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葵ちゃんの朝

 



 ◆(あおい)視点




「お姉ちゃん! 早く起きて! 朝だよ!」

「えへへ……むにゃむにゃ……」

「えへへ〜じゃないよ! 早く起きないと遅刻しちゃうよ! お〜き〜て!!」


 私の朝はいつも慌ただしいです。寝起きの悪いお姉ちゃんを起こしてから、お姉ちゃんのお弁当と朝食の準備をしなければなりません。VTuberの活動を休止している間は、主に家事や料理は私の仕事です。


「かえでねーたん! おきちて!」

「良いぞ! エルちゃんもっと言ってあげて!」


 お姉ちゃんは朝に弱いですが、エルちゃんは朝に強いのか私と同じ時間帯にだいたい起きています。今日は月曜日、土日明けの平日です。エルちゃんも一緒になってお姉ちゃんを起こそうとしてくれています。


「エルちゃんは朝早く起きて偉いね〜♪ よしよし♡」

「――――――♪」


 エルちゃんがユサユサと楓お姉ちゃんの身体をゆすっています。しかし、楓お姉ちゃんは一瞬起きたかと思えば再びエルちゃんを抱き枕にしてスヤスヤ……と眠ってしまいました。


「かえでねーたん!?」

「ディフ…………ディフフ♡ ん〜♡ んふ♡」


 職場の人から、楓お姉ちゃんはとてもお淑やかで、優秀で頼れる先輩だと聞いていますが、家ではご覧の有様です。お姉ちゃんが職場で働いてる姿を見た事が無いので何とも言えませんが、お姉ちゃんがしっかりと働いてる姿があんまり想像が出来ません。


「んん〜ふわぁあああ……あ、エルちゃん、葵ちゃんおはよ♡」

「やっと起きた……お姉ちゃん、パンツは床に脱ぎ捨てるのやめてよね。ちゃんとカゴに入れて置いてよ。それから、寝る時ちゃんと服着て暖かい格好して寝ないと風邪引くよ? それから……」

「分かった、分かったよ! 明日からちゃんとするから〜」

「…………」


 全く、やれやれと言った感じですね。さて、私はお姉ちゃんのお弁当と朝ごはんの準備をしましょうかね。


「あおいねーたん!」

「お、エルちゃんお手伝いしてくれるの?」

「――――――!!」


 エルちゃんが腕を捲ってガッツポーズをしています。エルちゃんは良い子ですね♪ ほのぼのと朝から癒されます♡


「じゃあお姉ちゃん、ちゃんと起きて準備しといてよ〜」

「はぁ〜い…………zZZ」

「だから寝るなぁあああああ!! 起きろぉぉおおお!!」


 お姉ちゃんを起こすだけでも一苦労です。お姉ちゃんを再び起こしてから、私はエルちゃんを抱っこして一緒に台所へと向かいました。





 ★一ノ瀬家・台所★





「あ! エルちゃん、それはお姉ちゃんのお弁当だからつまみ食いしたら駄目だよ?」

「――――――おいちい!」

「あらあら、エルちゃんの分もちゃんと作ってあげるから……もう少し待って」


 さっきからお弁当におかずを詰めて行くのですが、気付けばおかずが減っているのです。犯人を探すとお口周りにおかずのタレが付いている食いしん坊な子が私の近くに居ました。


「エルちゃん、ここにあるハンバーグにケチャップ塗り塗り出来るかな?」

「――――――!」


 言葉は通じて無くても、エルちゃんは雰囲気で何となく察してくれるようになりました。多分だけど……





 ―――数分後―――





「――――――♪」

「え、エルちゃん…………こ、これは?」

「んぅ?」


 ハンバーグには恐らくですが、ハートマーク? みたいな絵がケチャップで書かれています。これは完全にお尻マーク……しかも、ハンバーグだけでは無くご飯やおかず全てにケチャップが満遍なく塗られています。ケチャップも半分くらい無くなってますね。


「…………まあいいっか、お姉ちゃんケチャップ好きだし……ケチャップ弁当になっちゃったけど」

「――――――♪」

「あぁ! エルちゃんいつの間に!? それは私が楽しみに取っておいたプリン!」

「――――――?」


 本当にエルちゃんは、食べ物の事になると油断も隙もありません。エルちゃんが持っているプリンを取り上げてしまったら、きっとエルちゃんは泣いてしまうかもしれません。ここはお姉ちゃんとして譲るしかありませんね……


