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第五章「死んだ彼女に想いを告げ続ける」 十話



 昨日の晩は、まるで悪夢でも見たかのような一夜であったと青年は報告書という名の日記に記した。

 現在の日時は朝、あそこから逃げ出して、もう安全と思われる位置に丁度あった砂漠のど真ん中にぽつんとある巨岩に、隠れるついでに日除け目的でアラムたち、三人は交代で見張りをしながら仮眠を取っていた。

 一人当たりの休息時間は約二時間半、夜間での移動の際、何頭か見たこともない害竜と遭遇、交戦もした。それに加え不十分な休息なはずなのに、皆が皆緊張感と恐怖心で目だけは冴えてしまっている。おおよそ、昨日の夜の出来事が鮮烈すぎて本能が警戒しろと警鐘を鳴らしているのだろう。


「……あ」


 と、出発前の準備中、荷物を点検する二人の横で軽くメモ代わりにしている報告書を作成していたアラムは、見るからに失敗した、という表情をした。


「アラム様?」

「ガウハルさんの連絡……無視してた。昨日の夜から十回ぐらいこっちに掛けてきてくれてるけど、コール(着信音)を無音にしてたから気づかなかったよ」

「昨日の夜からならば色々ありましたし……音を消すことは間違った判断では無いかと」


 仕方ないですよ、と言葉を続けようとした少女。だがその前にアラムが急いでガウハルに折り返しの連絡を入れる。

 短いコールの後、すぐさま応答があった。


「こちらガウハルだ! 栗毛、息災か?」

「すみません、何度も連絡をくれていたのに、色々とございまして――」

「構わぬ、過酷を極める旅の中では(いとま)を見つけることは至難よ。我にも経験はある。だがこちらも色々あってな、まず報告を一つ、手短に言う。ドラゴノス王国が滅ぼされかけ、今し方、その再興が終わりかけているところだ」

「……はい?」


 ドラゴノス王国が滅ぼされかけたと言われ数秒の間、思考が止まる青年。あまりにも唐突すぎるゆえ、混乱するのも仕方がない。


「な、何があったんです!?」

「アケル王国で戦った亡者がいたであろう? 我が帝国にたどり着く前に、おそらくはあれと同系統の敵に責められた。現皇帝は何らかの呪いで命に別状はないらしいが意識が無い。代わりにその息子である皇太子が代理をしているが、少々頼りないので我も手を貸し、早急に復興を終えた」


 ドラゴノス帝国の皇太子と言えばあのレルドルト皇太子だ。ルアネに一目ぼれし彼女にプロポーズしてきて一緒にミュールドラゴンを倒しに行ったあの皇太子で間違いない。


「頼りないって……」

「ああいや、あくまで我は部外者。出過ぎた真似はしておらん。元老院とやらも良い顔をせぬからな。あくまで助言よ。まぁ、成果を出した途端に元老院の者共に手の平を返され復興の立役者にされ、蚊帳の外にされた皇太子が拗ねてはおるが……」

「それやりすぎてますよね! 絶対やりすぎてますよね! レルドルト皇太子さんにフォローしておいてくださいよ! あのアラム君がこの人ちょっと優秀すぎるから、比較とかするだけ気を病むだけですよって言ってたとお伝えくださいね!?」

「ふははは! そう言えば栗毛と知り合いだと皇太子は言っておったか、なるほどわかったわかった。アラム君がそう言っていたと伝えよう」


 優秀すぎる、というのも考えものだ。部外者で排他的な元老院でさえも、ガウハルのカリスマ性に魅せられ皇太子を蹴っ飛ばし彼に頼り出したというのだから、青年の頭が痛くなるのも必然であった。

 なまじレルドルト皇太子とは顔馴染み、優秀すぎる部下を持つアラムも今の皇太子の心境は理解できるのであった。


「でだ。復興が終わり、今は兵の鍛錬に力を注いでおる。我は復興の立役者となったからな、それなりの発言力を得たのだ。また正体不明であった敵に怯える元老院の言もあり、協力的に物事が運び、現段階の戦力増強も順調よ」

「それでガウハルさん。その攻め込んだ謎の敵について何か判明したことは?」

「我は実際に見ておらぬのだが……被害にあった国民や騎士、王室に努める者が口を揃えてこう言っておる。あれはまさしく“ドラゴノス伝説に伝わる悪女”である、とな。そして今、そ奴はサハラジェ連合なる場所と向かっておる聞いた。急げ、貴様らの目的地だ!」





