第2話 君との出会い
いつもより学校でのいじめが酷く、疲れていたある日の帰り道。
こんな日はこのまま家に帰る気になんてなれない。
「はぁ。今日はあの公園で少し休んでから帰ろうかな。」
まるでペンキをひっくり返したような嘘くさい空の下。
ひとり公園に向かう。
歩くたび体のあちこちが痛んだ。
そんなことにはもう慣れてしまっていたが、なぜだか今日は少し辛かった。
公園へはそれから数分後に着いた。
それはいつも通りの静かな公園。
いつものベンチに、いつものブランコ。
今日も何も変わらない......はずだった。
「.........誰かいる。」
今まで何度もここに来ていたが、人影を見かけたことはなかった。
だから、僕はすごく驚いていた。
それと同時にどんな人がここにいるのかが少し気になってきた。
「うーん。この位置からだと良く見えないな......。」
僕は気づかれないように物影を移動し、様子をうかがった。
そこに居た人影は、女の子のようだった。
滑り台の上に立って夕焼けを眺める少女......
その少女に目を奪われる。
少女の姿はとても幻想的で綺麗だと。美しいと思った。
まるで少女の周囲だけ異世界のもののようなそんな錯覚に襲われる。
僕は久しぶりにこの世界で美しいと思えるものを見た。
忘れていた感情がたくさん流れ込んできてなんだかとても懐かしい。
「あれ?なんで僕は泣いているんだろう......?全然悲しくなんかないのに。」
僕はただただ頬を伝う涙に困惑していた。
なんとか涙を止めようとするがなかなか止まってくれない。
そんなことをしていると不意にその少女は振り返って、こちらを見た。
「......誰?あなた泣いてるの?」
鈴の鳴るような声で彼女は僕に問いかけた。
それが少女との最初の出会いだった。