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悪魔様は嫌われている


 空の上には宇宙が広がっています。では、物語に出てくるように雲の上には『あの世』と呼ばれる世界は無いのでしょうか?

 ――これは天国でも地獄でもない、少し不思議な雲の上の世界のお話。



「アニキ! またあの天使来てますぜ!」

「あ? ほっとけ。そのうち飽きんだろ」


 この世界には、天使と悪魔の2種が存在している。

 明確な敵意は持っていないが仲良しこよしでもなく、悪魔ゾーン、天使ゾーンと呼ばれるエリアからあまりその種族が出ることは無い……はずなんだけど。


(今日も来てるなぁ……)


 悪魔ゾーン特有の禍々しい濁った空間に似合わない生物が一匹……失礼、一人。

 柱の影に隠れてるつもりで全く隠れられていない可愛らしい天使が俺らの自慢の兄貴を見つめていた。


 金髪碧眼、おっとりした目つきに隠しきれない好奇心。オマケにあの羽の大きさは大天使級。どっからどう見てもお嬢様(5歳の幼女)が、あの兄貴を見つめている。因みに兄貴は辛うじて人型だがコワイお兄さん(ヤクザ)の類には入る見た目である。


(よくあんなに見つめてられるなあ。俺なら確実にゲシュタルト崩壊を起こすけど)


 そんな見た目である。


「それで、兄貴。何したんすか」

「あ? 何もしてねぇよ何で俺がなにかした設定になってんだよ、あ?」


 あ、天使が顔を手で覆って震えてる。


「ほら、兄貴顔怖いから今みたいに泣かせたんすよ。あとお前も顔怖い近づけんなメンチ切るな殴りたくなるだろ」

「アニキは、アニキは……顔怖くないッスよ!! 渋いだけッス!」

「わかったわかった顔怖い(渋い)から天使ちゃん怖がってるんすよもっと笑顔……」


 ん? 天使の様子が変だ。なんかこう、蹲ってる。


「おい、お前大丈夫か?」


 あ、兄貴、今近づくと……。


「おい。痙攣してきたぞ。大丈夫か」


 兄貴が兵器(スマホ)取り出した。なんかテンパって104(天使)番にかければいいのか? とか言ってる。あ、コッチの世界にも普通にスマホあるんすよ。ぶっちゃけ人間界のパクリだけど。因みに悪魔はa○派が多い。悪魔族は皆家族だ! とか言って家族割を多様している。悪魔の所業だと思う。


 あ、天使が逃げた。

 こう、顔を腕で隠して全力で駆け出していった。真っ赤になった耳は隠れていないけど。


「おい、アレ大丈夫なのか」

「問題ないっすよ」


 よく家で見る症状だ。主に姉が罹っている。特定の人物を見つめ、近づくと顔を真っ赤にし、声を掛けられると逃げ去っていく。そんなもの、一つしかない。痙攣までするのは重症だけど。


「恋の病に決まって「流石アニキ! 天使共に恐れられるそのオーラ! 硬派ッス!」

「そうか、俺は嫌われたのか……」

「そうに決まってるッス!」

「お前もそう思うか」


 兄貴この見た目で子供好きだからな。ここで否定するのが最善なんだろう。けど――


「……そうなんじゃないすか」


 面倒くさいからいいか。



 その頃どこかで天使が悶え死んでいたことを、俺らはまだ、知らなかった。

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