sleeping princess
あらすじに関しては,前置きって感じです。
ちなみに甘い……と思います。
それでもいい方のみ,どうぞ。↓
「鈴ー起きてー…って起きないか」
小さくため息をつく,要。
朝の公園でかれこれ30分以上この状態なのだ。
さすがに,首のあたりに来る髪の毛がくすぐったい。
――こいつ,俺を純情人間だとか思ってんのか?
そう思いたくなるくらい,彼女は無防備だ。寝顔は全てを預けきったような顔をしている。
――キスしてもいいかな。
不意にそんな考えが浮かぶ。そうしたくなるくらい,可愛いのだ。
必死で本能と格闘していると,メールを受信した音が響いた。
「誰からだ……?」
開いてみる。画面には「メグ」の文字。
「メグか…」
春風愛美からのメールだった。開いてみる。
おっはよー
起きてたらゴメンね(汗
今って電話出来る人ー!暇だから電話相手になってー!!!
by愛美
「……アホか」
思わず呟いてしまった。
――普通は彼女持ちじゃない人にメールするだろ。
もしかしたら,一斉送信かもしれない。メールアドレスの欄を見ると,他にも何人かにメールを送っていることが分かった。
鈴の方を見る。
まだ起きる気配がない。
「まぁ…友達と電話したくらいで怒ることはないか」
そう言いながら,電話帳から,愛美の電話番号をプッシュした。
電話はコール1回でつながった。
――もしもしー!!!要ー!おはよー!!!!
「朝からテンション高いな…」
思わず,電話から耳を離す。
――いやぁ…ちょっと徹夜しちゃっててテンションおかしいんだよねー。
甲高い笑い声が聞こえる。要は鈴が起きないか,不安になる。
「ゴメン,少し静かにして」
――あれ?もしかして,まだ親とか起きてない感じ?
「いや,そうじゃないんだけど…」
――というか,この時間まで起きてない親ってすごいよねー。
笑い声がまた聞こえる。ちなみに今は,8時半を過ぎた頃だ。
――誰かと一緒ー?
「まぁ……うん」
――誰誰ー?モチ?それとも,セッキー?あ,もしかして,前くんとか?
聞いたことのある名前がどんどん出てくる。
要が答えないでいると,1番出てほしくない名前が出た。
――わかった!鈴でしょ!
「……なんで分かったの」
はぐらかす気がないので,大人しく答える。
――だって黙ってるから女子かなぁー,って思って。そう考えたら,鈴が自然でしょー。
「まぁ,そうだけどね」
――で,鈴,寝てんの?
「寝てるから黙って,って言ったでしょ」
冷静に答える要。
――そりゃそっか。ぐっすり寝てるでしょー。鈴も徹夜の被害者だからね。
「…一体何をやってたんだ?」
彼女が巻き込まれたというのなら,少し許せない。彼女が自分から徹夜をするという意思表示をしたのなら,別だが。
――いやぁ……皆で集まって恋愛話してたのよ。もう,鈴から超惚気話が出たんだよー。要,超愛されてるからね。
愛美の姿が見えてなくても,にやにや笑っている姿が目に見える。
「それはどうも。とりあえず,鈴を起こす方法とかって分かる?」
――なんで聞くの?
「少なくとも,メグの方が詳しそうだし」
――…そう来るかぁ…あ,言っておくけど,寝起き結構悪いよ。
「それは知ってるよ」
――じゃあ,言うことなんてないわよー。普通に起こしちゃえば?寝起き悪くても,要の顔があれば怒ったりはしないっしょー。
「…そうかな」
少し顔が赤くなりながら,言う。
「でも,普通に起こしても反応がないんだよ」
――眠りが深いのかもねー。…あ,そうだ!
「どうしたの?」
暫くの間,愛美から答えが返ってこない。
一体何があったのだろうか。
すると,次に返ってきた言葉は予想外のものだった。
――……キスしちゃえば?
「ばっ……」
思わず叫ぶのを抑える。
「どういうことだよ!」
――要ったら声でかーい。鈴起こしちゃうよー。
「変なこと言ってるから悪いんだろ!!」
小さい声ながら,叫ぶ要。
――だってさー,眠れる森の美女だって白雪姫だってキスして目覚めたじゃーん。
「…俺は王子様か」
一瞬,「鈴はお姫様か」と言いかけたが,慌てて飲み込む。
――うーん…確かに,王子には程遠いよね。
「こら!そこではっきり言うなよ!」
――配慮しろって言うのー?こんなこと,今に始まったことじゃないしー。
じゃあね♪と言われて,電話を切られた。
結構長電話だったのだろう,携帯電話が少し熱を持っている。
――鈴の手みたいだな。
そう思うのは,愛美との電話での会話が響いているのだろうか。
鈴の方を見る。
――――思わず,何かをしたくなりそうになってきた。
メグのバカ,と思わず呟く。本当にキスしたくなってきてしまった。
でも,ここまで耐えてきた分で理性はもう持たない気がする。
――もう,いっか。
そう思って,要は鈴をうまく自分の方に向かせる。
――これで起きなかったら,後でメグを訴えるか。
そう思いながら,そっと口づけた。
「ん……?」
キスをしてから数十秒後に鈴は目を覚ました。
――…キスをすると,起きるって本当なのか?
一瞬疑ってしまう状況である。
しかし,そういう姿を見せたら怪しまれるので微笑んで言った。
「おはよう,鈴」
「おはよー…あたし,どんぐらい寝てた?」
「うーん……50分ぐらい,かな」
「うっそ!!!要!ゴメン!!」
手を合わせる鈴。
「いや,別に大丈夫だよ。寝顔見れたし」
「………!!!!」
顔が真っ赤になる。その顔を見て,微笑む。
「寝顔とか……みみみ…見ないでー!!!」
「今更言われても……寝てないし」
「そそそ……そうだけど……っ!でで…でも,恥ずかしいんだもんっ」
鈴は要から顔をそむける。
不意に,キスをしたことを言いそうになるが,そこは黙っておく。
「あ,そういえばさ……あたしの唇になんかつけた?」
要は思わず,声を上げそうになる。
――バレてる?
「あ,隠してるでしょー?教えてよー」
――うっわ!!!100%バレてる!!!
さっきまでは「思わず言いそうになった」とか思っていたが,実際に言うとなると恥ずかしい。
「要。秘密はなしって約束でしょ。教えて?」
上目遣いに言ってくる。
――まいったな。
はっきり言って,この状況にとにかく弱い。上目遣いで「教えて?」と言われたことはたいてい教えてしまう。
だが,今回は聞いたら鈴の反応がすごいことになりそうなものだから,思わず言うのが躊躇われる。
しかし,言った方がいいと思ったので,覚悟を決めた。
「…言ってもいいけど…後悔しても知らないよ?」
「え?そんなに重要なこと?嘘でしょ」
「はいはい,落ち着く。ちょっと耳貸して」
言われるがままに,鈴は顔を近づける。
要は鈴の耳元にそっと事実を告げる。
鈴の顔はリンゴみたいに真っ赤になった。
嘘っ……,と小さな声で呟く声が聞こえた。
「本当だよ」
そう言って頬にキスをし,微笑んだ。
恋愛っていいね!書くの楽しいよ!!!
って感じのテンションです。
ちなみに色々ぼーっとしながら,考えてたら浮かんだアイディアです。