「エルちゃん、プリン食べても良いけど朝ご飯食べた後に食べようね〜」

「――――――!?」

「ち、違うよ!? 別に取り上げる訳じゃ……あぁ! 分かったから泣かないで! もお〜よしよし♡」


 プリンの為に必死になるエルちゃんがめっちゃ可愛い♡ エルちゃんは本当にチート……反則です。最早私の妹は世界一可愛いと断言出来ます♪


「葵ちゃん〜そろそろ行ってくるね♪」

「あ、お弁当も今準備出来たから持って行って〜」


 私はお姉ちゃんにケチャップ弁当を渡してから玄関にお見送りに行きました。エルちゃんもトコトコとやって来て、一緒に楓お姉ちゃんの事をお見送りしようとしています。


「かえでねーたん! ――――――!!」

「うふふ♡ お仕事に行ってくるね♡ あ! エルちゃん、お姉ちゃんの頬っぺにチューしないと駄目ですよぉ?」

「んぅ?」


 本当にお姉ちゃんはいつもブレません。遅刻しそうになった時でも、エルちゃんとチューして、ハグしてから行かないとエルちゃん成分が枯渇して死んでしまうとか言うのです。私もいつも抱かれるのですが、キスは流石に断っています。


「あ、お姉ちゃん忘れ物無い? スマホと財布持った? パンツはちゃんと穿いた?」

「うん! 大丈夫だよ♪」

「じゃあ気を付けてね! ほら、エルちゃんも行ってらっしゃいして♪」

「――――――!!」


 エルちゃんもちゃんと成長していますね。最初はお姉ちゃんの足にしがみついて、毎朝凄まじい程に号泣してたのにね♪ その度にお姉ちゃんは有給を使おうとするので、色々と大変でした。


「エルちゃん〜リビングに戻って、一緒に朝ごはん食べるよ〜」

「――――――♪」


 私がリビングのソファに座ろうとした時に、机の上にある物が置いてある事に気が付きました。


「あれ……これって、お姉ちゃんのスマホじゃん!」


 全く、お姉ちゃんたら……今なら走れば間に合うかな?


「エルちゃん、ちょっとお留守番しててね。朝ごはん先に食べておいて良いからね♪」

「――――――♪」


 私は急いで服を着替えて、お姉ちゃんの後を猛ダッシュで追い掛けました。





 ―――――――――




「はぁ……はぁ……疲れた……」

「あおいねーたん! たらいま!」

「エルちゃんただいまぁ〜それとお姉ちゃんを迎える時は、おかえりと言うんだよ♪」


 お姉ちゃんはスマホでは無くて、何故かリビングの部屋にあるテレビのリモコンを持って職場に行こうとしておりました。何をどう間違えたら、スマホとテレビのリモコンを間違えるんだろ…………


「あれ? エ〜ル〜ちゃ〜ん? お野菜が残ってるよぉ?」

「…………」

「あ、こらこら! お姉ちゃんのお皿にしれっと入れても駄目だよ。ちゃんと自分で食べようね」

「んにゅ…………」


 綺麗にサラダだけが残っています。ヨーグルトとパンはペロッと平らげていますね。エルちゃんのお口周りには、ヨーグルトが満遍なくべったりと付いています。


「エルちゃん、お口ふきふきしましょうね〜♪」

「んん〜」

「もお〜しょうがない子ですね〜♡」

「――――――!?」


 拭くものが近くに無かったので、指先で拭ってあげるとエルちゃんの顔がりんごのように真っ赤になってしまいました。今すぐ抱きしめてベッドでイチャイチャしたい所ですが、それはお昼寝の時にするとしましょう。掃除、洗濯、洗い物等の家事が色々とあるからね。


「エルちゃん、お姉ちゃんが今度魔法のジュース作ってあげるからね♪」

「んぅ? じゅーちゅ?」

「うんうん♪」


 エルちゃんが残したお野菜は今回私が食べる事にしよう。無理して食べさせても逆効果かもしれない……野菜ジュースにしたら、エルちゃんも飲んでくれるかも?


「さてと、タマちゃんのご飯の用意もしなくては行けないね」


 私はタマちゃんのご飯を用意した後に食器の洗い物をしようと台所へと向かいました。





 ――――――――――――





「――――――♪」


 エルちゃんかわよ! めっちゃかわよ! 現在食器を洗いながらエルちゃんの様子を見て居るのですが、エルちゃんはリビングの椅子の上で、ご機嫌な様子で魔法少女★みくるちゃんのおもちゃを拭き拭きと綺麗に磨いています。しかも、ティッシュで拭きながら何やら独り言を呟いています。


「にゃーん♪」

「―――――――――!」


 あらあら、タマちゃんと何話してるのかな? 何だかタマちゃんが保護者のように見えますね。世話のかかる娘を見ている様な眼差しです。


「そうだ、お姉ちゃんにこの光景写メして送ろ〜」


 この尊い光景を写真に収めてお姉ちゃんに送ってあげよう♪


「うわ、秒で返事来た。お姉ちゃん、ちゃんと仕事してるのかな?」


 お姉ちゃんから♡のスタンプが沢山送られて来ました。発狂して、職場の人達に迷惑を掛けてなければ良いのですが……





 ―――――――――





「ん〜今日は快晴だね♪」


 次はお庭で洗濯物を干します。時折エルちゃんの様子を見ながらテキパキと手際良く進めて行きましょう!