 ――どの国の酒場でも吟遊詩人たちが歌う。遥かなる地、サハラジェこそがこの世の楽園であると。

 かつて、英雄ドラゴノスは黄金の砂漠を超えてサハラジェの地にて、美しい一人の姫と出会いこれを娶ったとされる。

 灼熱の地に群れを成すこの大陸にて最強格の竜たちとの激闘、黄金の砂が吹き荒れる遥かなる地にいるという褐色の肌と金の毛を持つ美しき姫との物語は、人気が高く吟遊詩人が劇を行えば、いつもよりおひねりも多くもらえる為に、この物語を知らぬものなど生まれてきたばかりの赤子ぐらいと言われている。

 その舞台、商業国家サハラジェ連合国は商人において伝説の地であり、英雄ドラゴノスに憧れを持つ者にとっても聖地めいた国でもある。

 英雄ドラゴノスの終盤の物語での地。そのサハラジェ連合国の魔力技術は他二つの大国と比べても数段上ではあった。

 この過酷な地にて育った屈強な竜から国を守る大結界、アケルとドラゴノスで横断不可能と黄金砂漠を渡る術である秘奥を、長年先祖から受け継ぎ独特の進化を遂げた魔術は最強の矛と盾を持つ連合でもあるのだ。


「ふぁあ……暇だ」


 ゆえに、その黄金砂漠を渡った英雄を出迎える玄関口であり最も栄えた国、この最強の守りの加護があるトラヌ王国にて監視の兵士が欠伸を漏らしても誰にも怒られない。そんな黄金砂漠の中で栄えた理想郷に、二匹の小竜が飛んでくる。

 強烈な日差しの中、国の結界に阻まれ国の上でグルグルと円を描き、空を飛ぶ猛禽類ほどの大きさの小竜に、欠伸をしていた見張りから緩んだ表情が消し飛ぶ。


「あれは、ドラゴノス帝国からの!」


 ――ドラゴノス帝国半壊とそれを成した何者かがそちらに向かっている。その報はサハラジェ連合国を震撼させた。二匹の小竜は同じ内容の手紙を括り付けており傷だらけ、道中で多くいた仲間が害竜に襲われ食われたのだろう。見張りの兵士は手紙を届けて息絶えたその小竜を手厚く葬った。

 すぐさま連合国の長たちが魔術を使い魔術水晶越しでの緊急の議会を開く。この黄金砂漠に転々と点在している国の王たちによる、夜通しでの話し合いが行われていた。

 だが、どこもドラゴノス帝国を守る為に自国から兵を出したがらなかった。商業国家サハラジェ連合、誰も彼もが金でしか動かない根っからの拝金主義だったからである。



 日が沈み、朝日が昇り、太陽の光を黄金砂漠には珍しい白雲が覆い遮っていた。



「で……どこもかしこも、自分の所が大事ってことでいいか?」


 不毛な言い争いであった。一夜を明かし行われた王のごね合いに、サハラジェ連合国で最も栄えた国トラヌに君臨し、サハラジェ連合国の長であるバルバット王はなんともつまらなそうにそう言って、この不毛な話し合いを終わらせた。


「し、しかしバルバット王や……今は一大事」

「その一大事に一晩中、なんやかんや自分の国からは兵は出せないって微量の真と盛大な嘘を入り交ぜて言い合ってたのは誰だ? 言っとくがさっきの兵の派遣できないって言ってた理由の九割、トラヌ(こっち)が独自で調べて知ってる情報と食い違ってるんだが?」

「……いや、そのぉ」

「ああいや、別に責めちゃないぜ? 俺はサハラジェ連合国の長なんて立派な役職貰ってはいるがな。若い身空でトラヌの王権を継いだ餓鬼になんと言われようとも、ほら、あんたらは従う気ないだろ? わかってるわかってる。自分が大事、それでいいじゃないか。ドラゴノス帝国には適当に皆で話を合わせて嘘つきましょうってことだろう?」


