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言葉のお勉強

 




 ◆エルちゃん視点





「ぐぬぬ……何だこれは……理解出来ない」

「――――――♪」


 僕は現在、お姉さんの隣りに座って文字の勉強をしております。しかし、さっきから文字の意味が分からずに苦戦しております。


「しかし、こんな高級そうな紙に僕みたいな人間が書いても良いのだろうか……この紙1枚売るだけで僕の食費10日分はありそうなんだけど……」

「――――――?」

「お、お姉さん! やはり、僕にはこんなお高そうな紙やペン使えませんよ。気が引けてしまいます……」


 お姉さんはずっとニッコリとしていますが、流石に貴族のお姉さんと言えど、この大量の紙を用意するのに金貨を沢山使っているに違いない。これでお姉さん達が破産しないか心配です。確かに言葉を覚えるのは大切ですけど……


「か……え……で……ね……」

「ん? 何でしょうか?」


 お姉さんは指をさしながら、同じ言葉を呟いております。僕はこの言葉をこないだ何度か聞きました。【かえでねーたん】、この言葉は確か食べ物の名前だったと思うのですが、この紙もかえでねーたんなのかな?


「ふむふむ……謎が深まるばかりですね」

「――――――♪」


 かえでねーたんかぁ……食べ物なのか物なのか……とりあえず物は試しに適当に指をさして、かえでねーたんと言ってみよう。数打ちゃ当たる戦法です! 


「んにゅ……か、かえで……ねーたん?」

「――――――!? ――――――!!」

「わぷッ!? お姉さんの胸が僕の顔に!?」


 ことある事にお姉さんに抱かれている気がします。しかもお姉さんの胸がデカすぎて、僕の顔が胸に埋もれてしまいます。どうやら、かえでねーたんと言うとお姉さんは物凄く喜ぶらしい。何だかお姉さんが愛らしく思えて来ます。元が美人だからでしょうね、より一層可愛く見えます!


「かえでねーたん! よしよし♪」

「――――――!?」


 お姉さんの大きなお胸……柔らかくて弾力があって気持ち良いです♪ 一度で良いから、僕の手でお姉さんの胸を思い切り揉み揉みしてみたいです。


「でも、そんなことしたらお姉さんに嫌われちゃいますよね……」


 そしたら、僕はこの家から追い出されてしまうかもしれない。ここは楽園(エデン)です。ここから追い出されたら僕は生きていける自信がありません。お姉さんに嫌われたくありません!


「あれ? 何だこれわ……はっ!? これはもしや!」


 僕は机の上に置かれている3冊の薄い本がある事に気が付きました。そこには女の子が笑顔でピースしている絵が書いてあります。僕はつい気になってしまいました。





 ◆(かえで)視点





「エルちゃんあああぁぁんんん!!」

「――――――!?」


 ついにやり遂げました! エルちゃんが、私の頭を優しくなでなでしてくれた上に何と! かえでねーたんと呼んでくれたのです! 今日の晩御飯はご馳走にしましょう!



「エルちゃん! もう一度かえでおねーたんと言ってみて!?」

「うぅ……? か、かえで……ねーたん?」

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!! だいしゅき♡」

「――――――!?」


 無理! 可愛い! 私の庇護欲が限界突破してしまいそうです! 本格的にAEDの準備をして置かないと私の身が持ちそうにありません! 何時でも心肺蘇生出来る環境にしておかないと!


「可愛いって……罪ね。ん? エルちゃんどうしたの?」

「あいっ!」

「こ、これは……」


 私が購入した3冊の百合同人誌……ごほんっ。健全な絵本ですね。エルちゃんもしかして興味あるのかな? いや、でもエルちゃんにはまだ早いかな。


「いや、いつかはエルちゃんもこっち側になるんだから、遅かれ早かれ変わらないよね?」

「んぅ?」


 そうだ。そうですよ! エルちゃんが大きくなったら、きっと私みたいになる筈です! この健全な絵本もちゃんと日本語で言葉として書いてあるので、お勉強にもなる筈です!


