先輩の家にお邪魔します!①( 遠野舞香視点)
「良し! 気合いを入れよう!」
私の名前は遠野舞香、楓先輩と同じ会社に務める後輩です。今日は待ちに待った憧れの人の家に遊びに行く日……やばい、めっちゃ緊張して来た。今日はいつもよりお洒落に気合いを入れて、この日の為に服も新調して来たのです! 一応勝負下着も……(ボソッ)
「えと……楓先輩の家は……ん?」
教えて頂いた住所を調べながら駅から歩いて30分……私は驚きの余り目をまん丸としてしまいました。
「ええぇぇ……ここが楓先輩の家なの? 凄い豪邸だ」
知らなかったです。楓先輩がお金持ちだったなんて……普段割と質素な物を身に着けて居るから、てっきり私と同じ一般庶民の方だと思ってた。庭だけで500坪以上はありそうです。こんな豪邸、財閥のお嬢様が住むような大きさの家ですよ!
「いや、落ち着くのよ私。もしかしたら間違いと言う可能性も……」
あっ、ちゃんと表札に一ノ瀬と書いてある。住所を再度検索掛けてもこの場所を示している。やはりここが先輩の家で間違い無さそうです。ひええぇぇ……
「どうしよう……お土産にケーキ買って来たけど、お値段がお高いのが良かったのかなぁ。楓先輩の妹さんが甘いのが大好きと言ってたからケーキを選んだけど……お口に合うかな……」
立派な門にしかも大理石をふんだんに使った贅沢な床に柱……まだ家にも入って無いのにもうこの時点でかなり気遅れしています。てか、庭に池があるよぉ……凄い。語彙力が無くなりそうです。
「ごくりっ……よし」
私は意を決してチャイムを鳴らした。もう後には戻れない。てか、心の準備がまだ出来て無いよぉ……昨日は楽しみ過ぎて眠れなかったし……しかも、休日の楓先輩の私服や私生活が見れるかもしれないと思うと興奮して、夜眠れる訳がないじゃないですか! 楓先輩は美人でかっこよくて優しくて……仕事も出来て気を配る事にも長けた完璧な女性です。
「はぁ〜い♪ どちらさまですか?」
「わ、わわわっ……!? あ、あのの……わ、わしゃしでしゅ……!!」
あ、盛大に噛んでしまいました。壊れたロボットのように私自身何を言ってるのかすら……これでは完全に不審者ではありませんか!
「ん? もしかしてその声は……舞香さん?」
「はひっ……!? そ、そうです!」
「今行くね〜♪」
あぁ……緊張し過ぎて身体が震える。身だしなみは朝何度も確認したし匂いも大丈夫な筈。念の為に出掛ける前にシャワーも浴びて来たし! えい! 後はどうにでもなっちゃえ!
「おはようございます♪ 舞香さん、遠路はるばる良くいらっしゃいましたね♪ さあ、あがって♪」
「お、おお……じゃまします!?」
「うふふ……そんなに緊張しなくて大丈夫だよ? 肩の力抜いてね♪」
か、楓先輩が私の手を握っている!? 楓先輩の手……細くて綺麗で柔らかいです♡ しかも、楓先輩めっちゃくちゃ良い匂いがします! シトラスの匂いかな? 大自然の優しくて心地良い匂いがします♡
「ん? 私の匂い気になる?」
「あ、いえいえ! 楓先輩から凄く良い匂いがします」
「あぁ、職場では香水とか付けないからね〜」
職場でも楓先輩は良い匂いをいつも放っています。どうして美少女の香りと言うのはこんなにも良い匂いがするのでしょうか? 同性の私から見ても羨ましいなと思う程に楓先輩は素敵な女性です。楓先輩に抱かれてみたい……
「舞香さん、顔が赤いけど大丈夫?」
「だ、大丈夫でしゅ!?」
あ、また噛んだ。まだ開始5分も経ってないのにこの有様です。私の気持ち……早く落ち着いて! 何だか推しのアイドルが目の前に居るような気分です。いつも職場で顔を合わせてる時は何でか平気でしたけど、プライベートで私が楓先輩を独占してると思うと興奮が止まりません!