 誰も言わなかった本音をあっさりと頬杖付きながら、眠いのか退屈なのか欠伸を噛み殺しながらあっけらかんと語るバルバット王。

 それに、バルバット王の後ろにいた老いた大臣らしき男が頭を抱えた。


「それは、そうですなぁ」

「ははは、はは」


 それに、どの国の王も顔を引きつらせた笑顔で肯定した。その方が自分たちに都合が良い、更に連合国の長がそう言えば誰も逆らえない。そう、たとえ普段目の上のたん瘤である連合国の連合長がだ。


「で、帝国の次に襲われるのはまぁ、サハラジェ連合国の玄関口であるこの国(トラヌ)の可能性が高いが、こっちに来たら驚異の排除はこちらでやる。だが、その後に全ての連合国から兵を徴集するが、いいか?」

「なぜです? バルバット王よ。そんな大量の兵を集めて、一体何をする気ですかな?」

「ああ? 理由……復興の為だ。ドラゴノス帝国を単身で壊滅させた化け物相手に、いくらトラヌでも無傷って訳にはいかない。連合国である最低限の義理ぐらいは果たしてくれ」

「しかし、復興ならば全ての国ではなく近くにある国のみの兵で――」

「おいおい、あんたら仮にも王だろ頭を使えっての、寝ぼけてんのか? いや、実際一晩起きてたから眠いな。悪い、失言をした。兵のほとんどは“威嚇”に使う。アケルの愚王が変な気を起こして責めてきたらどうするよ? あの豚の代になってからサハラジェ帝国に勝手に入ってきて、デザートドラゴン捕まえて売り物にしてるのは公には出てないけど知ってるだろ? トラヌが陥落すれば、次はあんたらなんだぜ?」


 その言葉で誰もが押し黙る。そしてそれは当然の要求であった。面倒事はこちらで全部片づけるから、後のフォローを連合国としてやってくれという内容、先ほど夜通し行われた会議よりも、この一分で行われた会話の方が有意義であった。


「じゃあ、化け物の撃退準備をするから、失礼させてもらう。ああ、親愛なる近隣諸国諸君、後ろから攻めてきていいが、その時は同じように反逆した国の粛清という大義名分でまた自分たちも後ろから刺されるから、お勧めはしないぜ?」


 最後まで頬杖のまま、そう言って豪奢な椅子からの第水晶での通信を終わらせるバルバット王。そしておまけにおおきな欠伸もする。

 他国からの増援は無し、その表情は国の一大事だというのに、実に退屈そうであった。鬱屈、という言葉が実によく似合う王であった。


「良いのですかな? あんな態度を取り、ですから鬱屈王などと揶揄されるのです。ここは誠意を込めて援軍を頼めば――」

「援軍送りますって言って実は裏切ってここ乗っ取りに来ました。となったら爺や、どうする。ああこれ、その動きがある証拠だ。お隣さんはすでに手は打ったが、他が怖い」


 と、バルバット王が爺やと呼ぶ大臣に紙切れを魔術か何かで蝶の様に羽ばたかせ届ける。


「――こんな情報、なぜ私に黙っていたのですか! 他国の報告に無い兵力増強に魔術兵器ですと! 隣国などこんなあからさまな戦争の準備を――」

「他はまだ疑いだけだから手を付けてないが、隣国はすでにこっちで終わらせたと言ったろ? お隣さんは最近、王が代替わりしたの忘れたのか? 爺や、耄碌するにはちょっと早くないか?」

「……まさか、暗殺を? 私ではなく王が?」

「そう、それしかなかった。あくまで“王を王子が自分の金と兵で暗殺したんだ”よ。ま、これで俺の代の間はあっちの国との関係は良好だ。あの王子は話がわかる。俺の紹介で美しい女をやったんだが、気に入ってくれたよ。随分と素直に俺に協力してくれた。ああ爺や、今の問題が片付いたら結婚祝いは何がいいか考えといてくれ」