「エルちゃん気になるのでちゅか? もお〜しょうがない子でちゅね〜♡ お姉ちゃんと一緒に少し読もっか♪」

「――――――!」

「よしよし♡ じゃあお姉ちゃんの膝の上においで♪」


 私はエルちゃんを抱っこして、自分の膝の上に乗せました。やはりこれが一番しっくり来ますね♪


「少し休憩しますよ〜葵お姉ちゃんはまだ戻って来ないだろうし♪」

「――――――♪」

「あらあら♡ 相変わらずエルちゃんは甘えん坊さんでちゅね〜♡ もっとお姉ちゃんに甘えても良いんだよ♪」


 エルちゃんが私の胸にスリスリした後、私の胸で顔を半分隠しながら、上目遣いでこちらを見つめて来ます。私の心がざわついています。尊いが豪速球で私の心に飛んで来ます! 時速500kmはあるのではないでしょうか。小悪魔エルちゃんの可愛いを直にくらい、私は気が狂いそうです。


「エルちゃんは何でそんなに可愛いの? そんなにお姉ちゃんを誘惑して楽しいのでちゅか?」

「――――――?」

「チュッ♡ あ、頬っぺにもしとこ♪」

「――――――!?」


 エルちゃんと居るともう仕事に行かずにずっと家で遊んで居たい気分になってしまいます♪ 


「ディフフ……あら? タマちゃん♡ 一緒に抱いてあげる♡」

「にゃあっ!?」


 タマちゃんも可愛いです! 白い健康的な毛並みにつぶらな瞳……


「よし、エルちゃん♪ タマちゃん♪ お姉ちゃんが今から、この健全な絵本を読んであげるね♡」


 タイトルは……【ハイエルフのお姫様は逆らえない】です。





 ◆【 ハイエルフのお姫様は逆らえない⠀】



 (わらわ)の名前は、アレーナ・クレメール。23歳の若輩ものじゃ。精霊の郷出身で、人間の地位で例えるならお姫様と言う立場である。(わらわ)は、そこらへんの有象無象共とは価値が違うのじゃ! だが、(わらわ)はとてつもなく後悔しておる。精霊の里を出るんじゃなかった……お母様の言う通り、外は危険で満ち溢れて居たのじゃ……人間に捕まり奴隷にされそうになってた(わらわ)を冒険者の可愛らしい女の子が、助けてくれて一安心と思ったら、こいつが一番やばいやつだったのじゃ!


「あれれ? アレーナちゃん顔が赤いよお?」

「くっ! 殺せ!」

「ええ〜やだ。私は優しいからそんな事しないから安心して♡」


 うぅ……これじゃ奴隷と同じ扱いでは無いか。鎖付きの首輪を付けられて、服も取られてトイレに行く時もこの女性冒険者……フランの前でしなければならないのだ! 


「もうやじゃ! 精霊の里に帰りたい! ここでは安心して暮らせない!」

「アレーナちゃん落ち着いて、だってもうアレーナちゃんの背中には、私との契約により奴隷紋が刻まれてるから大丈夫♡ 私の命令には逆らえないから安心して♪」

「何処が安心出来ると言うのじゃ!? しかも今、奴隷って堂々と宣言しおったな!? この変態女!」


 こんな可愛い顔をしてる癖にえげつないぞ!? 笑いながら(わらわ)のお尻を鞭で叩いて来たり、笑顔で料理に媚薬を混ぜてくるサイコパスじゃ!


「ふ〜ん。ご主人様に対してそんな事言うんだ」

「誰がご主人様じゃ! 変態女! 貧乳! 頭お花畑!」

「…………ねえ、アレーナちゃん。〇〇〇〇〇〇〇」

「!?」


 か、身体がっ!? フランの命令に逆らえぬ!? これも奴隷紋の力なのか!? あ、ああぁ! た、助けて……


「これはアレーナちゃんの為の調教……教育です。義務なのです」

「今、調教って言ったな!?」

「アレーナちゃんは私に黙って、従いなさい」

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛っ!? や、やめろ! それだけはお願いじゃ! ダメえぇぇ!」





 ◆(かえで)視点





「だめええええっ!!」

「お姉ちゃん? 何してるのかな?」

「へっ? あ、葵ちゃん!?」


 しまった、熱中していて葵ちゃんが部屋に戻って来た事に気が付きませんでした。めちゃくちゃ良い笑顔でニッコリしていますが、葵ちゃんの目が笑って無いです。


「お姉ちゃん……正座」

「あっ……これは、エルちゃんの為の日本語のお勉強で……」

「ふ〜ん……だめえええええっ! て言う日本語は私馴染み無いけどなぁ?」

「葵ちゃんの声がエ〇過ぎる!?」


 そして私はこの後、葵ちゃんに怒られてしまいました。


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― 新着の感想 ―
[良い点] いつものことだけど残念が過ぎる……w
[一言] そして、その本を読んでいる間、エルちゃんはどう思いましたか?
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