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序章
「はぁ。はぁ、はぁ…!」
わたし、聖歩まりあ。
大学一年生の19歳。
今日は大好きなバンドの限定ライブで、すーっごく急いでるの!
「DEVILくん…!」
中学二年生の時、バンドのイケメンボーカル・DEVILくんに惚れ込んで、
それから三年間、貯めたお小遣いやお年玉を使いながら、ずっとファンを続けている。
今日はデビルくんの誕生日というプレミア限定ライブで、
何ヶ月も前から熾烈なチケット戦争を勝ち抜いて手に入れた貴重な機会なのだ。
な・の・に!!
「もう時間ギリギリだよ〜〜〜〜!!
間に合わなかったらどうしよう!?」
街は夕暮れで、最悪の自体を想像して涙目になりながら
角を曲がったその時、
「えっ」
私は突如現れた光に包まれたーー。
“……”
遠くで、誰かの声がする。
“お願い…”
“お願い、誰かあの子を救って…”
あの子って、誰?
“あの子は、このままではいけない…”
だから、誰なの。
“救…って……優し……あの……”
意識は、そこで途切れた。