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ラミ、我が道を行くっ!  作者: 道化師
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ラミ、考える。






 "平穏(へいおん)人生(じんせい)"って、何だろう。




 "(しあわ)せ"って、何処(どこ)を探せば見付かるのだろう。




 生まれてから今まで、ただ流されるかのように過ごして来た"平穏な人生"の中で、アタシは"本当の幸せ"を感じているのだろうか。日々自問自答を繰り返しながら、それでも時は流れ、明日はやって来る。



 アタシのような人間に限らず、世界には妖精(ようせい)·亜種族(あしゅぞく)·鳥族(とりぞく)·神族(しんぞく)·魔族(まぞく)と様々な種族が共存し、この世界の全容は未だに明らかにされていないらしい。世界地図にも記されていない未開の大地や世界が、まだまだ沢山あるとされているのだ。



 そんな未開の大地や世界には未だ見ぬ宝や財宝が眠るとされ、それを見つけ出す為、好奇心や探究心を持って旅をする者達が居る。





 ー人々はそれを"トレジャーハンター"と呼んでいたー





 世界でも名立たる大都市"ゼスフィリアシティ"。アタシはこの都市で生まれ育ち、冒険家とは無縁に、普通に日々を暮らし、普通に働く。そしていつかは恋人が出来て、結婚して、子宝に恵まれて………慎ましくも穏やかな毎日を送り、そして歳を重ねて行く。



 所謂(いわゆる)、非日常な世界に生きる冒険家から見たら、アタシはきっと何処(どこ)にでも居る平穏な人生を送る"街人(まちびと)A"なのだろう………



 平穏な人生とは、争いも、競争も、命の危機さえも感じない、愛に(あふ)れたかけがえの無い日常の事だと思う。




 アタシは考える。そんな平穏な人生は、果たして幸せなのだろうか、と。平穏だからこそ幸せなのだろうか?争いや競争の中で己を鍛え、特異な力を練磨(れんま)し、自分の目指す姿に近付く事が幸せになるのか。きっとその価値は、意図してもしなくても、その何気無い日々から離れた時に気付くものなのだろう。もっと極端に言ってしまえば"人それぞれ"だろう。



 生命(いのち)には、個の存在として生きる為の寿命がある。個の生命には時間と言う限られた刻がある。



 異種族(いしゅぞく)の寿命は知らないけれど、アタシのような普通の人間ならば、せいぜい長生きしても百年そこら。ましてや、肉体が最大の力を以て活動出来るのは全盛期なる年代だから十代から三十代位までじゃないかしら?



 ううん、近所に住む占い師のお婆ちゃんは今年で百二十歳とか言ってたっけ………今でも元気一杯だ。そうなると、人間でもたまに例外もあるかも知れないわね。



 かくいうアタシは、今年でちょうど二十歳(はたち)になる。自分が思う全盛期もまさに中盤に差し掛かった所だ。



 だからこそ、アタシは考えるのだ。本当に"このまま"で良いのか、と。



 この世界には、まだ見ぬ秘宝や秘境が眠っている。日々、冒険家達の活躍によって未開大陸の全容や情報は更新されているものの、冒険家とは無縁なアタシ達からしたら限り無く無縁な世界に過ぎない。



 小さい頃の話だが、旅の吟遊詩人が話してくれた御伽話(おとぎばなし)伝承(でんしょう)は、当時のアタシの好奇心を煽ったものだ。



 その話を聞いたアタシは、好奇心を煽られて居ても立っても居られなくなった。翌日には家の倉庫に転がっていた木の棒を片手に街の中を探検したり、知らない場所へと遠出した。





 そう言えば、その遠出で、街外れの山まで探検わね。当時の記憶を思い出すと、行きはともかくとして帰りは大変な思いをした覚えがある。



 二歳年下の弟を連れて二人で山まで行ったのは良いが、帰ろうと思った時には日が沈み、帰り道が分からなくなり、見事に遭難してしまったのだ。



 家業が宿屋(やどや)(いとな)んでいたのもあって、食料は適当にくすねて来れた。パンやらハムやら、食堂で使う食材は栄養満点。道無き道を歩きながら食料を丸噛りしていたのは楽しかったな〜。それでも、帰り道は相変わらず分からないまま、夜はどんどん深まるばかり。



 終いには弟が家に帰りたいとギャンギャン泣き出して、アタシが困り果てながらまだ小さい弟を背負ってたっけ。




 泣き(わめ)く弟を背負い、前にはリュックサックをぶら下げて、いい加減アタシも疲れて心が折れそうになってたんだけど、姉弟揃って家に帰らない事を心配したお父さんが探しに来てくれたんだよね。しかも迷う事なくアッサリとらしい。昔から、迷子になった弟を探す時もお父さんはどういう訳か直ぐに見付けていたなぁ………



 で、帰ってからは言い出しっぺのアタシが両親にこっぴどく叱られたけど、あの時のアタシは、幼いながらにあの冒険を楽しんでいた。






 思い返せば、アタシが街を出ての冒険と言えば、それだけだ。何度か一人で街を抜け出して探検しようと思ったけど、(ことごと)くお父さんに見付かって叱られたっけ。



 ………気が付けば街を抜け出そうとも思わなくなり、今では家業を手伝う麗しき看板娘(かんばんむすめ)なんてやっている。




 はぁ〜………アタシの人生って、一体何なんだろう………





 悩んでも思っても、現状が変わる筈も無く、アタシは平穏な日常を送って行くのである。



 いつかは白馬に乗った王子様が、アタシを非日常に連れ出してくれる!なんて、夢を見ていた時期あったわね………



 流石に、二十歳にもなってそんな子供な理想はないけれど、キッカケがない以上は全てが夢や理想でしかないのだ。



 これからどうすればいいのかなぁ〜なんて、今日も今日とて、自分の道も決められないまま、アタシは心の中に悩みを抱えているのだった。

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