終章
この物語はこれで最後になります。
ぜひ、最後まで読んでみてください。
真っ黒な世界があった。
その中にぽつん、と本が一冊落ちていた。
よく見ると、本の上には周りと同化するように真っ黒な猫が座り込んでいた。ゆらゆらと尻尾を揺らしながら、目の前に浮かんでいる球体の光を見ている。
「あーあ。せっかく自分だけの世界をあげたのに、自分で壊しちゃうなんてね」
黒猫から声が響いてくる。
光をのぞき込むように、黒猫が顔を近づける。
「あらあら、幸せそうな寝顔だこと。お父さんにしっかり掴まっちゃって」
光の中には、お互いに抱きしめ合い、幸せそうな顔で眠る女の子とその父親がいた。
「さて、と」
黒猫が光に口を近づけると、吸い込まれるようにして消える。
「ん……むぐ……、んぐ……」
黒猫の口が咀嚼するように動き、喉が嚥下する。
「ん、おいし。……さて、代償もいただいたし、次の契約者を探さないとなぁ」
黒猫は前足を伸ばして伸びをすると、本と共に闇に包まれて消えた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
前書きにもあるように、この物語は今回で終わりですが、あと一つだけ登場人物同士の会話が主体のギャグを書こうと思っています。
そちらも読んでみてください。