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第一章「この繋がりを持てたことを、きっと彼は誇るのだろう」 十話



「ガウハル様、ジャファーフ。ただいま戻りました」

「うむ、ご苦労。長期の国境警備の任、大義であった」

「そんな、恐れ多いです」


 巨大なシャンデリアが三つある部屋で、魔王ガウハルは後ろに数名の部下を控えた女将軍に向かい労いの言葉を掛けていた。

 だがこの女将軍、少し姿が異様だった。その腹を露出した体の輪郭が浮き彫りになる赤黒い鎧は、美女が着ればさぞ男共の目線を釘付けにするだろうが、この女将軍は別のもので他の者の目線を釘付けにしていた。

 骨だ。胴体に肉が付いておらず、白い骨が露出していたのだ。ガウハルもその胴体が気になるのか、その胴体をじっと見据える。


「これは、失礼をしました。ガウハル様の前で我が体を露出させるのは不愉快だったでしょうか?」


 視線に気が付いたジェファーフが慌てて胴体になんらかの魔術で美しい女の体を形作る。

 これが魔王軍三将が一角、ジェファーフ。彼女がさきほどから使っている魔術は肉体を作り変えるという難しい変身魔術だが、それを自らの容姿を良く見せるだけに使っているのだから、その魔術の腕は言うまでもないだろう。


「いや、ジェファーフよ。スケルトンである貴殿がその骨の身体を恥じることなどない。むしろ多くの戦いを経てもなお、そのひび一つ無い美しき骨体を誇るが良い」

「ああ、ああガウハル様!」


 その賛辞に女将軍はその言葉に喚起する。顔を赤らめた絶世の美女の顔はすぐさま骨のみへと変わり、まるで初恋をした乙女の様に体をくねらせたのだった。うむ、どうやらこの女将軍、魔王に惚れているらしい。


「ええい気持ち悪い! スケルトンの癖に発情するなジェファーフ」


 と、その一部始終を見ていた背にコウモリの羽を生やす同じ三将の一角、アーセファが堪らず言葉を飛ばした。同じ魔王軍の幹部として彼女の行動に何かしらの憤りを感じたのだろう。


「なんだとこのコウモリ男! というかなぜ貴様が当然のようにガウハル様の隣に立っている!」

「我こそ魔王ガウハル様が右腕、貴様なんぞ足の小指の存在にどうこう言われる筋合いはない」

「よし、表に出ろ、その目障りな羽、燃やし尽くしてやる!」

「ここで貴様を砕いてやろうか骨女! 私は貴様が消えても困らんぞ」


 とまぁ、元より仲が悪いのか殺気丸出しで対峙する二名。

 それに冷や汗を流したのは女将軍ジェファーフの背後に控えていた部下たちだ。ここで三将の戦闘に巻き込まれれば、生きてこの部屋から出られる保証などどこにもなかったからだ。


「うむ、ここで暴れられては困るのだが……間違いなく我が部屋が弾け飛ぶし、なによりそこに控える部下たちに危害が加わる。そうなれば我が力を持って両名を止めなくてはならぬが?」

「申し訳ありませぬ魔王様! このアーセファ、決して魔王様の部屋を消し炭にしようとした訳ではないのですが……」


 と、玉座でため息混じりにそう言った魔王に命を救われる部下たち。頭を深々と下げ表情など見えないが、元々下がっていた頭が更に下がったところ見ると内心、かなり感謝しただろう。


