お姉ちゃんの性癖を憂う妹
◆葵視点
「んんっ…………二度寝しちゃった」
あれから二度寝して目を覚ますと時刻は午前10時。まだ気怠さが少し残る身体を起こして隣を見ると……
「ふへへ♡ すぅ……すぅ……」
「んにゅ……ぐふふ……もう、たべられないの……」
ぷっ……2人とも可愛い寝言だね♪ そしてお姉ちゃんの顔がカオス過ぎて草。今朝起きたら私とエルちゃんの顔にフェイスペンで落書きされたからね。まあ、これはお返しだよ♪ 私もお姉ちゃんの顔にフェイスペンで落書きをしたんだ♪ ドラ〇もんみたいな顔を書いて、額に変態と書いたの♪ お姉ちゃんが鏡で自分の顔を見たら、きっと悲鳴をあげるだろうな♪
「さてと……そろそろお掃除しちゃおうかな」
最近仕事の方も忙しくなって来てるから、家の事も少し疎かになりがちだ。楓お姉ちゃんやエルちゃんもお手伝いしてくれて居るから助かってはいるけどね。
「たまちゃん……ちゅーる……おあずけなの……すぅ……すぅ」
「タマちゃん? エルちゃんどんな夢見てるのかな?」
エルちゃんが家族になってから、我が家も色々と賑やかになり、今ではタマちゃんを始め猫ちゃん20匹とお庭に住み着いてる小鳥、お猿さん、モグラさん達がお庭に住んでいます。不思議とエルちゃんの周りには、猫さんを始め色々な動物さん達が集まって来るんだ。
「ん? これはお姉ちゃんの本かな?」
ベッドの棚にブックカバーが掛けてある本が何冊か重ねて置いてある。葵はその本が少し気になってしまい、思わず中身を開いてしまった。
「え…………お姉ちゃん、まじか」
お姉ちゃんが読んでる漫画が、俗に言うエロ本。18禁のえ〇ちな本だ。タイトルを見てみると……
「えっと……【真夏の夜のショタチ〇ポ】、【子育ての心得】、【ヤンデレ彼女と監禁生活52巻】、【女の子同士での初めてのS〇X上級編】、【亀の手縛り、美少女の女体盛り】、【ご注文はメスガキですか?】、【ヤンデレ彼女とツンデレ彼女】、【35歳の行き遅れ魔法少女】、【お嬢様の性奴隷】、【性なる夜のマリンとお尻】、【義姉と義妹の歪んだ愛】、【西園寺モモネのお仕事♡ 】」
お姉ちゃんの性癖が段々と歪んで来ている。中に1つだけまともな本もあるけど、他はエルちゃんにはとても見せれる本じゃない。しかし、お姉ちゃんの性癖は幅広いなぁ……はぁ。てか、寝室に持ち込まないでよぉ……お姉ちゃんの部屋に最近入って無いけど、恐らく部屋は魔界なのかもしれない。
「ふむふむ……妹として、お姉ちゃんの性癖くらい把握して置くべきだよね? 妹として……う〜ん、少し見てみよ」
5年くらい前は、初々しい甘々な恋愛系の本を読んでたお姉ちゃんが今では……てか、そもそもお姉ちゃん自身が女性なのに女の子のイチャイチャするものばかり読むのもどうなのよ……最後のやつはモモネちゃんのR-18本だし。しかも、私の知らない本!