 さて、ハニートラップでお隣の国の企みを阻止した話はさておき、今の問題である。


「しかしですなぁ……援軍を――」

「おいおい、だ、か、ら、今更、援軍を呼んでどうするんだよ爺や、遅すぎるだろ。切り替えていこうぜ。それよりも昨日の指示はどうなった? まさか忘れてないだろうな?」

「はぁ、すでに竜騎兵たちは指定の位置に配備、民の避難も七割ほど完了しております」

「七割だぁ? 遅い。さては金持ちどもがごねて居座っているな? 財を持つ者は腰が重くてかなわん。少し強引でも良いからさっさと――」


 バルバット王が何か言いかけた瞬間、大きな縦への振動が起き、部屋の物が倒れる。色とりどりのガラス製の小物入れなどは固い床の上で砕け散り全滅するほどの大きさだった。


「来たか」

「何が来たというのですかな?」

「そりゃあ例の敵だよ爺や、さて、トラヌ国の滅亡の危機だ。この俺が直に指揮を執る」


 そう言って散歩にも出る様な軽やかな足取りで王室から出ていくバルバット王。それに頭を抱えながら、爺やと呼ばれる男も困り顔で自身の主に付いて行った。

 城の中はハチの巣を突いた様な慌て様だった。横を通り過ぎる兵は、それがバルバット王にも気づかず、この白い石で造られた開放的な城内を走っていく。


「爺や、見てみろ。いつも見張りでサボることしか考えてない兵士が働き者だ! 流石の爺やも今まで生きてきて初めて見たんじゃないか?」

「お戯れを……」


 凄まじき豪胆なのか、ただの馬鹿なのか、底の見えぬ傑物なのか。バルバット王はそう言いながら兵たちが走る中、正門から堂々と出ていき高台に位置する城の入口から我が国を一望した。

 大慌てだ。財産である家と土地を捨てられぬものかと避難勧告を無視していた肥えた金持ち共が、竜車に荷物を大慌てで詰め身動きが取れず、大通りで交通麻痺を起こしていた。

 そこに貧しい者はなどいない。持つ者が少ない者はさっさと軽い荷物をまとめて、黄金砂漠の地平線ぐらいにでもいるだろう。


「まぁ、あれは見捨てるとしてだ」

「バルバット王……見捨てるなどと、富を持つ有権者を敵にすれば後々に――」

「見捨てろ。荷物を頬り投げて命乞いをするなら助けても良いが、死ぬまで欲に囚われる馬鹿には付き合いきれん。後先など考えるな、今はそういう状況だ。何を切り捨て何を助けるか、それを考えるのは()の仕事だ。助言なら聞くが、指図は聞かん!」

「はは、心得ました」

「おいそこの! 敵はどこにいる!」


 と、城の門前でバルバット王が偶然近くを通りかかった大人三人分ぐらいの竜に跨っている兵にそう質問を投げる。まずは敵の位置を把握するのは、戦争の基本である。


「わかりません! 全ての兵が探索しておりますが敵影、どこにありません!」

「何をしておるのか! それでもトラヌ王国の栄えあるドラグーン部隊か! トラヌ王国の大結界は流石に破れぬだろうが、侵入する手段があるやもしれんのだぞ! 即刻、見つけ出さぬか!」


 敵の位置が不明、それを聞いて爺やと呼ばれる老人が怒声を上げた。敵の位置がわからぬ以上、攻撃も不可能。手詰まりであるからだ。


「爺や、煩い。俺が指示を出せねぇだろ。本当に見当たら――」


 バルバット王が指示を出そうとした瞬間、轟音が鳴り響いた。

 何が起きたのか、誰もが周囲を見て、普段は不可視の透明の結界が、衝撃により軋み揺れているのを目視する。


「……あれ、割れませんよね?」

「何をされたのかわからぬが、長きトラヌの歴史において、かのドラゴノスにしか破られなかった大結界が突破される訳が無いだろう! それよりも……なんだ?」


 誰もが、その違和感に動きを止めた。

 顔に光が、一瞬当たり、消え、また当たる。何事かと見渡せば地平線の向こうまで光の柱が世界に踊っていた。

 世界の終わりか。神秘的とも言える光景の中、その異変の元凶にいち早く気が付いたのは、バルバット王だった。



 今日の空模様は曇り。黄金砂漠には珍しい白い雲が空を覆い尽くしていた、はずだった。



「空が……掻き混ぜられている」


 そう言い表すしかなかった。まるで大鍋を掻き回す様に雲を何かがグルグルと混ぜていた。その隙間から陽光が漏れ数多の光の柱が右往左往と動き回る。

 あまりにもスケールが大きすぎる。空を掻き回している物がなんなのか、バルバット王はそれに気が付き、急いで敵探索の檄を飛ばす。


「あれは攻撃の“準備”だ。即刻、術者を見つけ叩け!」

「あれが、攻撃の準備ですと!」

「爺や、確か帝国からの知らせに敵は骨削り姫と書かれていたな?」

「確かにそうです世迷言ですぞ! 英雄ドラゴノスの時代に生きた者が今も生きていると? 正気ですかな、バルバット王!」

「実際、俺も何かの間違いだと思っていたが空を見ろ。あんなことができる奴ならば真実味も出る。死者の使役の術だ。そういう太古の禁術があったと聞いたことぐらいあるだろう? その術を発動させたのは終焉の竜だとすれば辻褄は合う。それに骨削り姫の最後は終焉の竜に――」


