4.1年目 待望
俺は一歳になった。
まあ、ハイハイで移動できるようになったぐらいしか収穫はなかったな。1歳になったが体感時間では半年もないくらいだ。どんだけ寝てたんだよ俺。
1歳の誕生日は...まあ、特に何もなかった。
母はおめでとう!と言っていたが、父はいなかった。仕事が忙しいのだろうか...。
とにかく、4歳ごろまでは何もできそうにないので、魔法でも使ってみよう。
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俺はベットに寝ころびながら考えていた。
俺は現在、「グロウ」と「石槍」(自分で命名した)しか使えない。いや、使わなかったのだ。火魔法とかが出てしまうと、対処に困る。最悪の場合、死んじまうしな。
ただ、この1年で攻撃魔法の感覚は大体つかんだ。イメージを水とかにすれば大丈夫だろう。
さて、じゃあするか。
イメージは水...の球がいいな。下手にでかい魔法をぶっ放すと家が倒壊しかねない。
よし、水の球だ。俺は右手を挙げた。魔力を右手に持ってきて...そこに水の球を乗せる感じで...
ほい!
ブシューー!
水が、レーザーのように発射された
え?え。え!?
俺は、レーザーが当たった所を見る。幸い、穴は開いていないようだったが...うん。まさか、コントロールに失敗するとは思ってなかった。心臓に悪いから、大きくなるまでやめよう。
あ、でも名前は考えとかないとな...水のレーザーだから...
「水線」
と名付けよう。ネーミングセンスなさすぎ?ごもっともです。
しかし...本当にすることがないな...よし、石槍でも練習しようか。
そういって、俺は結局石槍の練習に入るのだった。
因みに、石槍を使い過ぎているせいで床にところどころ穴が開いているが、生活に支障はないので問題ない。いや、もしかしたら家計的な問題はあるかもだけど。
さって...ん?
俺が上を見ると、ドアが開いていた。また暗殺でもしに来るのか?
しかし、そのドアから出てきたのは、茶髪の...父だ。
「よぉ息子?元気してるか?」
...何でそんなチャラいんですかねえ?
父は何というか、クラスのムードメーカー的雰囲気がある。なんというか...俺はこういう奴にはかかわりにくい。いや、無言のやつよりは絡みやすいけどさ。
そんな父だが、やっぱりあまり金は稼げていないらしい。食うのに困るレベルで、だ。これじゃ、これから少しの間はちょっと大変だな...まあ、策はあるんだが、それまで最低3年はいる。それまで持つかが問題だな。
「ほーら、久しぶりに帰ってきたぞ~」
父はそういって俺を持ち上げた。
そういや、数カ月ぐらい帰ってきてなかったよな...それだけ働いても食うのに困るってどういうことよ。
この家は木造1階建てという、前世ではあまり見ない感じだ。ただ、ところどころ腐り落ちてたり、虫が入ってくるような隙間があったり...一言でいうと、貧相。家の外は出たことがないが...こんな家ばっかりなのだろうか...
「むっ?笑わないなぁ...そんなに父さんの顔が怖いか?」
...いやそういうわけじゃないんだがな...なんというか...うん...
取り敢えず、愛想笑いを作っておく。ま、転生者なんてバレないでしょ。
「お、笑った笑った。よし、父さんまた仕事行ってくるから、待っとけよ」
そういって父は満足そうに部屋を出て行った。ホント、忙しい人だな...もっとゆっくりしてもいい気がするんだが...そうもいかないのかな。
明日から...また平凡な日々が始まるな...さっさと大きくなりたいもんだ。
そう思い、俺は寝た。
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それからの日々は、平凡なものだった。
魔法を使い、母に抱かれ、魔法を作って、父に抱かれ...金銭的な問題は多かったが、何とかここまできた。
さて...声帯が安定してきて、2足歩行も問題なし、だな。
ついに俺は、4歳になった。そろそろ、次のステップに行こうか。
これからが、俺の本番だ。
序章終了です。かなり駆け足でしたが...
まだまだ始まったばかりですので、これからも末永くよろしくお願いします!