かえでねーたん!
◆楓視点
「エルちゃん? 葵お姉ちゃんのお部屋に勝手に入ったら駄目ですよ?」
「―――――――――! ――――――!!」
「うふふ♪ よしよし、クリームパンゆっくり食べてね。喉詰まったら大変だからね〜」
「――――――♪」
現在私とエルちゃんはリビングのソファの上に座っております。そろそろ晩御飯の支度をしないと行けないですね。しかし、さっきは恥ずかしかったです……私の声が……あぁ……穴があったら入りたい気分です。
「うぅ……トゥイッターのトレンドにエルちゃんとモモネちゃんのお姉ちゃんが……葵ちゃんの影響力は本当に凄まじいわね」
「あいっ!」
「ん? どうしたのエルちゃん?」
どうやらエルちゃんがクリームパンをちぎって、私に食べさせてくれる様です。私はエルちゃんの優しさと愛らしさに感動してしまいます。
「まあ♡ うふふ……お姉ちゃんに食べさせてくれるの?」
「――――――!」
「エルちゃんは良い子でちゅね〜♪ じゃあ、頂こうかなぁ♪」
エルちゃんは小さなおててで、私の口にクリームパンを持って来てくれたので、私はお口でクリームパンを迎えに行ったのですが、ここでまさかの事態が起きたのです!
「――――――♪」
何とエルちゃんが、私のお口に持って来たクリームパンを直前に自分で食べてしまったのです! お姉ちゃんを弄ぶとは……ふふ〜ん。宜しいならばこうです!
「エルちゃんったら……お姉ちゃんに意地悪するとは良い度胸でちゅね?」
「――――――♪」
「ぐふふ♡」
行けません……可愛い子を見るとつい、いじわるしたくなってしまいます。私はエルちゃんを自分の膝の上に乗せて、後ろからムギュっと優しく抱きしめました。
丁度エルちゃんがクリームパンを食べ終わるのを見計らってから、私はエルちゃんを笑顔にする魔法を掛けてあげました。
「んぅ?」
「ぐふふ……えいっ!」
「――――――!! ――――――!?」
「お姉ちゃんに意地悪するとこうなるんでちゅよ〜? ほれほれ〜倍返しだよぉ♡」
私はエルちゃんにお返しと言わんばかりに、エルちゃんの弱点にくすぐり攻撃を仕掛けました。お耳に脇の下や首周り等、エルちゃんには弱点が沢山あります。エルちゃんは笑い声を上げて、私の膝の上で激しく悶えております。
「――――――!?」
「ここがくすぐったいのかなぁ〜? それともここかなぁ?」
「――――――――――――!!」
やばい癖になりそう♡ エルちゃんの笑顔が、物凄く素敵で尊いです♪ 笑い声も聞いているだけで、私のお耳が幸せです♪ 地上の楽園はどうやらここにありました♪
「ぐふ……ぐふふ……」
「――――――!! ――――――!?」
「楽しいね♪ あっ! 手が滑っちゃった♪」
もっともっと意地悪しちゃうもんね♡ エルちゃんがイケないんだからね♪ 私の前でそんな可愛い仕草をすれば自然とこうなるのです♡
―――10分後―――
つい大人げなくやり過ぎてしまいました……エルちゃんはソファの上で、燃え尽きた様にダウンしております。
「エルちゃんごめんね……じゃあ、お姉ちゃんはそろそろご飯の支度をしようかな〜」
「――――――。」
「エルちゃんちょっと待っててね♪」
私はエルちゃんの頭を優しく撫でてから、その場で立ち上がり台所へと向かいました。
◆エルちゃん視点
「はぁ……はぁ……大変な目に合った」
僕はお姉さんにくすぐり攻撃と言う名の拷問を受けました。腹筋が割れるのでは無いかと思うくらいに、盛大に笑ってしまいました。
「――――――♪」
「んぅ? お姉さん何処行くのですか?」
僕は息を整えてから、お姉さんの後をついて行きました。どうやら目的地は料理を作るお部屋の様です。
「わ〜い晩御飯だ♪ ボクもお手伝いしゅる!」
「――――――? ――――――♪」
僕はやる気に満ちていました。だって、また美味しいご飯が食べられるのです! 今日はどんなご飯を作ってくれるのか楽しみです♪
「これを洗えば良いのですか?」
「――――――♪」
「なるほど、お姉さんのジェスチャーは中々分かりやすいです!」