「ふふん。だから私は部屋を出てやりあおうと言ったんだ……知将が聞いて呆れるな!」

「ジェファーフもだ。部下の前でみっともない姿は見せるな。多くの者を率いる者としての自覚を持て」

「は! 申し訳ありません」


 とまぁ、喧嘩両成敗を行う魔王。普段からこの二人の喧嘩には手を焼いているらしい。


「して、アーセファ。サルジェから連絡はきたか?」

「いえ、それがまったく。あの老骨め何をしているのか」

「まぁ良い、あれが溶岩流如きで死ぬとは思えん……いよいよだな。明日か、明後日か。あの火山の噴火を我が魔力で増長させ、人界を滅ぼすのか」


 魔王ガウハルが、自らの部屋の窓から煙を出す活火山を眺めながらそう呟く。

 どうやら人を滅ぼす手段はあの火山を利用したものらしい。


「これも魔族の命を守る為、しかしその先のことを思えば魔王様も気が重いのですね」

「いや、これも我が決めたこと、お主たちが心を痛める必要は無い」

「しかし……」

「良いのだ。火山から魔石が生まれ、その魔石が我ら魔族の飢えを癒す。生命ある森がある人界まで溶岩を流せば、多くの魔石が採れるだろう……ただ、懸念はあるがな」

「それは……ですがこれも我らから魔石を奪った人間の自業自得。魔王様、例え人が不合理な怒りでここを責めてきた時は、我らを思う存分、お使いください」


 アーセファがそう言い、深々と頭を下げるとジェファーフも頭を下げた。それをただ、魔王ガウハルは悲痛な表情で眺めているのみだった。





「うっそん、なにそれ死んじゃう」


 吹雪が無くなり、星が燦々と煌めく空の下、サルジェから魔王の計画を知らされたアラムは開口一番そう言った。

 話の内容は火山を使った広域的な人界への攻撃、おまけに森を焼きそれを養分とした魔石の収穫。なるほど、なぜ魔族が人間に一年もの時間を与えたのかこれで予想もつく。


「そも、現在の魔界は人界より高い位置にある。魔王ガウハルの全ての個体を操る力により、魔族の領土のみをかの者は天に近づけたのだ。これによりあらゆる物は人界へと落ちてゆく」

「つまり魔界を台座みたいにしたってこと? 凄いなそれ、一個人でそんなことできるの?」

「左様、そしてこの一年で人界に溶岩流が流れ込むように巨大な溝を作っておったのだ。更に転移魔術を使い人の首都に直接、溶岩流を流す準備も万端であろう」

「なんともスケールの大きい工事だねぇ……それを一年でやるとか優秀過ぎない、魔族さん」

「魔王ガウハルとその側近、かの知将の尽力あっての成果よ」


 とまぁ、普通にアラムはサルジェと会話しているのだが、それを周囲の人間はおっかなびっくり遠巻きから見ているのみだ。なにせあの魔王軍が三将が一角、サルジェの実力は先ほどの戦闘で嫌というほど思い知らされている。

 誰も近づきたがらないのは当然の理だろう。


「だが、その計画にも穴はある」

「え? 魔族からすれば完璧じゃない。まぁ人間にしたらたまったものじゃないけど」

「否、そも生命を消費し形成される魔石の生成には時間が掛かる。それに加え魔族が人に害を加えたという事実は歴史に残る。例えそれが人が愚かしくも我らから魔石を奪ったのが発端としても、奴らは事実を子孫には伝えまい。人こそが正義とのたまい、魔族こそ悪であると伝えられるだろう。長らく魔王ガウハルの命で魔族は人界に不干渉だった。たまに小競り合いが起きる程度、我も何度か人の者にその刃を向けられたことがあったが、国と国とでの戦乱は起きえなかった」

「でも人間の世界に溶岩流を流し込んじゃったら、他の国も魔族を完全な敵として認識してしまうと?」

「それが道理である。そうなれば長い戦乱が起きる。多くの魔族は戦火に飲まれ死にゆく。果たして戦いの終焉の時はいつになるのか、わかったものではない。ゆえにこうして我は探していた。砂漠から砂粒を見つけるほどの愚行であっても、何か別の道がないのではと人界を奔走していたのだ」

