平凡女のプロローグ
そこら辺にウヨウヨいる様な、極々普通の生活を送る平凡な人間が、普通に自然に振る舞えば事件なんて起こりません。
ていうか起こそうと思わないと起こりようがありません。
それも性格が事なかれ主義な典型的日本人気質の人間だったりすれば、尚更事件が起こる確率は減る。
たまに事件にあったら運が悪いってだけで加害者にしろ被害者にしろ、事故にあった本人が平凡のカテゴリーから外れる訳じゃない。
平凡は何処まで行っても平凡で、常に傍観者。
主役なんて恐れ多くてなれないし、なる機会もない。
どんなに周りが騒がしかろうと物騒であろうと、それが真実。
それが物の道理というもの。
其れが平凡というカテゴリーに属する者の運命とすらいえるだろう。
そしてワタシは胸を張って言える程、全てが平凡なのだ。
十人並みな容姿に、程々な学歴、交遊関係だって現代人らしい広く浅いお付き合いで携帯のアドレス帳登録数は200件以上。
仕事場での立場も目立たず騒がず、かといって忘れ去られる程に存在感が無いわけでもないので程々に友好な人間関係と程々に責任ある仕事を任されている。
勿論、警察のご厄介になった事もない。
そんなワタシは自分のその平凡さに不満はなく、日常生活は至って平穏で円滑なものであった。
てな訳で何度も言うが、ワタシは胸を張って言えるのだ。
そう!ギ○ンの様に
敢えて言おう
ワタシは平凡である!
と。
―――‥‥な、筈なのに何でワタシこんな事になってんだろう‥‥‥
ワタシは自宅の扉を開けた筈なのに、な、ぜ、か、日差しを反射しキラキラと青く輝く広大な水平線を、只々茫然と見つめていた。