3.7日目 突然の強敵
俺がこの世界に転生してから、一週間が過ぎた。
最初の1日目以外は目立ったこともなく、無事に過ぎていった。
収穫と言えば、俺の名前が分かったことだな。
トルシェア。それが俺の名前らしい。トルちゃんとか言ってたので、まあ何というか、やっぱりって感じだ。
あと、父親にもあったな。父もやっぱり耳が長くて、エルフっぽい。つまり、俺は純エルフってことだな。
父親は何というか、一言でいうなら若い。見た目で見ると10代後半位だろうか。エルフだし年齢進むのも遅そうだな...実年齢はもっとあるのかもしれない。
因みに、父母は茶髪黒瞳だった。となると、俺もそうなるだろうな。無個性だが、個人的には悪くない。個性は作り出せばいいのだ、うん。
しかし…夢の中の話が気になるな...後悔がどうのこうのとか、中二臭いことを言ってたよな。あいつは何だったんだろう。
まあ、いずれ分かることかな
****
俺は今、魔法を使っている。
相変わらず、グロウしか使えないが...使える回数は明らかに増えている。そのうち、大きくなったらいろんな魔法を試してみよう。攻撃魔法も使えるようになりたいしな。
この世界の魔法エネルギーについては全く分からないが...グロウは実用性も高そうだし、ガンガン使って鍛えよう。
さて...ふぁあ...
俺は大量に魔法を使うとなぜか眠くなる。なんでだろ...と思ったが魔法エネルギーの貯蓄が切れたって考えると自然だな。よし、今日は寝よう。
キィィィィ
ん?なんだ?ドアが開いたのか?
俺は上を見る。
見たことのない男だ。顔はげっそりとしていて、一言で表すとダメ人間だ。そんな奴がなんでここに...
男の右手を見る。その手にはナイフが握られていた。血はついてなかったので、俺が初めのターゲットというわけだ。
...
え?ちょちょちょ!まて!まてって!
男はそんな俺の言葉が届くはずもなく、ナイフを俺に向かって振りかざした。
まずい!このままでは本気で死んじまう!
俺はとにかく手に力を込めた。魔力をためるのは慣れたが、攻撃魔法は一度も使ったことがない。できるだろうか?いや、今はそんなこと考えてらんねえ!殺すか、殺されるかだ!
イメージ、そう、イメージだ!相手の心臓を貫く槍!イメージ...
ナイフはもう目と鼻の先にある。やるなら今しかない!
俺はありったけの魔力を放出する感覚で、槍を作り出そうとした。
ズバ!
えっと...ああ、俺は死んだのか。
目の前には赤い光景が広がっている。来て一週間で死ぬとは情けない奴だな、俺。はあ...
諦めていた俺は、目の前の光景をもう一度見る。
俺の目の前にナイフが刺さっている。
ってあっぶね!でも...俺、動けないんだよな...気を付けておこう...
そして、そのナイフの先には...
槍があった。石の槍が地面から生えてきていた。
...マジで?
どうやら、俺は勝ったらしい。ってか、すごい眠い...寝ようか...いや、でも...
結局、俺は何が何だか把握しきれないまま眠ってしまった
****
「と、トルちゃん...?」
母親の声で、俺は目覚めた。相変わらず、目の前にナイフがあるな...こわ...
「い、え...?」
どうやら俺が死んでいると思ったらしい。まあ、はたから見ればそうだよな。返り血とはいえ、血を浴びまくっている赤子なら死んでいると考えるだろうな。
「うあ~」
とりあえず、生存報告...だな、それをしとく。
すると、母の瞳は一瞬にして潤んだ。
「よ、よかった...」
それだけ言って、母は俺を抱きしめてきた。
俺はそのまま、眠りについた。
****
それから、魔法の試行錯誤をしたり、なんかいろいろした。攻撃魔法は例の槍しか使えないが...
まあ、それもうまくいっているので問題はない。
そうこうしているうちに、俺は1歳になった。
時がたつのは早いものだ
最近は忙しくなってしまっているので、更新ペースがガタ落ちすると思いますがご了承ください。