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亜人転生~辿り着いた想い~  作者: 吾郎
序章 待望
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2.1日目 夢の中の言

 異世界。

 魔法があり、モンスターが居て、魔王と勇者がいる...俺の中ではそんなイメージだ。何でそんなイメージがあるのだろうか。考えるだけ無駄だな。


 結局、あのあと母は何か言って部屋を出て行った。しかし、俺の頭には入ってこなかった。異世界に転生した、という事で頭が一杯だったのだ。もし、母が重要なことを言ってたと思うと...やってしまった感はあるな。

 んで、今は特にすることないので、妄想にふけっている。学校なんかに入って、そこで色々あって...ムフフ。

 っと、そんな妄想している場合じゃない。人生は有限だ。何か行動を起こさないと。

 そう思いながらも、俺は何もすることを思いつかない。そのままゴロゴロとベットの上を転がっているだけだ。

 むう...なんかしたいぞ...時間がもったいないぞ...

 何でだろう、なんでこんな俺は貧乏性なんだろう。そういや、前世の家でも家計の事ばっか気にしてたっけ...なんかそんな感じだったきがする。

 そんなことを考えてると、俺は咄嗟にに思いついた。


 魔法使えんじゃね?


 そういやさっき母が「グロウ」という魔法を使ってたよな...よし、使ってみよう。


「ぐおお」


 ダメだ、声帯が発達してなくてうまく声が出ない。


「ぐおう」


 やっぱ無理か...いや、待てよ、別に詠唱する必要はないかもしれん。

 感覚だ、感覚。俺の全体力を腕の先に持っていくんだ。イメージは人を癒すイメージで。

 俺は腕を上に構え、力を振り絞る。

 はあっ!


...


 ...ダメか、そんな簡単にできないよな...

 俺は諦め、手を下した。ぐぬぬ...

 そう思い、俺は手から力を抜いた。


 すると、なんということでしょう。手から光が少し出てきたではありませんか。


 なるほど、俺は魔法の才能があるのかもしれん。夢が広がるね。

 魔法が使えるとなればすることはただ一つ、連発して上達してやる!

 オラオラオラオラオラ...


 気が付いたら、俺は眠っていた。

****

「よお、**、いい天気だな」

 なんだろうこれは、前世の記憶か?視界がぼけて何も見えないが、声は聞こえる。

「絶賛曇りじゃねえか、見てから言えよ」

 懐かしい声だ。俺が好きで、そして憎くてたまらなかった声。

「せやな。ところで、昨日は**とは進展あったか?」

 誰だろう。嫌悪感を覚える声だ。俺はこいつが嫌いだったんだろうか。

「ははは、ねえな。**には敵わねえよ」

 なんだろう、この声を聴いていると落ち着かない。朧気だが後悔の記憶が押し寄せてくる。

「俺も**ほどじゃねえよ、っと、もうこんな時間か。準備しねえと」

「じゃあな、また後で、さっきの続き聞かせてくれよ」

「...ああ、もう仕方ねえな、あとでな」

 幸せそうな声だ。声は嫌いだが、憂いはないような声だ。

 懐かしい。そんな感覚が脳を支配する。ただ、ただ懐かしい。

 と、その直後音がプッツリ切れた


「どうでもいいが、後悔ってのは力だと思うぜ、俺」

 聞いたことのない声が響く。妙にチャラい。

「失敗したことを悔やみ、それを力にして生きていく...人間ってのはそういうもんだと、俺は思ってる。

ただ、いつまでもうじうじ悩んで、結局自分の殻に閉じこもって、最後にはそれを言い訳にして自分に言い聞かせてる。そういうやつは後悔を活かせてないと思うな、俺は」

 よくしゃべる奴だ。生前にもこんな奴いたっけ。

「ま、俺はそれでもいいと思うけどな。人間らしくて。」

 ...結局、こいつは何が言いたいんだ、話の内容がまとまってない。

「さ、こっから本題だ。後悔ってのは、何か失敗...まずいことをしなければ起きない。そして、2度とあんな目に合わないようにする。親が口うるさくいってくるのは、自分と同じ後悔をさせたくないからなんだろうな。しかし、子供は聞かない。失敗した時の悔しさを知らないからな。手直しする時間も、取り返せる夢も...大人になると消えちまうもんを子供は持っている。ただ、子供は大事なものを持っていない。それは、実行力だ。俺は、子供に実行力がつけば、神にだってなれると思っている。」

 中二臭いセリフだな、聞いてるこっちの背中がかゆくなってくるわ。まあ、言ってる事は正しいと思うけどよ...聞きたくねえ。

「さて...お前は、後悔をしているようだな?忘れてるかもしれねえが、何か大きな後悔を」

 どうやらそうっぽいな、さっきの懐かしい会話を聞いていると、あの頃に戻りたいっていう願望が喉から出そうなほどだったしな。

「その後悔を忘れるな。お前はまだ子供だ。やろうと思えばなんだってできる。それを実行するんだ」

 その直後、俺の意識は極端に薄れていった


「すべてを失ってからじゃ、遅いんだぞ...」

 最後の最後、嫌悪感の残る声が、寂しそうにそういった気がした。

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