「でもさ、いきなりサルジェさんの見た目で話しかけられたら戦いにならない?」

「否、最初に話し合いを望むか戦闘を望むかと問いを投げた。真に知性ある者ならば話し合いを選ぶだろう」

「うーん、え? いやぁ……まぁ、いいか!」


 何か言いかけ、アラムは思考を放り投げた。

 そして先ほどの話を短くすると、どうやらサルジェは今の魔王の政策が長い戦争の歴史を作ると危惧し、何か他の方法が無いかと人界を彷徨っていたらしい。


「うん、だったらサルジェさん。僕に協力してもらえないかな?」

「むぅ?」

「いい方法があるんです。今の魔族を餓えを救い、君たちの子孫にも戦争をさせない方法を用意できます。それにはまず魔王さんと話し合いたいんですけど、お願いできません?」


 両手を合わせ、彼はサルジェにそうお願いする。まるで友人に強くお願いをする様なその姿はどこか愛嬌が感じられたが、今この場でするような対応ではない、ないのだが――。


「良かろう」

「え! いいの! 自分で言っといてなんだけどこんな胡散臭い奴手放しに信じたら駄目じゃないです?」

「どちらかと言えば、良くはない。まず汝を信用した訳ではない。そんな都合の良い話を信じられるほど我は愚者ではないからな。だが……」


 まさかの快諾にアラムは驚く。するとちらりと、サルジェはキレスタールの方を見た。


「なんとも、懐かしき顔よ。あの者は汝の仲間か」

「キレスタールさんのこと? まだ付き合いは浅いけど、一緒に旅してるんですよ、僕たち」

「そうか……あの者の仲間であればこれも運命だと受け入れ、我は汝に力を貸そう」

「え、本当に! 良かったー。よくわからないけど協力を取り付けられて良かったです」

「そうと決まれば急ぐとしようか、あの娘と我の背に乗れ。魔王城まで連れていく」


 そう言い、体の調子を確かめるように動かすサルジェ、驚いたことにすでに銃創の傷は塞がれているらしい。脅威の回復力だ。


「キレスタールさん、サルジェさんが背中に乗せて僕らを魔王城に連れて行ってくれるって」

「へ? あの、その者は信用できるのですか?」

「え、うん。まー、まだ出会ったばかりでよくわからないけど、多分この人の言う通りなら僕たち早く魔王城に行かないと溶岩で骨も残さず溶けるみたいだからさ、信じるとか信じないとか言ってられないよ!」


 などと、あっけらかんとそんなことを言うアラム。信用するかしないかの以前に、他に選択肢など無いと言ってのける判断は大胆だが、まぁ正しいのだろう。


「じゃあザガさん。それと砦のみんなもお元気で。念の為に溶岩流が届かない高い場所に避難すると良いかもしれません。ではお気をつけて!」

「あ、ああ。童貞のあんちゃんも気ぃつけろよ」


 にかりと笑い、そう、まるで流れ星の如くアラムとキレスタールは魔王軍のサルジェに乗り遥か彼方へと消えていった。


「あーあ、なんて言うかなぁ、よく考えりゃ、さっきまで仲間の仇であるあの化け物の首を取るチャンスだったんだろうが……いや、無理か。そこまで畜生になれねぇわな。俺は、あいつに託すと大見得切ったなら、最後まで信じてやらねぇと」


 歴戦の戦士は刃こぼれだらけの剣と自身の想いを鞘に仕舞いこみ、ザガは深いため息をこぼし、優しい顔つきで周囲を見渡した。

 負傷者は多数。重症人もまぁ一人や二人いるのだろう。けれど、彼の仲間は死んではいない、死んでないのだ。


「今度は、守れたんだな俺は……」


 そう言ってから、空から降ってきた兵士といつの間にか砦の門を開けてくれと懇願していた兵士の死体に歩み寄り祈りを捧げる。


「わりぃ、お前らは助けられなかった……でもなぁ、でも。さっきあの化け物と話し合って、説得なんて馬鹿なことした奴がお前らの家族や友を助けてくれるかもしれねぇから……頼むから、俺だけ恨んでくれや」