「性なる夜のマリン。えぇ……これNTRものなの!? しかも、漢字が聖では無く性……てか、マリン男じゃん!? マリンの股間についてる立派なゾウさんが……は? な、何がパオーンよ! この変態! 何なのよこれ!」
葵は楓の読んでる漫画をパラパラと捲り、一通り目を通して次の本も開く。葵は顔を赤くしながら、本の中身を吟味する。
「うわ……も、モザイク無し。あそこの毛とか胸の書き方が凄いリアル。あれ、この股間の毛……私と同じ生え方してる。ごほんっ……しかも全ページフルカラー、ふ〜ん、この絵師さんの絵、エッチじゃん……」
はぁ……ダメダメ! 全部エルちゃんの教育上悪い本ばかりだよ! こ、これは危険だ……純粋なエルちゃんがこんな卑猥な事を覚えたら一大事。この本は全部私がしばらく預かって置こう。どうかお姉ちゃんの性癖がこれ以上歪みませんように! お姉ちゃんの性癖が変な方向に歪まない様に私がしっかりしなくちゃ……私がしっかりしないと一ノ瀬家が終わる。
「あぁ、純粋なモモネちゃんが……男達に囲まれてあんな事やこんな事。待って、こんな大きくて硬そうなもの挿入無理でしょ…………モモネちゃんのあそこは小さいし……え、入るんかい!」
モモネちゃんの目が完全に逝ってる。目のハイライトが消えてヤンデレみたいな表情だ。【すごぉ〜い♡ お兄ちゃんの固くて大きいよぉおお♡ え、そんな……だめ、モ、モモネ壊れちゃう♡ 壊れちゃうよぉぉお!!!】じゃないよ! 私、絶対こんな事言わないし! 本当お姉ちゃんたら……こんなけしからん本読んだら駄目だよ!
「え、このページ折り目が付いてる……うわっ」
折り目が付いてるページを見てみると、そこにはモモネちゃんが激しく○○○○してるページだった。10人くらいの男に囲まれて、純粋なモモネちゃんが…………
「…………」
もう! お姉ちゃんのせいで私の下着が少し濡れちゃったじゃん! はぁ……見なければ良かった。何だか恐ろしい封印を解き放ってしまった様な気分だよ。
「お、大きい……ほ、ホンモノはこんな風に大きいのかな? モモネちゃんがたらい回しに……ううっ。男の人はこういうのが好きなのかな」
葵は少し股間を濡らしながら、次のページを開いて目を見開いて驚愕する。
「私もいつかこんな風に……はっ!? わ、私とした事が……」
正直言うと私は異性とこの様な行為はした事が一度も無い。私の純潔は、結婚する未来の旦那さんに捧げると決めている。まあ、結婚するかどうかは分からないけどね。
「んんっ……葵ちゃんの……結婚は反対……」
「!?」
「すぅ……すぅ……駄目なの……むにゃむにゃ」
「もう! お姉ちゃんたら、紛らわしい寝言だなぁ」
恐らくお姉ちゃんも女の子経験はあっても異性との経験は無い筈だ。私は妹として、定期的にお姉ちゃんが寝ている時にこっそりと携帯の電話帳やSNSのフォロワーからDMまで全てチェックをしている。今まで女の子とのやり取りは沢山しているのは見てるけど、男性と思われる様な人は見た事が無い。
「はぁ……」
美人な姉を持つと本当に妹は大変だよ。お姉ちゃんが電車通勤の時にセクハラや痴漢とか受けて無いか心配だし、夜道に襲われたりしないか内心いつも不安だ。もう少しお姉ちゃんは女性として、恥じらいやスカート周りや目線を気にして欲しいものだよ。
家なら別に良いけど、お出掛けする時とか、お姉ちゃんにはなるべく短いスカートを穿かせない様に遠回しに促したりはしている。お姉ちゃんは少し天然で抜けてる所や異性の行為に鈍感な所があるからね。
そうえば、エルちゃんと出会う前の話しだけど、お姉ちゃんと一緒に街を歩いていたら、AVのスカウトマンに私とお姉ちゃんが勧誘された事もあったなぁ。最初は【⠀oh......そこの美人なお姉さん達! モデルのお仕事とか興味無いかい!?】とか、いきなり言われて、お姉ちゃんが少し興味を持ってたから危なかったよ。名刺も渡されたし……
私が警戒心MAXで相手の会社の名前や情報を精査して、AVの会社だと分かったから、ハッキリと断ったから良かったものの。お姉ちゃんが男の食い物にされるのだけはどうしても許せない。私の大好きなお姉ちゃんに近づく下心丸出しの男には要注意だ。
