第五章「死んだ彼女に想いを告げ続ける」 九話
アケル王国領土を抜け、新天地であるサハラジェ連合国への領土へと渡る頃、周辺の風景に変化があった。
ドラゴノス帝国の時もそうだったが、徐々に木々や緑が無くなり地面や岩肌が露出するようになっていき、砂漠地帯となっていく。
ただドラゴノス帝国とは違い魔力石でできた岩砂漠ではなく砂の砂漠が徐々に緑の大地を侵食していた。
――だが、そこはただの砂漠ではない。
「おう、目が……目が……確かサングラス持ってたかな僕、普段あんなの付けないけど確かあったはず……えーと、コードシステムに登録してるかなぁ? あるかなぁ~どうだったっけぇ……いやぁぼかぁ、確かに買ったっよぉ?」
とにかく眩しかった。
無論、頭上の太陽が肌に突き刺さるような光を放っているのもある。上空のオゾン層やら何かが薄いのかもしれない。だが“眼下”からもその眩しさが、アラムの体力をじわじわと奪っていく。
――そう。そこは、文字通り黄金の砂漠であった。
「一面に金砂が広がっているとは、壮観ですねアラム様」
「確かに綺麗だけど、僕的にはドラゴノス帝国で見た地平線まである魔力石の世界の方が衝撃だったかな。船でも魔石って使用率の高い素材だから高いけど、金はそれほどだから」
「そうなのですか? 私めの世界では金は王族などが好んでいた物でしたが」
「そうなの? 別に船では珍しい物じゃないんだけど……綺麗なだけでそんなに需要ないし、ああでも、何世代か前の技術では素材としての価値はあったってのはどこかで読んだ気がするけど……まぁでもやっぱり、現在は綺麗なだけの金属という評価にはなるかな?」
徐々に風景が黄金砂漠になっていく中、青年と少女は金の価値について会話をしていたが、徐々にその口数が少なくなっていった。暑く体力の消耗を押さえる為だが、常に太陽光を下にある金砂が反射する光がうっとおしくなって会話をする余裕を無くしたのだろう。
「コード、スポーツサングラス。違う……えーとぉ、コード、ブラックサングラス……反応しない。えー、いや僕、買ったよぉ。サングラスで登録してないの僕? えー」
と、アラムがなにやらぶつくさ言い出した。暑さと眩しさで頭がおかしくなった……訳ではなくコードシステムに登録した遮光眼鏡を召喚しよう試みているが失敗しているらしい。
ブツブツと独り言を言う青年を第三者が見れば、関わってはいけない頭のおかしい奴と判断されるだろう。だがそれよりも明らかにヤバいのがすぐ隣にいた。先ほどから人形に話しかけているこの男である。
「うむ、なるほど回復魔術の基礎は下半身が大切だと」
「そうさルーキー、下半身を鍛えることは大切だ! 足腰はありとあらゆる基礎、スクワットがきつくてサボるおバカちゃんもいるが、上半身だけムキムキのチキンガイになりたい奴なんていないだろう? そんな男に誰も癒せねぇさ!」
この糞暑い中、更に暑苦しいテンションで一問一答を繰り返す大男と小さな人形。アラムに負の遺産と烙印を押されたその人形とギャレンは、何を考えているのか楽しく会話をしていた。
その様子はまるで長年自分だけが抱えていた悩みを共感してくれるソウルメイトと出会ったかのような盛り上がりだ。
「あの、ギャレンさんその人形の人工知能はしっちゃかめっちゃかになっていまして、あまり言うことを真に受けるのは……」
「いや、止めてくれるなアラム殿。愚生は楽しくて仕方ないのだ。長年に渡り己のみで考え小さな工夫で自身を磨いてきたゆえに、誰かに師事してもらえるというのが新鮮でたまらないのだ。ルアネとキレスタール殿には世話になったが、師という関係では無いからな」
「えっと、そうなんです?」
「それにルアネやキレスタール殿と違い、人形ゆえ物覚えの悪い愚生が何度も同じ質問をしてもいいのが素晴らしい。気兼ねしなくていい……これは素晴らしい贈り物だ」
「いやでも間違った知識……まぁ、暇つぶしになっているならいいですが」
