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鬼が舞う夜 1

ぜぇぜぇと荒く息が乱れる。

空もオレンジから濃紺に変り、電灯が光で道を照らす。高層ビルが立ち並ぶこの街の路地を津雲靖道は全速力で走っていた。なにも好き好んで駆けているわけじゃない。

「なんなんだよ……! あの化け物!」

そう呟いて靖道は後ろに振り向くと、黒い犬のような影はまだ自分を追っていた。

話はほんの五分ほど前に遡る。

いつも通りに学校で授業を終え、帰宅する途中で駅ビルの中にあるゲームセンターに寄った後、道に設置されているゴミ捨て場を通りがかったときだった。

がざごそと黒い動物らしき影がビニール袋を漁っていた。

最初は野良犬かと思い、靖道は見て見ぬ振りをした。変に触ったりちょっかいをかけたりして噛まれて痛い思いをするのは避けたい。

仕方なく別の道を行こうと足を動かしたら、気配を感じとったらしく、それは振り返った。

「……はぁ?」

靖道の口から思わず声が漏れた。

それは犬じゃなかった。目が懐中電灯みたいに白く光っていた。瞳孔も無いその目は靖道をじっと見つめ、グルルルル……と威嚇らしき低い声を出した。靖道のこれまでの人生の中で、そんな生き物と相対することはなかった。


しばらく緊張した空気が流れる。少しでも動いたらたら、そいつが襲いかかってくるのは分かった。分かってはいたが身体はすでに背を向けて足を速く動かしていた。


そこから地獄の鬼ごっこが始まってしまった。

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