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蝙蝠さんのスローライフ

作者: ヒロちゃむ

 試し書きです!こんな感じで始まる長編とか作ってみたい…

「さぁ!本日もこの瞬間がやってきました!転生のお時間です!」


 真っ白で何もない空間。誰も居ない、気配もない、そんな空間から声だけが聞こえて来る。


 スピーカーなどない。誰かが居るのだろう。しかしその場は何も写さないし映らない。


 誰も居ない場所から楽しげな声が漏れる。


「はっはっは!ボクは神だよ?君ら下等な存在ごときに現す姿はないし、そもそもボクらは肉体的入れ物なんてもってないからね!」


「まぁ、例え依代的な物があったとしても君達はきっと認識すらできないだろうね!」


 その声は馬鹿にしたような口調で何かに話しかける。


 そして、その場には()()が存在していた。いや、正確に表すならつい先ほど現れたのだ。


 とても希薄なその存在は弱々しく、そして球体をしていた。


 意識しなければ決して認識できないだろうそれは人魂と読んだ方がいいだろう。風は吹いていないのにも関わらずその場でユラユラ揺れている。


「本日のゲストはこの方!人魂さんです!え?見分けつかない?うん、ボクもさっ!」


 人魂以外居ないはずの空間にも関わらずその声は楽しそうに進行をする。


「さてさて、今日この時、この人魂さんは転生者としてボクの世界に呼ばれました!はーい拍手ー」


 誰かが居れば戸惑ったろう。一人芝居のように誰からもリアクションを得られない声はそれでも高いテンションのままだ。


「さて!では何故この人魂さんが選ばれたかと言えば……勿論!ボクの気まぐれです!」


「デハデハお楽しみを始めましょう!」


 誰も居ないはずの、それでいて誰かが居る空間で子供のような声は誰かに語りかけた。



 ♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢

 


「さてさて、今回君をここに呼んだのは他でもない。ボクの暇つぶしのためだね!」


「好奇心は猫を殺し、退屈は神をも殺す!」


「君には僕の暇つぶしのために異世界に行って楽しませるんだよ!」


「え?猫の下りは意味が違う?細かいことは気にしない!だまらっしゃい!」


 そんな声を聞き続けた人魂は楽しげな声に軽く点滅する。


「はっはっはっ!何言ってんのかわかんないよ!君に口なんてないしね、ここに空気なんてないからね!」


「僕ら神は別に君らが思うほど全知でも全能でもない!もしそうなら退屈なんて感じないし、むしろちゃんとした退屈しない方法だって知ってるさ!」


 それでもなお人魂は明滅を繰り返す。どうやら意識らしいものはあるらしい。


「だから何言いたいのかわかんないって!まぁ、文句言ってるのは何となくわかるけどね!」


 声は散々に人魂を煽る。


「さてさて、じゃあ君は何に転生してもらおうかな?」


「人なんか面白くないしやっぱり人外がいいよね!」


「どんなのいたっけな?ドラゴンにスライム、スケルトンに……あ!小魚とか蜘蛛とかウイルスとかも居たね!鳥とかもいたかな?じゃあ、その辺は抜きにしていこう!」


「さて、じゃあ何にするかわルーレットで決めよう!じゃーん!」


 勿論見えない。


「はい!ここには沢山の選択肢が用意されています!何が出るかな〜」


 ドゥルルルルル〜〜〜。バッババン!………ドゥルルルルル。


 人魂はまるで終わらないのかよ!とでも言いたげに明滅。ドラムロールは見えない声がやっていた。てか見えん!


「ババン!わぁーお!これに決まりしたか!」


 勿論これも見えない。


「なるほどー、これになったかー」 


 一人納得する声にまたもチカチカする人魂。


「もーさっきからぐちぐちうるさいなー。無視してんのわかんないの?」


 どうやら元々無視されていたらしい。人魂はギクリと言いたげに揺れる。


「全知全能ではないにしても君が何言いたいかくらいわかるっての」


 声の機嫌が悪くなる。


「神がダイスを振る?当たり前でしょ?自分で決めたらどうなるかわかっちゃうじゃん。そうならないように自分で考えないでランダムにしたんだよ?理解しなよ」


「はー白けちゃうなー。これでも下手なのに産まれてすぐ死なないように、とかの配慮程度はしてあげようと思ってたんだよ?」


「もういいよ、聞こえなさそうだからって馬鹿にするならこちらにも考えがあります」


 周りの様子が徐々に変わり始める。白い空間が揺らめき、肉体があれば体感温度が下がったことだろう。


「ボクの世界の人間はステータスを見れるように加護を与えあげてる。けどもう君にはあげません。モンスターは見れないようになってるからね、てきとうに足掻けばいいさ」


「勿論チートもなし。多少役立つ程度の物はあげないとすぐ死にそうだけどもう知りません勝手に死んでくださいな」


「あ、鑑定とかも期待しないでね?勿論あげません。持ってるのは産まれ持ったもののみだ」


「あーあ、暇つぶしくらいにはなると思ったんだけどなー。ま、いいや次の選ぶから」


 声は急にやる気をなくしたように気怠げな声を出すとその気配が消え始める。


「あ、君の転生先だけど蝙蝠だから。しかもランクF。子供に踏み潰されて死ぬレベルだよ。ざまぁ!」


 そのまま声は聞こえなくなった。


 人魂はそのままそこに留まっていたがしばらくするとその足元――足ないけど――に魔法陣のようなものが煌めく。


 おそらく転生するんだろう。


 転生先はどこかの蝙蝠。


 Fランクまでしか存在しないモンスターのランク。もしその下があれば確実にGに食い込むだろう最弱筆頭のモンスター。


 転生が開始され、その場には誰も居なくなった。

 長編も予定しております!お楽しみに!蝙蝠さんの運命や如何に。

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