初めての、若い女の、先生が――
僕は今年から高校生になる。
受験は何とか切り抜けてギリギリで入ったそこそこのレベルの学校だ。
僕は今講堂内で入学式の真っ最中だ。
「えーそれでは……」
つるっぱげの校長の話をまじめに聞いている奴は半分くらいだろうか。僕はとっくに聞くのをやめて講堂の中を眺めていた。
中学の頃はぼろっちい校舎だった。なんでも築60年らしい。それに比べてこの学校は一昨年出来たばかりの新しい学校だ。僕はそれにあこがれてここを目指したわけだ。
入学式はあっという間に終わって教室に戻ることになる。
僕は自分の席について担任の登場を待った。まだ担任はわからない。みんなはどんな先生か話し合っていた。
「なぁ、どんな先生がいい?」
前の席の奴が振り向いて訊いてきた。
「うーん、なんか優しそうな先生かな?」
「女か?」
「どっちでも。あ、出来れば男がいい」
「お前……夢がないなぁ」
教師で女はもう嫌だった。中学校……いや、小学校からずっと女教師だったのだ。しかも大抵が年を食ったおばさんだった。
そんなざわめいた教室を戸を引く音が静かにさせた。
「みんな、おはようございます」
女教師だった。しかも若いの。みんなが一斉に返事を返す。――主に男子だが。
「私はこのクラスの担任の桜井空といいます。そら先生って呼んでね」
「そら先生!」
いきなり前の奴がそう叫んだ。
「はい、何? えーと、君は……」
「桂木です」
「あ、はい。桂木君」
「独身ですか?」
いきなりそれかよ。
「えっ……えーと……」
ほら、先生困ってるじゃんか。
「桂木、少しは黙れ」
「何だよ!? いいじゃねえかよ!」
「いいから。あ、先生。続けて下さい」
「あ、はい! ありがと……」
先生が僕の方を向いて少し微笑んだ。その笑顔に少しだけどきっとした。よく見ると結構美人だな。
そんな感じで自己紹介が進んでいった。
そら先生……か。
初めてあったけど、何かわからないこの感情。何だろう。
放課後、僕はそら先生に呼び出された。
「あのね、私付き合っている人がいるの」
何でいきなりそんなことを。
「学生なんだけど……」
「ぶっ……!」
思わず吹いてしまった。
が、学生って……えぇ!?
僕の恋は早くも終わりを告げたようだ。
そのあと、話したことは恋愛相談だった。
こんにちは、まなつかです。
いや、結構更新サボっていましたが、いろいろあったんで。
なんか振り返るといっつも恋愛物書いて文学的作品書いていないじゃんということで夏ノ風を――とちょびっとずつ書いています。
それでは。




