漫才「寝て起きるだけで面白い男」
二人「どうもー」
ツッコミ「今日も沢山笑ってもらいたいと思っているんですが、難しいですよね笑わせるというのは」
ボケ「コメディアンをやるからには世界最強を目指したい」
ツッコミ「突然だな。いきなり世界最強とか言われるとなんだか別の話みたいだけど、まあやるからには一番面白いって言われたいのは確かだね」
ボケ「そうだろ。だから生きているだけで面白い男に俺はなる」
ツッコミ「そこにいるだけで、立っているだけでも面白いってのは理想のコメディアンかもしれないけど、でも、ちょっとハードル高すぎじゃない?生きているだけで面白いってのは」
ボケ「じゃあ諦めるわ」
ツッコミ「諦めるのはやっ!」
ボケ「確かに難しすぎる。俺にはまだ早かった」
ツッコミ「もうちょっと頑張って行こうよ。笑ってもらえるコメディアン二人で目指そうよ」
ボケ「じゃあ、寝て起きただけで面白い男に俺はなる」
ツッコミ「いいんだけど、朝起きるところを誰が見てるのかって話ですけどね」
ボケ「ピピピ!ピピピ!」
ツッコミ「あ、目覚ましのアラームが鳴った」
ボケ「ブハッハハ」
ツッコミ「お前が笑ってどうするんだよ!」
ボケ「ブハッハハ」
ツッコミ「アラーム音に笑うとか笑い上戸が過ぎるだろ!しかも寝起きで朝から爆笑なんてしないよ普通」
ボケ「今のは昼寝だから、伝わらなかった?今の芝居じゃわからないか、やっぱり難しいな」
ツッコミ「わかんねーよ!昼寝でもいいけどお前が笑うんじゃなくて笑わせろよ。頼むよ」
ボケ「よし、夢の中では笑い取れてたな」
ツッコミ「『よし』じゃねーよ!現実で笑ってもらわないと意味ないからね」
ボケ「そろそろネタ番組が始まる時間だな」
ツッコミ「笑う気満々じゃねーか!だからお前が笑うんじゃなくて笑わせるんだからね、コメディアンって」
ボケ「先輩の芸を見てお笑いを学ぼうと思っただけなのに、そんなに怒らなくてもいいだろ」
ツッコミ「あ、なんかごめん」
ボケ「頼むよ、コメディアンなんだからお前がちゃんと笑い取ってくれないと」
ツッコミ「あ、はい。次からは気をつけます」
ボケ「ピロロロ!ピロロロ!」
ツッコミ「なんで突然着信?」
ボケ「ブハッハハ」
ツッコミ「笑うとこ?そこ笑うとこじゃないだろ」
ボケ「だって着信音が古くて、今どきピロロロって」
ツッコミ「お前が設定したんだろ!」
ボケ「何言ってんだよ、お揃いがいいってお前が言うから。みんなに見られてるとこで言わせんなよ」
ツッコミ「……うっさい」
ボケ「よし。今日も沢山笑ったし、そろそろ寝よっか?」
ツッコミ「だから『よし』じゃねーよ!こんなんじゃ生きてるだけで笑わせるなんて夢のまた夢だよ」
ボケ「ん?客席から笑い声が聞こえたと思ったけど、なんだ夢か」
ツッコミ「いい加減にしろ」
二人「ありがとうございました」