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亜人転生~辿り着いた想い~  作者: 吾郎
一章 海族
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2. 4年2日目 森

 ドアを開けると、自然豊かな風景が俺の目に入った。

 家が数十件あるだけの小さな農村って感じだな。

 この家は比較的高いところにあるみたいで、村が一望できる。この村は斜面に畑とか家が建っていて、周りが森に囲まれている。下に行けば行くほど人が多くなってるな。あ、店があるからか。

 ってか、えらく閉鎖的だな。ここが「エルフの里」ってとこか...

 さて、俺はどうするか...海族の事も考えて、下に降りてはいけないな。でも...そうすると行けるところが限られる。個人的には、下におりたいんだがな...


 なぜ、俺が外に出たかったのか。それは、魔法を練習したいっていうのもある。しかし、本来の目的は別にある。

 俺は、金を稼ぎたいのだ。少なくとも、食うのに困らない程度に。


「この辺に別の町ねえかな...?」


 俺はぼそっと呟いた。

 俺が本当にしたいこと。それは、剣術か魔術の学校に入ることだ。

 勿論、入るのにはお金がいるわけで、それを稼ぐために外に出てきた。

 だが...


「この調子じゃ食うのに困らない程度に稼ぐこともできねえな...」


 海族の髪の色をしていなければ楽だったんだが...

 しかし、生まれ持ったものは仕方ない。取り敢えず、魔法の練習をしておこう。

 別の町に行ったときに襲われても、鍛えておけば対処できるだろ。


 そんなことを考えながら、俺は森に入った。

****

「さって...まずは何をしようか」

 森の中に入って数分、俺は獣道を歩いていた。

 この周辺は定期的に狩りがされているのか、全く野生の生物と会わない。それはいい事なんだが、獣を相手に魔術を練習する気でいた俺は、正直戸惑っている。

 まあ、わざわざ動物相手に練習することにこだわらなくてもいいんだが...せっかくなら実戦練習がしたかった。

 叶わない願いっぽいし、もう何もないところで練習するか。


「んじゃ、小手調べに...石槍!」


 高さ2メートルほどの円錐が生成される。よし、問題ないな。

 石槍(ロックスピア)はずっと練習してきたおかげで、扱いには慣れた。まあ、家の床という尊い犠牲があったがな。


「じゃあ、これはどうだ...水線!」


 俺は手を前に突き出した。直後、ものすごい水圧の水が放出される。太さは直径1cmくらいだが、目の前の木に穴をあける程度の水圧はある。水線(アクアレーザー)も結構使えるな。

 余談だが、声を出したほうが魔法は使いやすい。そっちのほうが、魔法を飛ばす感覚がつかみやすいのだ。だから、魔法に名前を付けてるのだ。決して中二病とかじゃないからな、決して。

 さて、じゃお次は新しい魔法でも作ってみますかね。

 今回は...風魔法でいいだろう。鎌鼬でそこら辺の木を切るよな、そんなイメージだな。

 俺は指を突き出し、声を出した。


「はあっ!」


 直後、指の先から風の刀が出現し、数メートル先の木をなぎ倒した。


「...はあ?」


 予想外の威力に、間抜けな声が出てしまう。

 ってか、これ...


「...つ、つえええええ!」


 よっしゃ!これさえあれば、もう攻撃魔法これだけでいいじゃん!楽だ!やった!

 ...と思ったが、風の魔法が利かない奴も居そうだし、なるべく別のやつも練習しとこう。


「いざって時に全属性使えたほうが、相手も驚いて逃げるかもしれないしな」


 もっとも、そんなことはほぼ無いと思うが。

 だが、俺が目指すのはオールアラウンダーだ。最強の魔術師だ。


 っさって、次はどんな魔法を作ろうかな?火もいいな、雷とかあるんならそれもいい。

 まあ、まずは場所を変えよう。木に穴が開いてたり、ぶっ倒れてたりしてるところで練習したくないしな。

 俺は年甲斐もなくワクワクしながら歩いていた。...いや、どうなんだ?4歳だから年甲斐もくそもない気がするんだが...まあいいか。

****

 俺は森の奥に進み、少し開けた場所で魔法を使おうとした。が、どうやらもう昼のようだ。奥に進み過ぎたな。


 昼食は、2食しかない俺の家での貴重な時間だ。故に、早く戻らなければならない。

 俺は、今来たばかりの道を戻った。何やってるんだおれは。ま、まあ、たまにはのんびりお散歩も必要だし、仕方ないか、うん。


 と、その時。


「や、やめて!」


 声が聞こえた。女の声だった。方角は、さっきいた方向。森の奥地だ。


「何だってんだよ...」


 俺は震える足を抑えながら、声の方向に向かった。

 木々を通り抜け、さらに奥に進んだ。


 すると、人影が見えた。


 女の子と、甲冑に身を包んだ騎士が2人。

 女の子は木に縛り付けられ、騎士が剣を構えていた。


 そのとき、俺は思った。


 この状況、どうするべきか...と。


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