「今日は妹の葵ちゃんは留守だけど、エルちゃんが居るよ♪ 紹介するね♡」
「おお! 噂の楓先輩の妹ちゃんですか!」
職場で楓先輩から、エルちゃんの話しや葵さんの話を良く耳にします。あのクールな楓先輩が、唯一妹さん達の話しをする時だけ破顔する程にデレデレになる可愛さ……私は特に変な性癖を持ち合わせては居ませんが、可愛い子や物を愛でるのは大好きです♡
「お、お邪魔しますぅ……」
「舞香さん、こちらへどうぞ」
ほえ……やはり立派な玄関ですね。清潔感漂う壁に床……置いてある調度品もかなりのお値段がしそう……触れないように気を付けよう。
「ん?」
やはりお金持ちの家はセキュリティもしっかりしてるんだ。窓には鉄格子……廊下には立派な柵があります。しかも鍵付きです。
「エルちゃん〜お客さん来たよ♪」
「んにゅ?」
「…………」
リビングのソファの上で猫と戯れている幼女を見て、舞香は思わず絶句してしまう。まるで時が止まったかのような感覚である。
(なっ……!? あ、あの子が楓先輩の妹ちゃん!? ぱっちりとしたおめめ、ぷるんとした唇にモチモチしてそうな白くて綺麗なお肌。しかも金髪ロリエルフ……か、可愛い♡)
「エルちゃん、こちらはわたしのお友達の舞香さんだよ♪」
「まいかしゃん?」
「初めまして♪ 楓先輩と同じ会社で働く遠野舞香と言います♪ 私と仲良くしてくれると嬉しいな♪」
「んみゅ! ボク、えりゅ!」
ええぇぇ……!? まさかのボクっ娘系幼女!? ただでさえ舌っ足らずで話す姿が物凄く可愛いのにそんな属性まで持ち合わせて居るとは……なるほど。楓先輩があそこまでシスコンになる理由が何となく分かりましたよ。もしかして、玄関にある柵や窓の鉄格子もエルちゃんの安全を守る為に作られたとか? 重度のシスコンを患う楓先輩ならありえそうですね。
「じ〜」
「ん? あ、これはお土産のケーキです♪ 良かったら、エルちゃん食べる?」
「おおぉ! けーきたべゆの!」
「ま、眩し過ぎる……!?」
これが穢れの無い無垢な幼女の笑顔ですか……ぐふっ、予想以上にエルちゃんが可愛すぎて、もう尊いと言う言葉しか出て来ないよ。めっちゃ抱きたい……ケーキ食べさせてあげたいな♡
「舞香さんありがとね♪ ほら、エルちゃんも舞香さんにありがとうと言わないと駄目だよ?」
「まいかしゃん! あいあとなの!」
「うふふ……エルちゃんはちゃんとお礼が言える良い子ですね♡」
熊さんのモフモフパジャマを着ているエルちゃんの破壊力がやばい。しかも、熊さんのフードを被ってる姿がもう堪りません! ですが、ここは楓先輩のお家です。楓先輩の後輩として恥ずかしくないような対応をしなければなりません。エルちゃんに大人の女性の余裕と言うものを見せてさしあげますよ♪
「お茶の用意とケーキをお皿に移し変えて来るね♪ 舞香さんも遠慮せずにエルちゃんを愛でてあげてね♪ エルちゃんも喜ぶから♪」
「え、良いのですか!?」
「うふふ♡ エルちゃん〜舞香さんが一緒に遊んでくれるみたいだよ♪」
はぅ……きゃわいい♡ 何なの!? 楓先輩は毎日こんな可愛い妹と一緒に暮らして平気だと言うの!? 心臓がドキドキする……不安げな表情がまた庇護欲をそそられちゃうよ♡
「ふふ〜ん♪ ちょうがないなぁ♪」
「…………」
もうやめて! 私を悶え殺す気ですか!? 私のライフはもう0だよ! あぁ、まだ心の準備が……
「しゅごいのみせてあげゆの!」
「お? 凄いの?」
「んみゅ! とってくゆの!」
あらあら、エルちゃんは私に何を見せてくれると言うのかな? あぁ……それにしても癒されますね♪ こんなに可愛い子は初めて見ましたよ。居るだけでほのぼのとするような愛らしさ。一ノ瀬家は美人三姉妹かぁ……良さ味が深いですね。
「えっへん! ボクのたからものなの!」
「おお……!? こ、これは石ころ?」
「そとにおちてたの! おたかいやつなの!」
「そうなんだ♪ じゃあ、これは……あれ?」
これって……魔法少女☆みくるちゃんの幻の杖。めっちゃプレミア価格付いてるおもちゃでは!?
