1. 転生
新作です!これからも宜しくお願い致します!
目を開けるとまぶしい光が入ってきた。
「あー、うー」
声がうまく出ない。あれ、なんでこんなことになったんだっけ。
...思い出せない。言語は分るのに、これまでの記憶がすべて消えている。これが噂の記憶喪失か、面倒なことになったな...。
俺は誰かの手の上にいた。女の人だった。マジでどういう状況よこれ。
俺は周りをきょろきょろ見る。木の壁、ベット、人、人、人...
そして俺は自分の手に目が行った。小さい。赤ちゃんの腕だ。次に足を見る。やはり小さい。
やっと、今の状況が分かった。
どうやら俺は転生したようだ。
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あの後、俺は強烈な眠気に襲われた。徹夜明けの朝並みの眠気で抗えずに寝てしまった。状況把握をすべきなのに寝てしまうとは...良いご身分だな、うん。
んで、今は木造の部屋のベットにいる。寝ている間に家に来たようだ。しかし、このベット...固い。木の上にシートに布が引いてあるだけのような感じに固い。そんなに俺の家は貧乏なのか。前世ではふかふか...とまではいかないが、それなりの暮らしをしていたような気がする。するだけかもしれないが。
その時ドアが開いた。
「ほーら、帰ってきましたよ~トルちゃん~」
おそらく俺の母だろう。優しい面影に、西洋系の顔立ち。結構美人だ。
しかし、俺はもっと別のところに目が行った。耳だ。耳がでかかったのだ。先端は鋭く、横向きにながい。
おそらく俺が一昔前の日本人だったらただただ驚くだけだろう。しかし、ナウい俺は知っている。
おそらく、エルフだ。エルフをモチーフとしたメイクでもしているのだろうか。そういや今まで仕事に行ってたのから、直してないのかもしれない...いや、もしかしたら異世界かもな。
俺がそんな妄想をしてるとはつゆ知らず、母は隣に座りこっちを見ている。何してんだろ。
すると、母は急に掌をこちらに向けてきた。もしかしてビンタとかされるんだろうか。俺なんかした!?
「グロウ」
母はそういった。そして、掌が緑色に光った。俺はもしや、と思い手を動かしてみる。さっきよりかなり快適に動く。おそらく治癒魔法だろう。やった!これで無茶しても大丈夫だ!
っと、そんなことはどうでもいい。重要なのは、魔法があるという事だ。
つまりは、この世界が異世界だと確定したのだ。