 無くすばかりの人生で、それでも他人に譲れない想いだらけのこの男は、会ったばかりの青年に託す。自分と仲間たちと、この国の暴政に苦しむ者の救いを。

 無論信用できるかなど断言できない。何しろあのアラムという青年はどうしようも頼りなく、自虐的だ。けれど、あの牢屋で彼の想いを聞いた、彼の熱を感じた。あの青年がもうどうしようもないこの国を助けると信じたのだから、彼はあの話し合いを邪魔しなかったのだ。


「頼むぜ童貞のあんちゃん。もうこんな馬鹿な男みたいなのを作らねぇ為に、魔王を――」


 満点の星空が広がる空を見上げ、男は再度呟いた。

 その立ち姿はまるで流れ星に願い事を託す、どこか幼さが残る少年を幻視させた。





「む、見えた。あれが人界と魔界を隔てる高き崖よ」 


 サルジェの背に乗り、気付けば前方に何か巨大な物が地平線から現れる。ただただ横に広がる巨大な崖は、人間と魔族の力量差を表すが如く、大きな壁となってアラムたちの前に現れた。

 薄い紫色をした巨大な崖は、それだけで見る者を圧巻するが、非常事態のアラムはちらりと崖を見たが、感嘆のため息すらこぼすこと無く吐き気を我慢することに専念しているのだった。


「あの崖の前で休憩する。それまで耐えよ」


 アラムを励ましたのか、そう声を掛け一定のスピードのまま草木が少なくなってきた大地を風の如く駆け続け、十分ほどで目的地である崖の前に到着する。速い、サルジェのおかげで砦に捕らえらていた時間ロスなど取り戻すどころかおつりがくるほどの移動速度だった。

 だがそれを喜ぶ余裕などこの男には無い。ぐでんとスライムの様にサルジェの背から緩やかに落ちるアラム、もはやそこに人間の尊厳とかそういうのが一切感じられなかった。


「むぅ……人の子よ、しっかりせよ。魔王と会う前からそのような様ではならんぞ」

「ずみまぜん」

「うむ、まぁ良い。しっかりと休め」


 と、ふと横を見れば慌ててキレスタールがアラムの荷物からテントを取り出し、組み立てていた。少しだけ不格好だが汲み上がったテントに、キレスタールはアラムの両足を引っ張り緊急搬送する。乱暴だが、彼女一人ではあの運び方しか……いや、せめて上半身を持って下半身を引きずればアラムの後頭部が地面に擦れることはなかったかもしれない。


「まるで、幼子の兄弟かの様だな」


 ふっと小さく笑いそう二人を評価するサルジェ。その姿は孫を見守る老人の如く穏やかで、人間を簡単に殺す怪物などと思えない。

 されど、この赤い鱗を纏う馬身の怪物が人を殺した事実は変わりない。アラム(役立たず)をテントに仕舞って出てきたキレスタールは、きっとサルジェを睨む。


「むぅ、その顔で睨まれると複雑な心境になる」

「魔王軍の三将サルジェ、貴方に問い正したいことが山ほどあります」


 彼女らしからぬ敵意に満ちた目で、サルジェを見据えるキレスタール。ここで友好関係にひびをいれ、サルジェを敵に回せばアラムと彼女本人の命が危ない。それを頭で理解していても、彼女はこの怪物に敵意を向けるしかないのだ。


「魔族は、多くの人間を殺しました。なのに、今更魔族と人間の戦いを回避する為に協力しようなどと……私めには信じられないのです」

「で、あろうな」

「サルジェ、魔王軍の三将最強とうたわれるあなたがなぜ、そのような考えを持っているのですか? そしてそんな考えを持つならば、魔族の中でも力を有するあなたがあらかじめ他の末端の魔族を抑えていれば犠牲者は出なかったのではないのですか?」