お姉さんは野菜を僕の前で一つ洗って見せてくれました。これなら僕にも出来そうな簡単なお仕事です。
「任せて下さい! あ、そうだ!」
僕はここで名案が思い浮かびました。こないだお皿を洗った時に使った、白い泡が沢山出る液体を使えば良いのでは無いかと。
「このフワフワの物に白い液体を掛けて……よし! ゴシゴシ〜♪」
この白い液体を使えば野菜も綺麗になる筈です。僕は野菜を丁寧に泡立てながら洗っていたら、こちらに気付いたお姉さんが驚いたように目を見開いてから僕に何か言っております。
◆楓視点
「今日は栄養満点の野菜スープとハンバーグ♪ エルちゃん喜んでくれるかな?」
私が食材を冷蔵庫から出して準備してると後ろからエルちゃんが鈴の鳴るような可愛いらしい声で、私に何か興奮気味に言っております。
「ん? どうしたのエルちゃん? もしかして、お姉ちゃんが居ないと寂しいのでちゅか?」
「――――――!」
エルちゃんがその場でぴょんぴょんと飛んでから、何やらガッツポーズをキメております。私を悶え殺しにしに来たのでしょうか……
「もしかして、お手伝いしたいのかな?」
「――――――!!」
「あらまぁ〜エルちゃんは良い子でちゅね〜よしよし♪」
私はエルちゃんに出来そうな仕事を考えます。刃物や火を使うのは危ないので却下ですね。エルちゃんに出来そうな安全なお仕事は……
「じゃあ……お野菜でも洗ってもらおうかなぁ♪」
「んぅ?」
「エルちゃん、今からお姉ちゃんが1つこのお野菜を洗うから、野菜を洗ってみて♪」
私はエルちゃんの目の前で、人参を丁寧に洗って見せます。するとエルちゃんも私の真似をするようにして、野菜を小さなおててで、ぴちゃぴちゃと洗い始めました。
「おお! 凄い凄い! 流石エルちゃん♪」
「〜♪」
この分ならお野菜を洗う作業は、エルちゃんに任せて問題無さそうですね。私は一旦、料理を作る前にお花を摘みに行って来ます。え? 普通にトイレに行くと言えば良いのではないかと? まあ、私も乙女なのでそこはね♪
―――数分後―――
「ふぅ〜スッキリ♪ さてと、頑張って作りますか……えええぇぇっ!?」
「――――――♪」
私がお花を摘みに戻った時には、ちょっとした事件が起きていました。エルちゃんがスポンジに洗剤を沢山付けて、野菜をゴシゴシと洗って居たのです!
「エルちゃんっ!? それはお皿とか洗う時に使う洗剤とスポンジなの!」
「――――――!!」
「はぅっ……可愛い」
エルちゃんが鼻に泡付けて、ドヤ顔でえっへんと胸を張り私の方を見ております。その姿はとても愛らしくて、私はまたしても己の欲望と戦う事になります。
「ふふっ……エルちゃん? 洗うのはお上手だけど、これはね〜お野菜洗うのには使わないんだよ〜♪」
「んぅ?」
「あらま、洗剤がかなり減ってる。エルちゃん、お野菜はこうして洗うんだよ〜♪」
私はエルちゃんと一緒に2人でお野菜を洗います。とりあえず洗剤はNGです。エルちゃんに言葉も教えるついでに優しく丁寧に教えてあげました。
「エルちゃん〜楓お姉ちゃんと一緒にお野菜洗おうね♪」
「か……えねーたん?」
「え……今、エルちゃん私の事を楓お姉ちゃんって……」
私は手に持ってた人参を思わず落としてしまいました。
「エルちゃんっ! 私の名前は楓お姉ちゃん! お願い! もう一度言ってみてっ!」
「んぅ? か……え……でねーたん?」
「エルちゃん、それは人参って言うんだよ〜楓お姉ちゃんは私!」
「うぅ? かえでねーたん! かえでねーたん!」
エルちゃんはかえでねーたんと連呼しています。エルちゃんが私の名前を呼んでくれた事に、私は今! 猛烈に感動しております! ですが……
「エルちゃん? それはかえでねーたんじゃなくて……じゃがいもなの……」
まだまだ先は長そうです……
こんばんみー! まーやです!
いつも読んで下さり有難うございます!
次回はエルちゃん、楓お姉ちゃん、葵ちゃんの3人のイチャイチャお風呂回です。
今後とも宜しくお願い致します♪




