150.人質救出
ティー、レンカ、ロズベットがそれぞれ改造スケルトンを撃破して、憲兵の詰め所の前で合流した。
「無事でしたの、皆さん?」
「どうにかな……」
「ええ、問題ないわ」
三人とも多少は消耗しているものの、大きな怪我はない。
『骨喰い将軍』が特別に生み出した改造スケルトンはいずれも精鋭。
魔物の等級でいうところの『子爵級』以上の実力はあったが……裏を返せば、その程度でしかない相手だったということである。
「さあ、早く人質を救出しますの」
「ああ、急ごう……!」
詰め所の扉には鍵がかかっていたので、ティーが三節棍で破壊して中に入る。
詰め所の中には誰の姿も見えない。しかし……耳を澄ませてみれば、奥からすすり泣くようなか細い声が聞こえてきた。
「こっちか……!」
レンカが先頭になって奥に進むと……犯罪者を収容するのに使う牢屋の中に、彼女達はいた。
「ウウッ……」
「ヒッグ、ヒッグ……」
「これは……!」
そこにいたのは全裸の女達である。狭い牢屋の中に二十人以上が押し込まれていた。
年齢は様々であったが、身体のあちこちに殴られたようなアザ、噛みつかれたような歯形がある。
子供・大人関係無しに暴行を受けた彼女達の姿を見て、レンカは大きく表情を歪ませる。
「ゲスめ……許し難いことを……!」
「……酷いですの」
「…………」
後から来たティーも顔をしかめており、ロズベットもわずかに眉を吊り上げて不快そうにしている。
「おのれ、『骨喰い将軍』め……子供もいるというのに、何という非道な真似を……!」
「レンカさん、怒るのは後ですわ!」
「そうよ。さっさと逃げましょう……鍵はこれね」
ロズベットが壁に掛かっていた鍵を持ってきて、牢屋を開く。
適当な毛布やカーテンを持ってきて裸の人質に渡して、脱出を促す。
「みんな、逃げよう。私について来てくれ!」
「あ、あなた達……助けてくれるの?」
「ああ、外に出て欲しい」
「……わかったわ」
彼女達はすすり泣きをしたままであったが、どうにか頷いてくれた。
三人についてきて、そのまま憲兵の詰め所から出る。
「息子はどこに行ったのかしら?」
「骨が、骨が……」
「ウウッ……痛いよう、苦しいよう……」
女性達は乱暴をされた身体を引きずるようにして、三人の後についてきてくれる。
ティーとレンカが町の通りに敵の姿がないことを確認して、彼らを先導する。
「このまま町の外まで行きますの」
「ああ、急ごう」
周囲に注意を払いながら、人質を連れて町の中を走っていく。
幸い、周辺にスケルトンの姿はない。カイム達の侵入により、この場から移動したのだろうか。
「あ?」
しかし……そんな中で、殿として最後尾を走っていたロズベットが足を止める。
怪訝そうに後ろを振り返って、眉をひそめた。
「…………?」
今、町に人影があった。
スケルトンではない。黒ずくめの服を着た、見覚えのある誰かを見た気がしたのである。
「黒ずくめって……もしかして、彼らは……?」
「どうしましたの、ロズベットさん?」
ティーがレンカが付いてきていないことに気がついて、声をかける。
「誰かいましたの? 早く行きますの」
「ええ……そうね。行きましょう」
ロズベットが怪訝そうな表情をしながらも、前を向く。
黒ずくめの人物は気になるが……余計なことに構っていられる状況ではなかった。
人質の背後を守るようにして、町の外まで駆けていったのである。




