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亜人転生~辿り着いた想い~  作者: 吾郎
一章 海族
16/17

12. 4年4日目 己の怒り

現在ルビがうまく振れておりません。修正中ですので、お待ちください。


2:17 修正しました。

 ガキン!!


 風の魔法と剣から放たれる斬撃が交差して、プラスのような形になる。

 

 「ぐぬぬ......」

 

 俺の鎌鼬と斬撃の威力は同じくらいだ。ゆえに、鍔迫り合いのようなことが起こっている。

 火花が散っている。よくよく考えてみれば、異様な光景だ。


 「はぁっ!」

 「くっそ!」


 しかし、俺にはその光景をただ眺める事はかなわない。男が、さらに2つの斬撃を放ってきた。

 

 俺もそれを耐えようと2つの鎌鼬を放つ......が、向こうの斬撃の力が強まったのか、斬撃が少しづつだがこちらに近づいている。

 

 「鎌鼬!」


 俺は、3発の鎌鼬を何とか放ち、斬撃をはじく。が、それと同時に、俺の魔法もかき消されてしまう。

 

 「雷光(ライトニング) !」

 「遮雷(アンチボルト) !」


 リナが落雷の魔法で相手を足止めしようとするが、レジストされてしまう。

 よし、この隙に......


 「鎌鼬!」

 「ぬっ!?」


 よしよし、意表をつけたな。これで、少しは体制を崩せるだろう。


 と、思った瞬間。


 ブォン!という風切り音を伴い、斬撃が俺たちに向かって飛んできた。


 俺は咄嗟に高出力鎌鼬を放ち、何とか対処する。


 「なかなかやるではないか」

 「......やっぱ倒せてねえよな。ってか態勢さえ崩さないのかよ!」

 

 そんな俺の言葉を遮るように、もう一つ斬撃が、放たれる。

 俺も鎌鼬を放ち、それを遮る......

 ......なんか、攻撃パターンが一定だな。

 

 ちょっと、イレギュラーな対応してみるか。


 「ふんぬ!」


 斬撃がまたまた放たれる。


 「水線アクアレーザー!」


 俺は斬撃をなぞるように水魔法を放つ。


 「ぬ、ぬおおお!」

 

 男に水線が当たる...が、すでに放たれた斬撃は止まらない。


 「鎌鼬!」


 斬撃を弾いた俺は、斬撃の性質について考察する。


 おそらく、斬撃は風魔法だ。見た目が鎌鼬と同じだからな。

 次に、水線で弾けなかったことを考えるに、少なくともこの斬撃は属性の違う魔法は貫通するのだろう。もしかしたら、全ての魔法もそうかもしれない。

 

 ついでに、あいつは水魔法のレジスト手段を持っていない可能性が出てきた。これは、水線を試してみるべきだろう。


 俺は、立ち上がった鎧に穴の開いた男に向けて指を向けた。


 「水線アクアレーザー!」


 これは行っただろ、と思った瞬間。


 「遮水アンチウォータ!」


 まさかのレジスト手段を持っていた。いや、まさかでもないか。

 だと、なんであの時発動できなかったんだ?もしかして、連続で別の魔法に対応できないとか?


 ......その線はあるな。

 

 「鎌鼬!水線アクアレーザー!」


 俺が唱える。さぁ......どうだ?


 「ふんぬ!はぁ!」


 あいつ、剣から斬撃を放った直後に剣で水線を弾きやがった!

 でも......これは、多分あたりだろう。おそらく、あいつは連続で同じ属性の魔法に対応できない!


 でも......鎌鼬と水線だと、剣で対応される。

 石槍は、照準を合わせるので連続で使用できない.......

 

 どうする?と俺は意味もなく周囲を見渡す。

 ふと、リナが目に入った。......連携、してみるか。


 俺はリナに耳打ちで伝える。


 「リナ、あいつの弱点が分かった、あいつは、連続で違う属性に対応できない」


 俺が耳打ちをしていると、その隙にと、男が斬撃を放ってくる。


 「鎌鼬!鎌鼬!」


 俺は2発を撃ち、すぐに耳打ちを再開する。


 「そうか......だからシンは、さっきあんなことしてたのか......」

 「シン......ああ、だから俺が石槍を放つと同時に、雷光を放ってくれ」

 「わかった、善処する」


 シンと呼ばれるのは相変わらず違和感が満載だが、リナには俺の作戦が伝わったようだ。


 「じゃあ、行くぜ」

 「うん」


 俺はすうぅっ、と息を吸い、そして言った。


 「石槍ロックスピア!」

 

 俺の呪文を聞いてから、リナは魔法を放った。


 「雷光ライトニング!」


 男に、上からも下からも魔法が放たれる。


 「ぬっ、ああああああ!」


 男の悲鳴が響き渡る。周囲に埃が舞った。


 やったか!?と思うが、気を抜かないで行こう。それでやられたら元も子もない。


 次第に埃が少なくなっていき、男の姿が見える。

 そこには......


 「......やったな」

 「うん」


 男の死体があった。体の一部が燃え始めているので死亡とみていいだろう。


 「喜んで......いいのか?」

 「シンが喜びたいなら喜んでいい。私は静かに喜ぶことにする」


 ......俺も静かに喜ぶとするか。


 俺は心の中で盛大なガッツポーズをしつつ、男の死体を埋葬してやった。

 恩義なんて微塵もないが......それでも、これぐらいはしてやらないとな。


 「さて......と」


 俺はイアの方に目を向ける。イアに周囲の情報を聞きたいからな。


 「おーい、イ......」


 俺はイアを見た瞬間、頭が真っ白になった。


 

 イアが倒れている。


 俺は真っ先にイアのところに向かい、呼び起そうとした。


 「イ、イア!」

 「どうした、シン?」


 埋葬の手伝いをしていたリナがこちらに戻ってくる。

 

 「こ、これは......」

 「イア!しっかりしろ!」


 見たところ、切られた跡などは1箇所で、それほど深くはない。


 となると......毒か?


 「イア!イア!」


 俺がイアを必死に呼び起そうとする。

 誰だよ、こんなことをしたのは。


 

 

 その瞬間、声が聞こえた。


 「ここまで気付いてもらえないって......かわいそうにもほどがあるねえ」


 見知らぬ男の声。それが、俺の前方から放たれる。

 

 「ああ、大丈夫。死なないように調整したから」

 「誰だ、テメエ......」


 俺は怒りに染まっていて、死なないようにした、という言葉も届かなかっただろう。

 しかし......この声だけは俺に届いた。


 「僕の名前はレルム=ペルセウス。ま、名乗るのも惜しいけどね。赤毛の悪魔くん」

 

 始祖ペルセウスの末裔。レルム=ペルセウス。


 その名は、俺の記憶に「敵」として植え付けられた。


 「殺してやるうううぅぅ!」


 俺の、理性と引き換えに。

 

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