「否、それは買いかぶりである」


 きっぱりと、サルジェはそう言い放った。


「確かに一騎打ちにおいて我と対等以上に渡り合える者は現魔王、ガウハルにおいて他には存在せぬ。が、どれほどの武勇があろうと、全ての魔族を従え、意のままに命を全うさせるなど不可能だ」

「ですが、貴方は強い。魔族は自身より強い魔族には絶対服従すると聞きました」

「原則はそうである。なれど、我らは意思を持ち、個体それぞれが様々な思想を有する。人も同じ。どれほど国の王や兵士の練度があろうと賊は出る。出自、境遇でその生涯を血に染める者は出てしまうのだ」

「それは……そうかもしれませんが」

「ゆえに完璧な統治など有り得ぬ。魔族も同じ、どれほど魔王が脅威で人を襲うなと命を出そうと、全ての魔族をそれで抑えるなど不可能。そも、魔王ならば神に等しい力を持てと汝ら人は、憤怒するのか?」

「……いえ」


 聖職者である彼女にその言葉は効いたらしい。確かにそんなことが可能なのは神のみだ。彼女が幼い頃から教え込まれた宗教では、神は魔王よりも優れているのだ。

 ならば魔王に、神と同等の偉業を望むのは筋違いである。


「なれど、かの魔王は魔界始まっていた以来の統治上手よ。あの者が王の座に収まってから千年魔界はかつてない平穏を手にした。現魔王ガウハル、前魔王まで続いた力のみで弱者を下し抑える魔族の掟を破り、その王としての資質にて仲間を増やした前代未聞の魔王よ」

「……あなたはいつから生きているのですか?」

「前魔王の竜属の長が収める統治下で千年、現魔王の国造りにて千年。合わせて約、二千年ほどだ」

「そんなに……」

「否、瞬く間よ。しかし……気づかぬうちに魔族の中でも一の老兵となっていたか。それより聖女の現身よ。自分の出自についてどれほど知っている?」


 丁度、山から昇り、輝きを増した日を背にし彼女に怪物は問いを投げかけた。

 サルジェは来光の眩しさに目を細める。逆光からか、キレスタールがどの様な面持ちをしているのかは不明だが、言葉が出てくるまで少しだけ時間が掛かっていた。


「魔王討伐の為、造られた命であると……そう教えられております」

「うむ、そうか。やはりそうなのか、かの聖女と似た出自なのだろうな」


 造られた命、確かアラムと会った時にも彼女は自身のことをそう話していた。しかし、アラムの絶望的なコミュニケーション能力のおかげで彼女の身の上話を何一つ聞けていない。


「あの人の子にそれを話したのか?」

「いえ、詳しくは話しておりません……怖がられるのではないかと」


 少女の淡々とした口調が最後、少し震えた。

 サルジェがそれに目を細める。一見鉄の様に強靭なこの少女が、まさか他者からどう思われるかで怖がっているのが意外だったのだろう。


「……いや、安堵した」

「何がですか?」

「汝が普通の少女でな」


 サルジェの言葉の意図を汲み切れず、今度はキレスタールが何も言い返せず会話が途切れる。それを見かねてか、サルジェは事務的な会話を再開した。


「明日、我が魔王まで汝らを届ける、その前に二人で話し合うと良い。我は外で見張りをする……すでに朝だが徹夜で駆けたのだ。睡眠をとるのが得策と判断する」

「……そうですね。言われてみれば、私めは一晩寝ていないのでした」


 サルジェに諭され、今更そんなことに気が付いた少女は当たり前のようにダウンしたアラムがいるテントに向かい、中へと消えていった。


「むぅ、何か間違えている……いや、言うまい」


 と、やわらかな風がサルジェの肌をなぞる。きっと今が彼と彼女の最後の休息となるのだろう。最強の護衛は二人の邪魔にならぬように息を殺し、自然に溶け込むのであった。



明日、一月十五日の朝六時に更新予定です

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