所だよ」
俺は続けて言う。
「それとその森には俺の仲間になる美少女が一人いるんだ」
レアは考えるそぶりを見せ、
「へぇ―そうなのですかっ。新しい“友達”が増えるのですね! 嬉しいですっ」
楽しそうにそう言った。
「きっとレアやリシテアとも仲良くなるはずさ」
「ニ人共、もうすぐ《カロン》に着くわよ!」
と、馬車が止まったので俺達は馬車から降りた。
「さて、行くか」
俺達は森に侵入した。