「ふぅええええぇぇええええんんんん!!」

「えっ!? どしたのエルちゃん!?」


 エルちゃんの泣いている声を聞いた瞬間に、思わず洗濯物を投げ捨て猛ダッシュで、エルちゃんの元へと駆け寄りました。


「にゃ〜ん」

「あらあら、タマちゃんと追いかけっこして転んじゃったのね。エルちゃんおいで♡」


 私は泣いているエルちゃんを優しく抱っこしながらあやしてあげました。エルちゃんは本当に世話の係る妹ですよ♡ うふふ♡


「エルちゃん、痛いの痛いの〜飛んでけ♪ お姉ちゃんが痛くならない様に魔法を掛けておいたからね♪」

「ぐすんっ……」

「あらまぁ♡ お姉ちゃんとぴったんこしたかったの? もう♡ エルちゃんは甘えん坊さんだね♡」


 暫くエルちゃんを抱っこしながらあやしていると、エルちゃんが私の胸に顔を埋めて、身体をムギュっと強く抱きしめて来ました。


やる事を済ませたら一緒にエルちゃんとお遊びをして、夜には一緒にお勉強をする予定です。昼間はエルちゃんがお昼寝をするので、私はエルちゃんが寂しくならないように、平日の日は一緒に添い寝をしています。


 土日は楓お姉ちゃんのお腹の上で、エルちゃんはスヤスヤと良くお昼寝をしています。お昼寝の時間は、エルちゃんの寝顔を堪能する事が出来るので、この時間は癒しのひと時と言っても過言ではありません。


「エルちゃん、後でぴったんこして一緒にお寝んねしてあげるからもう少し待っててね♪」

「んにゅ?」

「ん? それとも洗濯物干すの手伝ってくれるのかな?」

「――――――!!」


 もうすっかりと元気一杯だね♪ 幼い子は感情がコロコロと変化して忙しいね。せっかくエルちゃんがやる気になっている事だし手伝って貰いましょう♪





 ―――――――――




「――――――♪」

「エルちゃん、洗濯物はこうして干すんだよ〜ほら、こんな感じにね♪」

「んぅ?」

「おお! そうそう! 上手に出来たね〜」

「―――――――――!!」


 褒めて頭を撫で撫でしてあげると、エルちゃんは俄然やる気が出たのか自分から進んで洗濯物を干してくれています。エルちゃんは背が低いので、足場を用意してその上に乗りながら背伸びして頑張っています。


「――――――」

「ん? それは……楓お姉ちゃんのパンツだね」

「んみゅ……くんくん」

「エルちゃん、お姉ちゃんのパンツ嗅いでどうしたの?」


 何か変な匂いがするのでしょうか? 私も気になってしまい、楓お姉ちゃんのパンツの匂いを嗅いで見ましたが、柔軟剤のフローラルな香りがして良い匂いがするだけでした。変な匂いはこれと言って無いですね。


「何だか私達、変態さんみたいだね♪ あらあら、エルちゃん楓お姉ちゃんのパンツをポケットに入れたら駄目だよ?」

「――――――。」


 エルちゃんも女の子なのに……まさか、こないだ二宮マッマが来た時にまた良からぬ事を他にエルちゃんに教えてたのかな? やれやれ、またあの人と来たら……こんな純粋なエルちゃんの心を汚そうだなんて、マッマは我が家をしばらく出禁にしよう。うん、それがエルちゃんの為にもなる。


「エルちゃん、二宮マッマの言う事は聞いたら駄目だよ?」

「んぅ?」

「え、もしかして……真由美お姉さんに変な事教えて貰ったのかな?」


 エルちゃんの手から、楓お姉ちゃんのパンツを取り上げるとエルちゃんは、指を咥えながら名残惜しそうにしておりました。


「あ! もしかして……」


 そうか、そういう事だったのか。エルちゃんには、熊さんの絵柄や兎さんの絵柄等の可愛いパンツを履かせて居ますが、もしかしたら楓お姉ちゃんの履いてるパンツみたいに大人用のパンツの方が良かったのかもしれませんね。エルちゃんも背伸びしたいお年頃なのかな? うふふ♡


「エルちゃん、もう少し大きくなったらお姉ちゃんが立派な大人の女性パンティーを買ってあげるから、今はそれで我慢してね♪」

「んぅ?」

「よしよし♪」


 本当にエルちゃんは可愛いなぁ♡ 


こんばんみー! 二宮です!


ブクマと高評価ありがとうございます! 私の拙い作品を読んでくれて感謝です!



少しでも面白い、続きが読みたい、と思っていただけましたら、ブックマーク登録や、下の☆☆☆☆☆でポイント評価をいただけると嬉しいです。感想も頂けると作者は泣いて喜びます!


書く意欲に繋がりますので、よろしくお願いします!



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