間違った知識を得てギャレンが弱体化されては困るのだが、ルアネを助ける為に張り詰めすぎてしまう可能性や、アケル王国にはもう戻れなさそうなことを考えると、彼からこの娯楽を取り上げるのはあまり得策ではない。そう青年は考えてか、それ以上は言わなかった。
いや、というかこの暑さと眩しさのせいで元気が無く、これ以上この暑苦しいこの男とダイエット軍曹に付き合いきれなかった……というのが正しいのだろう。
「しっかし歩きづらい、大量の砂金ってこんなに歩きづらいん……あれ、なんか感触が変?」
と、アラムが汗だくで愚痴を零していると、何か足の裏から変な感触を感じ取ったらしい。
その地面は固くはないが、砂金よりも足が埋まらないほどの弾力があった。今まで新雪の上を歩くかのような足場の悪さだったのに、いきなり粘土質の土を踏んだかのような変化に、青年は、はてとその首を傾ける。
その違和感の正体を確認する為、青年がまじまじと地面を見ると、少し前の地面に、黒くつぶらな瞳があった。
「え、なにこれ――」
正体不明のそれに唖然とする青年、すると後ろから急に首根っこを掴まれる。ギャレンだ。
いきなりのことに混乱するアラムだったが、更に先ほどまで自分がいた位置の地面から水面から虫を襲う魚の様に砂が盛り上がり、少年を“捕食”する動きを見せたことでそのパニックが色濃くなる。
「ひ!」
臆病な青年はそこで感づく、自分が先ほど死にかけたことを。
「キレスタール殿!」
アラムの首根っこを掴んで後ろに放り投げたギャレンが、キレスタールに青年の保護を頼む。守りならばこの少女ほど頼もしい存在はいない。
「なんですあれ!」
「おそらくは、デザートドラゴンかと!」
険しい顔をする少女にいきなりデザートドラゴンと言われて、パニックになっている青年はなんのことやら理解できなかったのだが……青年はその竜を一度見ている。
始めてアケル王国から出て、ルアネがギャレンの旅の同行ができるかどうかの試験に使用したあの密輸された砂の竜と同種だ。
この黄金砂漠こそ、そのデザートドラゴンの本来の生息地なのだろう。
「おそらく群れがいる! キレスタール殿、足元に気を付け――」
と、ギャレンが言葉を発する瞬間、アラムを襲った砂の噴出と比べ物にならぬほど大きな“山”が二つできる。
「なにこれ、なにこれ! なにこれぇ!?」
もはや少女に抱き着いて喚くしかできない青年。そして両脇から迫りくる山は波へと変わり、三人をそこら一帯ごと包み込んだ。それは間違いなく、砂でできた大きな口であった。
遠くから見れば、砂金の海から顔をだけ出し獲物を捕食する大きな大きな人食いクジラの様なデザートドラゴンが確認できただろう。
「え、えぇ! 僕たち食べられたのぉ!」
「慧眼だ。おおよそ特大サイズのデザートドラゴンに捕食されたのだろう」
「いやギャレンさんなんで冷静なの!? 僕たち食べられて、ここで旅が終わ――」
「キレスタール殿、しっかりとアラム殿を守っていてくれ、地中に引きずり込まれる前に愚生が砂の大竜の核を穿つ!」
と、半泣きのアラムの言葉を遮り、ギャレンが“下”に向けて拳を構える。
「アラム様、離れず!」
「はぁい! ぼかぁ、絶対離れませんよぉ!?」
ギャレンの一言で、デザートドラゴンに襲われた時よりも慌てる少女を見て、青年は縋りつく様に腕に力を入れた瞬間――その大男からとんでもない衝撃波が放たれた。
まるでミサイルの爆発か何かだと青年は思った。おおよそ人間が発して良い衝撃波ではない。キレスタールはそれを結界で歯を食いしばりながら真正面から受けきれず、一度結界を破られ、最速で再び結界を構築し青年を守り切った。
そして耳をつんざぬく断末魔が三人の耳を貫通し脳に響いた。天を覆っていたワニの様な細長い口の砂の塊が頭上から降り注ぎ、瞬く間に三人を黄金の砂漠に埋めてしまう。
そして、黄金の土煙が飛散して暫く、その灼熱の砂金が広がる砂漠に再び静けさが戻ろうとして、先ほど青年らを埋めたはずの砂の山が大爆発を起こした。
