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162.ガランク山決戦ー襲

 複数人の殺し屋がガランク山に到着した。

 標的の姿を探して頭上に視線を向けると……山の頂上にこれみよがしに旗が立てられているのが辛うじて見える。


「舐めやがって……!」


「しかし、本当にあそこにいるのか?」


 山の南側に現れたのは二人組の殺し屋である。

 裏社会において『金鎚』・『銀閃』と呼ばれているコンビの殺し屋だ。

 古参の殺し屋に比べるとまだまだ無名だが、絶賛売り出し中の若手である。


「少なくとも、殺し屋の女が向かったのは事実だろうな。ほらよ」


「あん?」


 旗の傍らに女が立っている。

 鋭敏な殺し屋の視覚がそれをターゲットの皇女であると認識した。


「あの女……誘っていやがる!」


「影武者の可能性はあるが……それでも、ここまで舐められて引けるものかよ!」


「ああ……頭叩き潰してやらなくちゃ気が済まねえな!」


『金鎚』が金色のハンマーを、『銀閃』が銀色の大剣を手にして、山を登っていく。

 ここに来る途中で他の殺し屋の姿も目にしている。彼らも別方向から山頂を目指しているだろう。


「他の連中に先を越されるわけにはいかねえなあ……」


「特に数が多いだけで評価されている『カンパニー』の連中にかっさらわれるのは御免だな」


「ああ、これからの裏社会は俺達……『金鎚』と『銀閃』が牛耳ってやるぜ!」


 重量系の武器を手にして、二人の殺し屋がえっちらおっちらと山を登っていく。

 明らかに登山に向かない荷物だったが……それでも、別の武器に持ち帰ることをしないのは、彼らなりのこだわりである。


「ん……?」


「ギィギィ」


 そんな二人の前に……耳障りな鳴き声と共にいくつかの影が現れた。

 遭遇したのは石のような皮膚を持った直径二メートルほどの大トカゲである。


「ロックリザードか……」


「手を出すなよ、兄弟。時間の無駄だ」


 この山のことは事前に調べてある。

 ロックリザードは石のような堅さと重量、それに見合わない機敏な動きを持っている魔物だが……基本的に人間を襲わない。

 石を喰い、そこに込められた魔力を吸収して生きているのだ。


「俺達は標的を狩りに来たんだ。魔物の相手なんてしている暇はない」


「ああ、わかっているさ。さっさと通り過ぎて……」


「ギイイイイイイイイイイイイイイイッ!」


「頂上を……ギャアアアアアアアアアッ!?」


「『金鎚』!?」


 横を通り抜けようとする二人であったが、突如としてロックリザードが襲いかかってくる。

『金鎚』の肩に食らいついて、バキボキと骨ごと肉を噛みちぎった。


「ウ……ギャ……」


「この野郎! 兄弟を放しやがれ!」


「ギイッ!」


『銀閃』が大剣を振るうと、ロックリザードが飛び退いて距離をとる。

 倒れた『金鎚』の肩から大量の血液が溢れ出て……そのまま、絶命してしまった。


「チクショウがあ! なんだ、テメエはあっ!?」


「ギイイイイイイイイイイイイッ!」


 相棒の死を目の当たりにして泣き叫ぶ『銀閃』へ、ロックリザードが襲いかかってくる。

 本来であれば、人間を襲うことのないロックリザードであったが……その眼球が真っ赤に染まっており、口からは大量の唾液が垂れ流れていた。


 明らかな異常である。

 そして……その異常は岩山のあちこちで生じていた。


「うわあああああああああああっ!?」


「この……クソがああああああああああああっ!」


「ギイイイイイイイイイイイイイイイイイィッ!」


 ロックリザードやストーンインプ、岩山に棲んでいる魔物が次々と殺し屋に襲いかかり、彼らを撃破していったのである。


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