「かえでねーたんにもらったの!」
「凄いね♪ エルちゃんこんな杖を持ってるなんて、かっこいいですね♪」
かえでねーたん……エルちゃんと話してると本当に心臓に悪いです。あの楓先輩が、家ではそんなふうに呼ばれているんだと思うと何だかホッコリとしますね♪
「これあげゆの!」
「おお! エルちゃんありがとね♪ これは、うめぇ棒のレバニラ炒め味だね」
また渋い味を選んで来ましたね。うめぇ棒を持つエルちゃんのおてて小さい……めっちゃぷにぷにしてるよぉ♡ これが天然の幼女の柔肌……
「ふぇ?」
「あぁ、エルちゃんごめんね。思わずにぎにぎしちゃった♡」
「あくちゅ?」
「ん? あぁ、そうそう! これは握手だよ♪」
何とか誤魔化す事が出来ましたね。幼い子の肌って、こんなに柔らかくてスベスベしてるんだね。羨ましいなぁ……感情豊かでこんなにキラキラしてるエルちゃんを見てると私も気持ちが若返った気分になります♪ まあ、私はまだ若いですけどね。
「エルちゃん、良かったら面白いの見せてあげるよ♪」
「んみゅ? おもちろいもの?」
「うんうん♪ これだよ♪」
ケーキの他にいくつか駄菓子も買って来たのです。エルちゃんはお菓子や食べ物が大好きだと聞いていたので、きっとこれもお気に召すはずです!
「これは笛ラムネと言って、真ん中に穴が空いてるラムネなの」
「らむね?」
おお、エルちゃんの長いお耳がピクピクと動いています! 笛ラムネに興味を持ってるのかな? やはり幼い子は好奇心旺盛ですね♪
「ピュ〜♪」
「はわわっ……!? なんじゃこりわ!」
「うふふ……息を吹き込むと音が鳴るんだ♪ エルちゃんもやってみる?」
「んみゅ!」
私はさりげなくエルちゃんを抱っこして自分の膝の上に乗せました♪ 抱き心地も素晴らしい……良い匂いがする。あぁ……お陰で3年くらい寿命が伸びそうですね♡
「フゥ〜!! んにゅ……ならないの」
「あらあら、惜しいね〜」
駄目だ……これはエルちゃん中毒になりそうです! モフモフ♡ 私もエルちゃんみたいな可愛い妹が欲しい……少しだけ……ほんのちょっとだけ意地悪しても良いのかな?
「ふぅ〜」
「んみゃああああああああああぁぁぁ……!?」
「うふふ♡」
エルちゃんのお耳にふぅ〜と息を吹き掛けて見ると、エルちゃんは全身ぶるっと震えさせた後に目が真ん丸になっていました。
「ぼ、ボクは……しょういうの……だめなの」
「ごふっ……」
これはまさかの上目遣い!? エルちゃんそれは駄目だよ! 自分の可愛さをもし理解しながらやっているんだとしたら、エルちゃんは小悪魔なのかもしれませんね。何と言う破壊力……あれ、私何かイケナイ方向に目覚めてしまいそうかも。
「舞香さん大丈夫!?」
「あ、あぁ……楓先輩……私は……もう駄目かも……うぐっ」
「大丈夫よ! 傷は浅いから! エルちゃんをこっちに貰うね!」
私が天に召されそうになったタイミングで、もう1人の女神様がお茶とケーキを運んで来ました。憧れの先輩とエルちゃんと言う可愛いの暴力に私は今日死ぬのかもしれません。
「あぁ! けーきなの!」
「よし、皆で食べましょうか♪」
あぁ……何と言う光景なのでしょうか。楓先輩の膝の上にエルちゃんが座ってお互い嬉しそうに微笑みあっています。楓先輩のあんなニヤニヤした顔を見れただけでも、今日遠くから来た甲斐があったというものです。
「エルちゃん、あ〜んして♡」
「むむ……!?」
「ん? どうしたのかなぁ?」
ああああああああぁぁぁ……!!!! あ、あれは……!? まさか、某人気百合アニメの【イチャイチャ♡パラダイス】で姉のミオンが、血の繋がって無い妹に口移しで苺を食べさせる伝説の名シーン……!? くぅ……家から一眼レフのカメラを持って来れば良かった……ショートケーキの苺を楓先輩がお口で咥えています! 何とけしからん……いやエロい……あの苺が羨ましいです!!
「はわっ……!?」
エルちゃんと楓先輩の背後に美しい薔薇の背景が見えます。そうか……楽園はすぐそこに……
こうして楓の後輩、遠野舞香は目をハートにしながら気絶をしたのであった。
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