地中で普通の人間なら身動きが取れないはずの状態であるギャレンが、その拳を無理やり振るったことによる爆発だった。
「死、死ぬ! 多分一回死んだ僕!」
喚きながら、虫みたいに必死で砂の中から這い出てくる青年。口の中に砂が入ったのか何度も唾を吐いて周囲を見渡して、地面から突き出ている少女の手に向かってずっこけながら駆け寄りキレスタールを大根の様に砂の中からなんとか引っこ抜いた。
「キレスタールさぁーん!」
「ケホ、だ、大丈夫です。それよりもギャレン様はいずこに?」
二人が砂埃を払いながらもう一人はどこかと探していると、近くから太い腕が地面から突き出る。
だが、こちらは青年が引っこ抜かずとも自力で地面から腕をもう一本生やし、首から順番に砂の中から自力で這い出てくる。そして二人の無事を確認して大男は、実に良い笑顔でこう言った。
「……良し!」
「良しじゃぁなぁあい! 脳筋すぎるぅ!」
照りつける太陽の下、黄金の砂漠で青年が心からの叫びを轟かせたのだった。
「あのー、ここ、怖いんですけどぉ……」
灼熱の昼とは打って変わり極寒の夜の砂漠で、毛布に包まりながら青年はそう言葉を漏らした。
あれから大型のデザートドラゴンに襲われること計五回、似たような方法で脱出を繰り返し青年と少女はもう疲労困憊で元気など既に尽きていた。キレスタールなど、疲れから今は寝袋に入って小さな寝息をたてているぐらいに消耗しきっている。
砂漠なので焚火に使う木の枝が無い為、アラムがコードシステムで召喚した大きめの照明機を囲み、これまた召喚した毛布を着て、男二人は暖を取っていた。
「サハラジェの黄金砂漠はこの世で一番過酷な地と伝わっている。砂漠越えをできればそれだけで偉業、ドラゴノス伝説にあるサハラジェの黄金砂漠での冒険は有名だ」
「竜車に乗せてくれた商人さんがしつこく止めてくる訳ですよ、本当に」
とはいえ、この砂漠を超えてサハラジェ連合に終焉の竜討伐の助力を乞わなければこの世界はこのまま滅びる。今から怖いからと引き返すという訳にはいかない。
「やっぱりガウハルさんが空を飛んで砂漠の国に行ってもらった方が……いーやいや、ドラゴノス王国で終焉の竜に睨みを効かせてくれないと……もし直接本体が出てこなくても、アケル王国みたいに死人を蘇らせて襲われたら、ドラゴノス王国は壊滅しちゃう可能性が、いや、でもぉ~!」
ブツブツとそう言って自分の作戦が間違っていないのか、確認をしていく青年。相手の戦力が未知数な以上、常に最善手を打ち、こちらの戦力を万全にしておかなければならないという考えなのだろう。
もし、もしだ。一手だけでも間違えてそれが敗北に繋がってしまう可能性も否定できない為、青年は何度も思考を繰り返している。
「うむ、ルアネも度々言っていたがアラム殿は賢いのだな」
「えぇー、ぼかぁ賢くないですよぉ? 馬鹿だぁー、とまでは言いませんけど弱くて臆病な基本役立たずですから、考えて考えて収入と自身の生存権を得る必要があるんですってぇ。それはもう平々凡々ないたいけな男の子ですよ?」
それはいつもの青年の自嘲ではなかった。事実、船において彼の頭脳はそれほどのものではない。偵察機の人工知能による翻訳を完成させたのも、莫大な時間を消費してのたった一つの成果をトライ&エラーで生み出しただけのことだ。別段、彼はバイトという船において人工知能という分野における一番の天才という訳ではない。
「いや、アラム殿の作ってくれたこのダイエット軍曹のおかげで今日は乗り越えられた。人工知能、とやらはよくわかないが愚生はアラム殿を凄いと思う」
しかし、ギャレンは感謝の言葉を口にして彼を称賛した。そこで「何言ってんのこの人?」みたいな顔でギャレンを見る。称賛されたことではなく、なぜそこでダイエット軍曹が出てくるのかという反応だろう。
「軍曹殿の言う通りに下半身を意識して技と魔術を使うと体がいつもより動けた。日々、爪が伸びるような速度でしか成長できなかった愚生からすれば、驚異的な成長速度だろう」