 轟音と光がトラヌ王国を襲う。二度目、バルバット王の言葉を掻き消えた。誰もが聴覚と視力を麻痺させ、それを次第に回復させる。


「……そんな」


 若い兵の口から絶望が漏れた。トラヌ王国の大結界。それが、粉々に砕かれていた。奇跡的に国そのものに何も被害は出ていないが、空を見れば粉々に砕けた結界が赤に近いオレンジ色の欠片となり宙をクルクルと舞っている。


「ば、かな。ドラゴノスにしか破れなかった大結界をこうも容易く!」

「結界術師は修復! 付け焼刃でも構わん! その他の物は竜に乗り敵の場所を割り出せ! 虱潰しだ!」


 最強の守りを破壊され、誰もが固まる中、バルバット王だけが次の手を打つ。見れば、また空は掻き混ぜられている。敵がどのような攻撃をしているのかわからない……いや、敵が本当に骨削り姫ならばそんな物、一つしかない。


「ドラゴノス伝説に聞く骨削り姫の竜骨武器! これほどなのか!? 伝説なんてものは誇張して伝わるものだろうに、語られるそれよりも破格とはな!」


 バルバット王は先ほどまであった余裕を無くす。国滅亡の危機、英雄ドラゴノスの妻にして真の名も朽ち伝わらぬが、その悪名だけは細々と語り継がれる者が、この敵ならばこの事態も納得がいく。

 ――骨削り姫。長い黒髪を持ち骨を削った武器を嗜好品にする稀代の悪女が今、敵として黄金砂漠の都に立ちはだかっているらしい。


「第二撃が来る前に……なんだあれは、早すぎる!」


 空を混ぜ回す凶星の加速速度が尋常ではない。すでに速度が速すぎて雲の中、空気抵抗の摩擦熱で赤い光を放っていた。このままでは一分もしないうちに第二撃がトラヌ王国を崩壊させかねない。あの威力の攻撃が短時間で撃てるなど夢にも思っていなかった。

 もはや急増の結界にあれは防げない、結界術師を集める意味が消えた。

 たまらずバルバット王は無策にトラブ王国への門へと駆け、何か出来ることは無いかと探す。


「総員に告ぐ、敵の索敵に全てを費やせ! 攻撃される前に止めるしかない!」


 もはや、それしか方法が無かった。散々探していない相手を再度探すのは悪手ではあるが、その可能性に縋るしかない。バルバット王の判断は正しい。

 だが兵たち誰もが呆れめている。絶望し、半数以上が王の命に従わず竜に乗り国から逃げる者すらいた。

 そして点に赤く輝く凶星がトラヌ王国に今か今かとその速度をさらに上げ――時間にして刹那、走馬灯と共に皆の世界がゆっくりと進み。


「キレスタールさん! 三角だ! 受けるんじゃない、逸らそう!」


 そんな中で、謎の声を確かにトラヌ王国の門付近にいる兵と王に届いた。

 一瞬、トラヌ王国を守る壁を二枚、三角の形に構築された巨大な結界が現れ、裂かれた。だが王国には傷一つ無い。守り切ったのだ。

 誰が守ったのか、国の結界術師たちは間に合わなかったはずだ。


「バルバット王、どこに!」


 バルバット王は国の大門のすぐ内で呆けている兵たちを押しのけ、自身の国の門へと駆ける。国の城壁に造られた大門、そこを抜け黄金の砂風の中に……一人の青年と一人の少女が見つけた。


「おいそこの、何者か!」

「そ、善意押し売り業者です! 今、そこの国守ってるんで静かにしてもらえますか!?」



 私事にはなりますが、ある事が起きまして……少し落ち着きのある大人を目指そうかと思います(猛省)

 詳しく言うと、この鬱陶しいノリを卒業できるように日々、精進していきたいと……はい。


 FGOは止めませんが!

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