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#20 決意

《“超越”のレヴィアタン》は口から水球を放つ。

水竜の吐いた水球はイオへと向かっていく……。


「しまったッ!」


イオに向かったそれは真っすぐ飛んでいき――


そんな――。


レアだけじゃなくイオまで失うわけにはッ……!


俺はとっさに飛び出そうとしたが、イオまでの距離は少し遠い。


間に合うわけも無く――。


「《ウィンドダッシュ》!」


リシテアはスキルを発動させ、イオの前に立ち《スピアシ―ルド》を発動させる。


――ブォン、ブォン


と、槍を縦に高速回転させ水球を弾く。


「イオちゃん大丈夫?」


リシテアのHPは少し減るが大したダメ―ジじゃない。


「《ライトヒ―リング》!」


全員のHPは回復する。


「ありがとうございますリシテアさん! コ―デリアさん!」


『フオォォォォ!』


すると、水竜はまたビ―ムをチャ―ジしようとしている。


まずいッ!


「みんな、アイツからビ―ムが放たれる前に、頭に攻撃して止めを刺すんだ!」


「「了解!」」


コ―デリアとイオは攻撃魔法を詠唱する。


「《ライトフォ―ス》!」

「《フレイム》!」


俺はみんなのMP残量を見た。


俺以外、MP切れのようだ。


これで倒しきれなかったら、マズい!


俺は《ジャンプアタック》を発動させ、水竜に向かって剣を叩き落とす。


――ズシャアア!


『フォォォ……』


――バッシャ―ン!


水竜は――。


《“超越”のレヴィアタン》は大きな水柱を立て、静かに眠っていった。


レベルアップ! と、U(ユーザー)I(インターフェース)に表示される。ニつ上がったらしい。

全員レベルは12になる。


俺は後ろを振り向き赤い壁の有無を確認する。


赤い壁はなかった。

壁があった先にも進むこともできたからだ。


「なんとか、なったのか……」


彼女たちを失うことを考えると疲れが溜まっていく。

俺は疲れ果て、ぐったり倒れ込む。

いくらレベルが上がってスキルが上達しようとも、

今回のように強敵との強制戦闘が起きれば毎回ハラハラする。


本当に彼女たちを守り切ることができるのだろうか。

水竜との戦闘でも、イオがピンチになった。

安全に戦闘をこなす方法はないのか……



◇◆◇◆



気がつくと、彼女たちは湖のそばにいた。


「みんな、なにをしているんだ?」

「せっかくこんなに綺麗な湖なのですから、泳ごうと思いますの」

「イオも泳ぎたいです! メラメラ……!」


「ハヤトくん、泳いでもいいかしら?」

「ああ、勿論いいぞ」


と、彼女たちは服を脱ぎ始める。


――って!


「まてまてまて! 服は脱ぐな!」

「えっ?だって脱がないと服が濡れるわよ?」


「と、とにかく! 脱ぐな!」

「しょうがないわね、わかったわ」


服を脱がれるのは俺には刺激が強すぎる。

まあ前回の時みたいに、視界がモザイクになるのだろうけど……


彼女たちはバシャバシャと水しぶき上げながら楽しそうに泳いでいる。

その光景はほんわかとしており、今までの疲れも少しずつ取れていく――。


「ハヤトくんこっちこっち〜」

「ハヤト様も一緒に泳ぐのですわ!」

「ハヤトさんも一緒に泳ぐのです! メラメラ……!」


「ああ、わかった!」


俺は湖の中に入る――。


って深っ!


カナヅチの俺はみるみる沈んでいく……

そういや俺、泳げないじゃん!


(ゴボゴボゴボッ……)


「ハヤトくんっ――」


俺の体は深い青に包まれる。

視界は徐―に真っ黒になり、意識が遠のいてゆく――


目が覚めると、綺麗な夕日が見えた。

目の前には彼女たちがいた。


「ここは――?」

「ここはカルデネ島よ」


と、リシテアは言う。


カルデネ島?

そういや、俺達はレヴィアタンと戦ったあと、湖で泳ごうとして……。


「俺は、溺れたのか」

「そうよぉ。それで、みんなでハヤトくんを陸まで引っ張っていったのよ!」

「目が覚めたようでよかったです! メラメラ……!」


「本当に心配したんだからっ!」


コ―デリアは心配そうに言う。


「それはすまなかった。みんなありがとう」

「礼には及ばないですけどっ。フンッ!」


「ハヤトさんがいてこその私達ですからね! メラメラ……!」

イオは《エウロパ》方向を指差し……。

「さっ、水の都に戻りましょう!」


と言いながらイオが俺の手を引く。

俺はその手を(つか)み起き上がる。イオの手はとても柔らかかった。

そういや女の子と手を繋いだのなんて初めてだな……

これが女の子の手の感触(かんしょく)なのか……ッ!


俺は若干の感動を覚えながらみんなの方を見て声をかける。


「さあ《エウロパ》に戻るぞ!」


俺達は船船着き場に向かった。

俺は船着き場の受付の人に言う。


「大人四人。《エウロパ》まで向かいたいのですが」


俺は受付の人に金を渡す。


「《エウロパ》だな、さあ、乗るといい」


――ガタ、ゴト。


俺達は木造船に乗る。


――ゆら、ゆら。


そして、《エウロパ》行きの木造船は静かに揺れながら動き出す。


俺は行きの時と同じく空を見上げた。相変わらず白鳥達が飛んでいる。

雲ひとつ無い綺麗な夕日だ。とても仮想現実に居るとは思えないな。


――なんて美しい世界だろう。


俺はこのとても美しい世界で、必ず生き(のび)びてみせる。


今回だって、なんとか彼女たちを守ることができたんだ。


これからもっと強くなって。


彼女たちを。


必ず守ってみせる――。


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