「は、はぁ」
正直強くなったとか言われても、もはやギャレンの戦闘能力など一般人以下の強さしかない青年では判別不可能なので、適当な返事を返すだけだった。
きっとブラシーボ効果なのだろうと、ギャレンの熱い感謝の言葉を、青年は疲れた頭でただただ聞き流している。
「それよりもちょっと、その、いいですかね?」
「ん? アラム殿、それほど改まって何を? 大事な話だろうか?」
「ああいえ、そこまで重要な話とかでは無いのですが……」
そう言いながらすやすやと寝ているキレスタールの方を見る。そして彼女が寝ていることを入念に確認してから、こう言い放った。
「キレスタールさんって凄い成長しました?」
「……アラム殿、その、何を言っているのか愚生には理解できないのだが……」
そう言われもう一度少女が寝ているのを確認するアラム。先ほどから挙動不審だ。
「そのぉ、今日特大のデザートドラゴンに襲われた時に僕、キレスタールさんに抱き着きまして、ああいや、いやらしい気持ちじゃなくて恐怖で抱き着いてしまったんですが」
「一番安全なのはキレスタール殿の傍なのだから、愚生は間違った判断ではないと思う」
青年の言い訳にそんな肯定を入れるギャレン。だが本題はそこではないらしい。
「ああいえ、抱き着いたことも、まぁちょっとは問題なのですが、いや船長にバレたら何言われるかわかったもんじゃないんですが、違くて、その、そこでふと気が付いたんですが、成長してたんですよ」
「……背丈が、ということだろうか?」
「それもなんですが、男に無くて女性には有る部分のお話です!」
「それは……なるほど!」
アラムが言わんとすることが理解できたのか、表情が明るくなって……そのまま固まるギャレン。そして徐々に元の小難しい表情に戻っていく。
「彼女はその、成長期だからな。確かに愚生たちと出会った頃より成長はしたと思う」
「……ぼかぁ、毎日見てたのに気が付きませんでした」
「愚生は日々どんどんと大きくなるなと思っていたが……」
「そうなの!? え、気付くものなの?」
「ああ、愚生の料理と相性がいいのかと密かに嬉しく思っていたりしたのだが……」
「……え、僕だけ?」
「ルアネも成長期ねぇ―と、言っていた……まぁ、終焉の竜との戦いの前、ドラゴノス帝国での時点で、だが……」
「え、僕だけなの? え、僕だけ? え、本当に、え?」
とんでもなく狼狽する青年。一人だけキレスタールの成長に気が付けなかったことが相当ショックだったらしい。
「……そう、かぁー」
そして大きく息を吸い込み、溜息を吐く様にそう言葉を漏らした。
「そういえばガウハルさんもそんなこと言ってたっけ? あれ、僕って、馬鹿? うん馬鹿です、ぼかぁ、お馬鹿ですよ。はい」
「アラム殿、まぁ……そういうこともある。愚生もルアネ以外の女性が微々たる変化をしても気づかない。そういうものにはかなり疎い方だと思う。共に精進しよう」
慰めのつもりなのか自分も同じだとギャレンは語るが……キレスタールの成長に気が付いていたのから嘘つきだ! と、青年はむすっとした表情でギャレンを睨む。だが彼の言葉に偽りはない。キレスタールの変化は“微々”なものではないからだ。
「男は女に振り回されると聞く、かの英雄ドラゴノスも妻とした女性には散々――」
と、ギャレンが何かを言おうとした瞬間、アラムのポケットから強烈な振動音が響いた。
瞬間、青年が飛ぶ。獲物を捕らえる猫の様な俊敏な動きでライトを消して、暗視スコープを荷物から取り出して覗きながら、三百六十度をその場で回って索敵する。
そのあまりにも素早い動きに、ギャレンは固まって何もできなかったほどだ。
「周囲で見張りをさせていた偵察機の網に何か掛かりました」
いまいち状況を飲み込めていないギャレンに、暗視スコープを覗きながらポケットに入っていた何かの振動を止めつつ、そう伝える青年。どうやら敵らしき何かが接近してきたらしい。