「うん、お姉ちゃんに彼氏はまだ早いよね。まだ23歳だし……」
もし、彼氏としてお姉ちゃんと付き合うのなら、私がしっかりと相手を見定めなくちゃ……お姉ちゃんの事を一途に心の底から愛してくれて、決して悲しませる様な事をしない人が最低条件。お姉ちゃんは騙されやすそうだからね……変な男に引っ掛からない様に相手を見定めるのも妹の務め。
「あぁ。モモネちゃん……こんなに汚れて」
何だかモモネちゃんのえ〇ちな本を見てると複雑な気分になるなぁ。まあ、お姉ちゃんが幸い女の子に興味を抱いている事が不幸中の中の幸いよね。女の子同士なら間違いは無いだろうし妊娠する事も汚れる事も……
「んん……ふわぁぁぁあああ」
「!?」
「んん〜♡ あ、葵ちゃんおはよ♡ ん? どしたの? あ、それは……」
「あ、やば……」
いきなりお姉ちゃんが起きたからビックリしちゃって、複数のエロ本を床に落として、盛大にばらまいてしまった。
「うふふ♡ 大丈夫よ。葵ちゃんもそう言うお年頃だもんね♪」
「いやいや! ち、違うよ!? てか、これお姉ちゃんのでしょ……ぷっ」
「ん? どしたの葵ちゃん? 私の顔に何か付いてるかしら?」
葵は部屋に置いてある手鏡で楓の顔を映して見せる。
「まあ! 上手なドラ〇もんね〜葵ちゃんが書いたのかしら? この変態と言う字も達筆で綺麗な字だね♡」
「え、突っ込む所そこ!?」
はぁ、本当お姉ちゃんは相変わらずだね。そう言う所は昔から変わらないよ……性癖が変な方向に歪んで来ている事以外。
「んんっ〜さてと……もうこんな時間ね。葵ちゃんお掃除しよっか」
「うん、エルちゃんも起こす?」
「ふふ♡ 彩芽さん達が来る前まで寝かせてあげよ♡ それに最近エルちゃん寝付きが悪いからね……」
「うん、そうだね。お昼まで寝かせてあげようか」
エルちゃんは年相応にまだ幼いけど、物分りも良く頭も良い方ではないかと思う。言葉やお勉強も覚えるのも早いし、相手の気持ちも察っしたりと幼いのに時折大人みたいな振る舞いをする事がある。寝付きが悪いと言う事は、エルちゃんにも色々と悩みがあるのかな?
「あ、でもエルちゃん泣いちゃうかな? 私と葵ちゃんが居ないと寂しくて不安になるかも」
「流石にもう大丈夫じゃないかな? 多分」
「うふふ♡ エルちゃんは出会った時と変わらず、寂しがり屋さんで甘えん坊さんだからね♪ 何だかエルちゃんと出会ったばかりの頃を思い出すね♡」
「うん。あの時は大変だったけど、でもエルちゃん可愛かったなぁ♡ 今は更に可愛いけどさ♪」
「うんうん♪ 私と葵ちゃんにベッタリだったもんね♪ 引き離してもピトッと抱き着いてくるエルちゃんが本当に堪らないわ♡ もっともっと私に甘えて欲しいよぉ♡」
エルちゃんがまだ言葉が分からない頃、常に怯えた様な子猫みたいな感じだったかな。いつか自分は捨てられるのでは無いかと言った感じに酷く怯えていたね。
夜は3人で一緒に寝て、翌朝寝室でエルちゃんが目を覚ました時に私とお姉ちゃんが寝室にたまたま居なくて、エルちゃんは不安だったのか、それはもう見事な号泣ぷりだったよ。エルちゃんをあやすのも一苦労だったなぁ♪
「うふふ♡ エルちゃんが涙目で必死に私の足にしがみつく姿は、もうヨダレものだったわ♡ あのとき私、何かに目覚めそうだったからね。あんなに胸がキュンとなったのはエルちゃんが初めてだよ♪」
「はぁ……お姉ちゃんはいつも覚醒してるでしょ」
私も表向きは普通を装っては居たけど、正直内心いつも発狂してた。まだエルちゃんがこの家の生活に慣れるまでは、良く抱っこ紐でエルちゃんを背負いながら洗濯や家事もしてたなぁ。お姉ちゃんは仕事で居ないから、その間は私が常にエルちゃんの傍に居たからね。
葵は幸せそうな顔で寝ているエルちゃんを優しげな表情で見つめる。葵は指先でエルちゃんの頬を優しくそっと撫でた。
「ちょっと顔洗って来るね〜」
「うん」
エルちゃんの寝顔を見てるだけで心が落ち着くなぁ。私もエルちゃんのお姉ちゃんとしてもっと頑張ろう!




