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亜人転生~辿り着いた想い~  作者: 吾郎
一章 海族
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6.4年3日目 忘却が齎したもの

 この世界は、元々何もなかった世界だった。

 そこに一人の人間が現れた。

 その人間はある一つの事を思いついた。

「ここに新しく世界を作ろう」

 彼は自身の生まれ持った力で新たに2人の人間を作り出し、別に53匹の獣を生み出した。

 そのうち38匹は地面となり、12匹が世界を管理しだした。

 そして、この世界を作った人間は、これで自分がいなくても世界は維持できると思い、深い眠りについたのだった。

 

 これが創造神の半生だ。

****

 昼飯も終わった俺は、再びビフォーアフター(ただしビフォーはほぼ無い)をしている。まあ、要するに建築だな。

 んで、俺とイアはただ単に木を切る作業をしていた。俺は風魔法で、イアは重力魔法をうまく使い木を切るという傍から見れば居ようとしか言いようがない光景だった。しかし、やってる当人は単調で飽きてきていた。なので、イアに


「何か話そうぜ、このままだと俺寂しくて死んじゃう」


 と言ってみたところ、


「え!?それは大変です!なんか話さないと...」


 とかなり真面目な顔で言われた。心配してくれるのはありがたいが、冗談が通じないと辛いものがある。

 ともあれ、そんなこんなでこの世の創世神話的なのを無理矢理聞かされた。まあ、面白かったので良かったが。

 どうやら、この世界には3人の最高神的なのがいて、その配下に12人の神がいるって感じだ。まあ、よくあるファンタジーってところだな。

 しかし、引っかかることも多々...というか滅茶苦茶ある。

 俺の母に聞いたおとぎ話の柱神神話だと、柱神......魔法を生み出した神は七神という話しだ。世界の法則を管理しているのだから別のやつもいるのかもしれないが......少し引っかかる。

 次に、この人間はどこから現れたんだ、というところだ。何もないところからポン!ってのは都合がよすぎる。俺も似たようなもんかもしれないが。

 そして、53という獣の数。地面になったのは38頭、それに対し世界を管理するのは12頭。

 足すと50。3匹足りない。どこ行ったんだよ。

 まあ、作り話だし深く考えたら負けだろうな。捏造と誇張が繰り返されたんだろうし、事実と食い違ってても不思議じゃない。普通に作り話として聞く分には十分面白いからいいけどな。


「あ!全部切り終わりましたよ!」


 とと、どうやら全部切れたみたいだ。

 今回作る家......家といってもワンルームの小屋みたいにする予定だが、大体5m×3mぐらいにする予定だ。ちなみに土地は、母が魔法練習用にくれたというか貸してもらっている土地をつかう。これくらいなら怒られないだろう。

 さて...作りますか。

****

 それから数時間後


 

 ドスン!


 「ふー、疲れたね」

 「ああ、そうだな」


 イアと俺は木材の上でそういった。

 現在は床張りをしているところだ。地面に固定する方法に悩まされたが、逆向きの石槍(ロックスピア)を使い、釘のようにしたので問題ない。崩れたらそれまでだ。

 板材のつなぐ部分にも石槍を使った。建築に関しては知識皆無なので適当だが、ここに数十年も住むわけないので、適当でいいだろうということだ。

 と、俺は今が夕方だという事に気づく。もうそろそろ飯だな。

 ってか、イアは今日あんまり植物採取してないよな。


 「そういや......木の実は取らなくていいのか?」

 「あっ.......」

 

 忘れてたのかよ!

 

 「で、どうするんだ?」

 「う、うーん......と、取り敢えず、商店街に行ってみよう」

 「取り敢えず、って......」


 ノープランだな。

 商店街は下のほうにある。ここは割と上のほうだから、結構時間はかかるな......

 ま、俺は関係ないか。ちょっと薄情だが、俺は帰らせてもらおう。

 

 「じゃ......頑張れよ、俺は先帰っとくか...」

 「え?ま、まって!」


  呼び止められた。なんでや。


 「つ、ついてきて!」

 「......いや、なんでよ」


 少なくとも、寂しいとかいう理由じゃないだろうが......


 「き、昨日誘拐されそうになった......から」

 「......マジで?」


 どうやら、少し前にした俺の予想はぴったり当たったらしい。やっぱ治安悪いしな......


 「......っじゃ仕方ねえ、行くか」

 「う、うん!」


 イアは嬉しそうな顔で言った。なんだろう、イアといると母性本能的な何かが刺激されるね、守ってやらないとって思っちゃう。守ってやれる人がいるってのは幸せだな



 この時、俺は浮かれて忘れていた。これさえ忘れていなければ、あんなことにはならなかっただろう。ただ、俺は危機感が足りなさ過ぎた。



 髪の色が、赤色だって事に、この時気づくべきだったのかもしれない。

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