「敵襲ですか? アラム様」
「今、僕が向いてる方角で何かが暴れてる。キレスタールさんは目視で見えます?」
と、寝息をたてて就寝していたはずの少女が杖片手にいつの間にか起きてきていた。寝ぼけている様子もなくすでに警戒態勢に移っている。
二人のあまりにも素早い対応に置いてきぼりをくらいながらも、ギャレンも一応仕事はしようとアラムが暗視スコープを向けている方向を、懸命に目を凝らして見てみる。
「砂埃が上がっているが……遠いな」
今夜は月が出ていた。その光を黄金の砂漠が反射し、視界は良好、むしろ眩しすぎる昼間より、遠くがくっくりと見えるほどだ。そして本当に遠くに何か、砂埃らしきものが立ち昇っていた。
が、遠く過ぎて詳細はわからない。だがこの距離で見える砂埃となると、ビル五階建てほどの高さで舞い上がっているのは確かだ。と、するととてつもない巨大な何かが暴れているということになる。
「いや……駄目だ、見えない」
暗視スコープの倍率を上げても、砂埃のせいで何が起きているのかアラムにも把握できなかったらしく、今度は荷物から資格板状のパソコンに類似した端末を取り出して、偵察機の画像をその端末に映し出した。
「何、これ」
そこに映っていたのは血だった。月に照らされて光の波ができている夜の黄金砂漠を穢すように、大量の血がその上にぶちまけられていた。
血の出所は巨大で細身な黒い竜であった。太い後ろ足と短い前足、そして小さく鋭い顔つきに似合わない太すぎる悪魔を思わせる螺旋状の角。
画面越しでもわかる、この竜は他の竜とは明らかに違う別格であると。
「まさか、トランスツェンディーレンか」
「え、トラン……なんです? まさか、翻訳機の不調……」
「トランスツェンデーレン、超越の名を冠する最強種と呼ばれる竜だ。かつてドラゴノス帝国の地に君臨し、ドラゴノスはこの竜を打ち取り帝国を築き上げた。あのルアネがどんなに大金を積まれても、あれとは絶対にやりたくないと語るほどの竜だ」
「じゃあ、逃げましょう。すぐ逃げましょう」
とんでもなく危険な竜ということだけは理解できたアラムは、そう即決した。
「しかし、その最強種たる竜は、今あそこで何と戦っているのでしょうか?」
慌ただしく逃げ支度を始める青年に、キレスタールがそんな質問をする。当たり前と言えば当たり前だ。あんな竜、人間どころか凶悪な野生の害竜でさえ逃げだすだろう。
と、端末に何かが映る。空き上がる砂塵の中、まるで魚群の様な細い何かの集合体が異端の竜の鱗ごと肉を“削り取り”じわじわと嬲るように暴れていた。おそらくは武器だろう。
その高速で動く武器はよく見えなかったが砂塵の中、ちらりと隙間から長い黒髪の女が見えた。そう、長い黒髪だ。
無数の武器を宙に浮かし操る戦闘スタイルと長い黒髪という見覚えのある姿に、逃げ支度をしていたアラムは思わず動きを止めた。
「――まさか」
「違う、ルアネではない」
断言した。誰よりもその存在を渇望しているはずのギャレンが、その可能性は無しと言ってのける。
「似ているが、彼女の戦い方ではない。”非効率“的すぎる」
ならば、あれは誰なのか?
だが、あの戦いに巻き込まれる訳にはいかない。その答えを出せないまま、アラムたちは荷物をまとめて移動を始める。
逃げる途中、端末に映った銀の月が輝く夜に青年が謎の女と異端の竜の戦いを青年が盗み見る。すると、音声は拾っていない無音の映像なのに、聞こえないはずの笑い声が聞こえた気がした。
――血の舞踊が黄金の砂上で夜通し行われる。上品なワルツではなく、民族舞踊のポルカでだ。
美しき月夜に荒々しく、残酷に、その女と竜は踊り明かしていた。
ふじのんを宝具5にするぜ! 高校生の時に『空の境界』を読んだから俺は小説を書き始めたんだからな! やった! 無課金石で宝具4だ! この戦い、我々(廃人)の勝利だ!
……剣式さんが宝具7になりましたよ! やったね!




